その二十五 焦りと宣言
土曜日の買い物の際に美夜子に告白され、否定するために通に告白をしてしまった望美。
その場は否定したものの、逃げ帰ってしまった望美は、不安の中、月曜日を迎えて……?
どうぞお楽しみください。
月曜日の教室。
望美は静かに自分の席に座っている。
「あ、おはよう五階さん」
「!」
教室に入って来た通の挨拶に、望美はびくりと震えた。
「……お、おはよう」
「土曜日はありがとね。楽しかったよ」
「……そう……」
望美は通の言葉に、少し安堵した表情を浮かべる。
すると。
「おはよう五階はん」
「!? きょ、京極さん!?」
教室に入って来た美夜子が、望美の後ろから抱きついた。
「ちょ、京極さん! 何を……!?」
「やって、うちの気持ちを伝えたんやから、どんどんアプローチせなあかんなって思うて」
「あ、アプローチって……!」
その時望美は、通の視線に気がつく。
「こっこれは違うんだからねっ! ほっ本当に勘違いしないでよねっ!」
「え、あ、うん……」
「ほっ本当にこれだけは勘違いしないでよねっ! ぜっ絶対よっ!」
「……うん」
通が頷いたのを見て、望美は美夜子に向き直った。
「私は京極さんとお付き合いするつもりはないわ。これからこういう事はやめて頂戴」
「わかったわ。でも別のアプローチはさせてもらうんで、よろしゅう」
「……」
さらりと離れる美夜子を睨む望美。
そんな望美を、通は不思議そうに見つめる。
(『本当にこれだけは勘違いしないでね』ってどういう意味だろう……?)
通が望美に疑念を抱いた事に誰も気付かないまま、担任の入室と共にいつもの学校生活が始まるのであった。
読了ありがとうございます。
この三角関係はどうなる事か……。
次回もよろしくお願いいたします。




