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その三十 誘いと疑惑
宏人に過去を話した望美。
その数日後、望美を呼び止めたのは……?
どうぞお楽しみください。
放課後。
「なぁ五階はん」
昇降口へ向かう望美を美夜子が呼び止めた。
「今度の休みにどこかに遊びに行かへん?」
「……私は」
「楽面君も誘お思うとるんやけど」
「……行くわ」
望美の返事に美夜子が笑みを浮かべる。
「ほんまに五階はんは楽面君と一緒にいたいんやなぁ」
「……別に」
「あ、楽面君」
「べっ別に一緒にいたくないとか思っているわけじゃないんだからねっ! かっ勘違い……」
振り向いた望美の視線の先には、誰もいない廊下。
「……京極さん、あなた……!」
「ちゃんと楽面君は誘うから許してぇな。もしかしたら余計な人が付いてくるかも知れへんけど」
「……」
睨みつける望美の視線をかわすように、笑いながら美夜子は踵を返す。
その後ろ姿を見ながら、息を吐く望美。
「……あの態度、もしかして……」
望美は胸に重いものが広がるのを感じながら、昇降口へと向かった。
読了ありがとうございます。
望美は何かを察したようで……。
次回もよろしくお願いいたします。




