表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/34

その二十二 景品と拒絶

フードコートの後はゲームセンター。

学生らしく遊びのですが……?


どうぞお楽しみください。

 ショッピングモール内のゲームセンター。

 昼ご飯を終えた四人は、腹ごなしに立ち寄っていた。


「わー! 駅前のより大きいねー!」

「この辺りじゃ一番大きいからなー」

「うち、ゲームセンターって初めて……」

「さ、何をするの?」


 望美のぞみの言葉に、宏人ひろとが『景品くれーン』を指差す。


「あれやろうぜ。俺得意なんだ」

「へー! 僕取れた事ないや! 見たい見たい!」

「へぇ……、このボタンで中の機械を動かして、景品取るんやね」

「お手並み拝見と行こうかしら」


 三人が見守る中、宏人がお金を入れた。

 機械が動き、景品に爪を伸ばし、


「おおー!」

「す、凄い……」

「一回で取れるなんて、言うだけの事はあるわね」


 見事に景品を落とした。


「で、これ何てキャラ?」

「……『表情豊かなチベスナ』……」

「どこが?」

「……これは『眠いのを我慢しているチベットスナギツネ』やって……」


 四人は『景品くれーン』の中を覗き込む。

 他には『達観したチベットスナギツネ』『遠い目で過去を懐かしむチベットスナギツネ』『全財産がラシャに溶けたチベットスナギツネ』などが置かれていた。


「……全部同じじゃないかしら」

浅井あさい君、これ好きなの?」

「……いや、別に……。取れそうだから取っただけで……」

「でも何や愛嬌ある顔してはるなぁ……」


 微笑む美夜子みやこに、宏人は


「ならそれやるよ」

「え?」


 と無造作に言う。


「俺、取れただけで満足だから」

「お、おおきに……」

「……」


 するととおるが財布を取り出した。


「ねぇ浅井君! 僕にもやり方教えて!」

「え、あぁ、いいけど、確実に取れそうなのはこれだけなんだが……」

「うん! これが取りたい!」

「わかった。まずは狙う景品の重心を見極めてだな……」


 宏人の指導を受けて三回目。


「取れたー!」

「三回で取れたら大したもんだ」

「凄いわぁ。うちには無理やわ……」

「……」


 はしゃぐ通を見つめる望美。

 その目の前に、


「はい! 五階ごかいさん!」

「えっ!?」


 『くしゃみが出そうで出ないチベットスナギツネ』が差し出された。


「あげる!」

「……え……」

「見てたから欲しいのかなって!」


 通の満面の笑みに、固まる望美。


(え、これってプレゼントって事!? 私に!? 何で!? 嬉しいけど何で何で何で!?)


 今日一きょういちテンパった望美は、


「べっ別にそんなの欲しくないんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」

「え……」

「あちゃー……」

「五階はん……」


 全員が固まる言葉を吐いてしまったのであった。

読了ありがとうございます。


チベスナかわいいよチベスナ。

不穏な感じはチベスナに癒してもらいましょう。


次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 色々な表情のチベスナさんのぬいぐるみ、可愛い!欲しいです! あの何とも言えない達観したというか悟りを開いたかのような表情、良いですよね。 [気になる点] 美夜子さんが好きなのは本当に楽面く…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ