その二十四 質問と告白
三ヶ月近いご無沙汰、失礼いたしました!
なので登場人物のおさらいなどを……。
五階望美……絵に描いたようなツンデレ女子高生。隣の席の通の事が好きだが……?
楽面通……どこにでもいそうな男子高校生。とにかく素直で言葉通りに受け取る。
浅井宏人……望美、通のクラスメイト。望美の恋心に気付いている。
京極美夜子……京都からの転校生。京風の嫌味キャラと誤解されていたが、望美と通のフォローで打ち解ける。
一緒に複合施設に遊びに来た四人は、通の取ったぬいぐるみを望美が恥ずかしさから拒絶したために、不穏な空気になる。
それを機転で解消した美夜子は、望美と二人で話す事を求めるのであった……。
宏人は(宣戦布告だな……)と睨みますが果たして……?
どうぞお楽しみください。
複合施設の屋上。
まばらに人がいる中を、美夜子は望美を伴って歩く。
「えぇ風やなぁ……」
「……そうね。それでお願いって何……?」
望美の言葉に、美夜子が振り返った。
「五階はん、楽面はんの事、好きやろ?」
「……何を言っているのかしら?」
「答えて。それがお願い」
「……別に好きではないわ」
その言葉に、美夜子がにっこりと微笑んだ。
「せやったら、うち告白してもえぇ?」
「……!」
突然の言葉に動揺するも、平静を保とうとする望美。
表情に出さないようにしながらも、内心では様々な想像が荒れ狂う。
(告白……!? 京極さんが楽面君に……!? そ、そんなの上手く行くはずが……! でも素直な楽面君なら『うん!』とか言うかも……!?)
美夜子と通が付き合う姿を想像し、望美は頭から血の気が引くのを感じた。
(そんなの駄目……! 絶対に嫌……! でも今楽面君の事『別に好きじゃない』って言った私に、止める権利なんてない……)
絶望に包まれたまま、望美は口を開いた。
「……好きにしたらいいわ……」
「ほんま? おおきに!」
心が真っ黒に染まった望美の手を、美夜子が握る。
「ほな、うちと付き合うて?」
「……は?」
今度は真っ白になった望美に、擦り寄る美夜子。
「転校してから色々助けてくれて、それでいてクールで、ほんま素敵やと思うとって! 楽面はんが好きなんやったら諦めよ思うてたけど、良かったぁ……!」
「え、ちょ、わ、私達、女同士で……!」
「そんなんどうでもええやろ? な? 望美はんって呼んでえぇ……?」
「何ーっ!?」
戸惑う望美を救ったのは、物陰に隠れて様子を伺っていた宏人だった。
その声で我に返った望美は、慌てて美夜子から距離を取る。
「……いけずな人やなぁ。何で邪魔しはるん……?」
「い、いや、邪魔するつもりはなかったんだが、あまりにも予想と違う展開で……!」
「……浅井はん、京都でこないな無粋してもうたら、二度と町あるかれしまへんで……?」
「ご、ごめん! いや、でもさ……」
宏人が美夜子に詰め寄られる中、まだショック冷めやらぬ望美に、
「あの、五階さん……?」
「!」
通が声をかけた。
「なっ何よ! きゅっ急に声をかけないでよねっ! べっ別にびびった訳じゃないんだけどねっ!?」
「あ、ご、ごめんね……」
「おっ驚いてないって言ってるじゃないっ! そっそれで何っ!?」
「……あの、京極さんとお付き合いするの……?」
「〜〜〜!?」
ただでさえテンパっていた状況での通からの言葉で、望美の脳はパンクする。
「そっそんな訳ないじゃないっ! わっ私が好きなのは楽面君なんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」
「……え……?」
時が止まった。
数秒後、自分の失言に気付いた望美は猛然とまくし立てる。
「いっ今のは冗談というか例え話というか女の子と付き合うくらいならお隣の楽面君くらいの方がいいって話でしかないんだから、かっ勘違いしないでよねっ!」
「えっ、う、うん……」
「わっ私帰るけど別に逃げる訳じゃないんだからねっ! よっ用事を思い出しただけなんだから、勘違いしないでよねっ!」
「わ、わかった……」
逃げるように立ち去る望美。
(私の馬鹿馬鹿! 折角言えたのに、それを否定しちゃった……! 私って本当に馬鹿……!)
その胸には、通が取り、美夜子に渡された『クシャミが出そうで出ないチベットスナギツネ』のぬいぐるみが強く抱きしめられていた……。
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それでもお読みくださってありがとうございます!
できるだけコンスタントに投稿できるようにしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。




