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589 交わった情熱

なんと書籍版を出させていただいているGCノベルズが創刊10周年を迎えました!

凄い!

そしてこうして10年も本を出し続けられたのも、ひとえに購入して下さった皆様のお陰でございます

ありがとうございます!

そしてこれからもよろしくお願いします!


ちなみにフェアも開催中のようです。

なんと藤ちょこ先生描き下ろしのイラストカードが!!!!

素敵!!

五百八十九



「さて、とにかく神域なんだけどね──」


 ただひたすらに精霊王がダメージを受けただけだが、それはそれ。アンドロメダは気にする素振りもなく、話を再開した。

 なぜ神域ならば、理想の条件を満たす事が出来るのかという点についての説明だ。

 まず三神の力を束ねた神器というのは、既にその時点で人の手には余る代物になっている。これまでの話通り、これを使おうものなら使い手の身体が反動に耐えられない。

 ゆえに地脈のサポートが必須となっているわけだが、神域という場には、そもそもその三神がいる。ならばいっそ三神に直接サポートしてもらえれば、神器の反動なんてどうとでもなるのではないか。

 と、それがアンドロメダの思い付いた策であった。


「ふむ、確かにそれが出来れば満点じゃな!」


 それを行うのは、遠い月だ。骸を完全に消滅させられるのみならず、敵側にこちらの切り札を悟られるという恐れもないだろう。聞いた限り、それは確かに理想的な方法であった。


「でも、場所が場所だからね。色々と懸念すべき部分があるわけさ」


 理想的だが簡単にそれを実行出来るかというと、そこには乗り越えるべき障害が幾つもある。

 アンドロメダは、その障害について一つずつ挙げていった。

 まずは、神域に満ちている濃密な神気についてだ。


「最も神の存在に近い場所だからね。そこでは、その力そのものを肌で感じる事が出来るだろう。言ってみれば、神気の海に飛び込むようなものさ。で、だからこそ問題になる」


 人知を超えた存在の力ゆえ当然か。そのような場所に人が足を踏み入れたらどうなるのか。それこそ予想も出来ないような影響に苛まれるだろうとの事だ。


「ふむ、確かに。色々ととんでもないみたいじゃからのぅ……」


 神域の神気に触れたら、どうなってしまうのか。詳細については前例がないためアンドロメダもわからないようだが、危険な事には違いないと、ミラは似たような事例を思い出していた。

 その事例とは、ソウルハウルが助けた女性の事だ。

 彼女を苦しめていた元凶は、聖痕。そしてその聖痕は、彼女の魂に宿っていた神気が目覚めてしまった結果発現したものだ。しかも原因となった神気は、生まれる前の魂であった時、僅かに触れてしまった程度である。

 つまりそれだけの神気で、人は簡単に死へと追いやられるわけだ。濃密な神気ともなれば触れた瞬間に爆散するのではないか。そうミラは、ぶるりと震える。


「問題は、それだけじゃあない。何よりも神器自体の方にどんな影響が出るかわからないんだ」


 アンドロメダが続けて挙げたのは、神気が満ちた場所で神器が正常に作動するかどうかといった点だった。

 ミラやソウルハウルに授けられた神器は、三神国などにある神器とはまったく違う特別製だ。

 その機能は三神の力を蓄え、これを完璧に束ねて放つという事に特化している。

 莫大な神の力を究極のバランスでまとめるわけだ。それはもはや繊細や緻密というレベルを超えた奇跡の領域である。


「一応、基幹部分は完全な密閉状態にあるから外部環境の影響を受けないようには設計しているけど、流石に神域での運用までは考えていない。こればっかりは実際にやってみないとわからないんだよね」


 神域に持ち込むという事は、つまりそんな奇跡のバランスにあるそれを、無制御状態の神気の海に放り込むようなもの。その結果どうなるのかは、それこそ神のみぞ知る──否、神すらも試してみなければわからないだろうと、アンドロメダは苦笑する。


『神器はわからないが、ミラ殿への影響については、我らでどうにか出来るやもしれないぞ』


 理想を実現するには、どうしたらいいか。そう考え込んだ直後に、ふと精霊王からそんな言葉が届いた。

 どうやら精霊王達は、神域についても詳しいようだ。だからこそ、そこに満ちる神気についてもある程度は把握しているという。そして、もしかしたらいつかミラが神域に踏み込む日が来るのではないかと思い、色々考えていたらしい。


『準備していたこれを、いよいよ仕上げる日が来たみたいね! 任せてミラさん。ばっちり可愛くしちゃうから!』


 そう意気込んでみせるマーテル。彼女が言うにその方法とは、マーテル製の特別な植物の繊維を使い衣を仕立てるというものだった。

 何でもそれは精霊の加護に反応して、加護の力を保護に変換するものらしい。

 そして今のミラは、幾つもの精霊の加護に加え、精霊王とマーテル、更にはリーズレインの加護までも宿している。これだけあれば神域の神気であっても十分に防げるとマーテルは豪語した。


『おお、なんと有難い! これで一つ目の問題はクリアじゃな!』


 精霊王達が用意していてくれたお陰で、神域に行くこと自体は可能になった。とはいえ、神器の方については未対応であるため、そちらはそちらで考える必要がありそうだ。


「わし自身は、どうにかなりそうじゃぞ──」


 精霊王達に礼を言ったミラは、早速その事をアンドロメダにも伝えた。すると彼女は「素晴らしい! 流石、仕事が早い!」と大絶賛し、後は神器についてだけだと考えをまとめ始める。

 精霊王の威厳も少しだけ戻ったようだ。




 暫くの後、アンドロメダは次の方法を導き出した。


「とりあえず、行って試してみよっか」


 どちらかといえば、ミラが神域に行けるかどうかの方が難易度的には高かった。だがそれがクリア出来るのなら、もういっそ神器の方は現地で実際に検証してしまった方が早いと、そんな結論に至ったようだ。


「まあ、それが一番手っ取り早いのぅ」


 そして実験大好きなミラもまた、同じような考えに至っていた。

 今回の実験材料は、三神の力を秘めた神器というとんでもない代物だ。もしも何かあればどのような事態になるか想像もつかない。

 とはいえ、そもそも実験を行う場所が、その三神の居る神域だ。いざとなれば三神がどうにかしてくれそうではある。

 ならば後はもう必要なデータさえ取れれば、どうにでもなるというものだ。


「それじゃあ準備しておくから、そうだね……こっちは二日くらいでどうにかなるかな。ミラさんの方の服は、どのくらいで出来上がりそう?」


 意見が一致したところで、決行予定日について話し合う。アンドロメダの方も色々と準備はあるそうだが、そこまで時間はかからないようだ。

 となれば後は、特製の衣がいつ完成するのか。


『任せて! 今日と明日でばっちり仕立ててみせるから!』


『久しぶりに大仕事になりそうだな』


 マーテルと精霊王は、最速で仕上げてみせるとやる気満々に言い切った。

 ちなみに完成後は、リーズレインが届けてくれるそうだ。


「同じく二日で完成させてくれるそうじゃ」


 重大な仕事とあってか。はたまた、他に理由でもあるのか。特にマーテルが随分と張り切った様子だ。

 とはいえマーテルは、いつもこんな感じである。よってミラは、これといって気にする事なく完成予定日を伝えた。


「いいね、早いね。それならまた二日後、ここで集合って感じでいいかな?」


「うむ、それでよい」


 準備が出来たら、即決行。こういうのは迅速な方が、その分試行回数も増やせるというもの。

 後は早く多く実験を重ねて情報を集め、目的の達成を目指すだけだ。


「それじゃあ直ぐ準備にとりかかろうか。あ、この腕はこっちで保管しておくね。本来の封印柱ほどじゃないけど、それなりのものを用意してあるから。三人とも、お疲れ様!」


 と、そう決まったら即解散。アンドロメダは、神域への入り口及び今思い付くだけの神器対策なども用意するつもりらしい。最後は早口に告げてから、どこかへ飛んで行ってしまった。


「何か僕達、途中から空気だったね」


「それはまあ、あの神器はミラさんとソウルハウルさんしか使えませんので。仕方がないとしか」


 話し合いが終わったところでぽつりと呟いたハミィと、苦笑気味のヴァレンティン。

 神域に行くというあたりから話が飛躍し過ぎて、もはや置いてけぼり気味だった二人だ。


「あー、うむ。なんかすまんかった……」


 ミラもミラで、三神だ神気だ衣だ神器だと興味をそそられるものが目白押しとあって、途中から二人を忘れかけていたりもしたものだ。


「えーっと。とりあえず話の流れからして、次に動きがあるのは二日後って事でいいんだよね」


「そんな感じでしたね。ただ神域まで行くのは難しそうなので、どうしたものか」


「今後のために情報は持ち帰らないとだから、僕はとりあえずここで待たせてもらおうかな。それに大丈夫そうな感じだったけど、なんかよくわからない腕だったからね。万が一に備えておかないと」


「確かに、そうですね。最善の注意を払いましたが、ものがものだけに何が起きるかわかりませんからね」


 魔物を統べる神の骸について、これを消滅させる事が出来るかどうか。その実験結果によっては、未来の戦況が大きく変わっていく事だろう。

 だからこそハミィは、アトランティス王国の将軍としてそれを知っておきたいようだ。またヴァレンティンも、今の悪魔達の企みの中心となっている事もあり、どのような結果になるのか、可能性は見出せるのかに注目していた。

 ただそれとは別に、かの骸が放つ禍々しさも気がかりなようだ。実験が上手くいって脅威が取り払われるのを見届けるまでは、ここに残るという意を示す。

 事実、相当に厄介な代物だ。だからこそ国家戦力級の二人がいれば、その不安も払拭出来るというものだ。


「……まあ、それもそうじゃな」


 その日まで転移で帰っておくという選択肢もあった。けれど二人がいざという時に備えると言うのなら、自分だけ塔に戻ってマリアナとイチャコラしながら過ごすのも気が引ける。

 そう思い直したミラもまた、予定の日まで滞在する事に決めた。


「じゃ、所長のオリヒメちゃんのところ行こっか。部屋貸してって言いにさ」


「え、ここの所長ってオリヒメさんだったんですか!?」


「うむ。随分と頑張っておるようじゃよ」


 この施設については幾らか把握しているようだ。ハミィは勝手知ったるといった顔で歩き出し、それにヴァレンティンとミラも続いた。




 そうしてオリヒメと話し客室の利用許可を得たミラ達は、そこで一度解散する事にした。

 ヴァレンティンは、一度仲間を呼んで情報を共有しておくと言い客室へと向かっていった。


「一先ずは待機じゃな」


 実験の準備が調うまでの間、ミラは特にやる事がなかった。裏では精霊王とマーテルが、せっせと衣を作ってくれている。けれど、それについて手伝える事はない。出来る事と言えば、静かに待つだけだ。


「ミラちゃんって見学した事あるんだよね? じゃあさ、色々案内してよー」


 そう言ってハミィは、あっちにいこうか、こっちにいこうかと興味深そうに廊下を見渡していた。

 この研究所の事は知っているが、任務で来ただけだったらしい。ゆえに所長室などの主要な場所は把握しているが、各研究室については詳しく知らないそうだ。だからこそどこから見学してみようかと、それはもうわくわくした様子である。

 と、その直後──。


「──んー? なんか、すごく熱い視線を感じるんだけど、もしかして僕の可愛さに見惚れちゃったのかなぁ?」


 前方の廊下を見晴らしながら、ハミィが照れたようにそんな事を言い出したのだ。


「なんじゃなんじゃ。まーた哀れな犠牲者が──」


 見た目はとても可愛らしいハミィに騙された者は数知れず。そしてそれは、色々と絞り尽くされた男の数でもある。

 それでいて犠牲者は、今でも出続けているという話だ。さて今度の犠牲者は、どんな男なのか。その可哀想な男の面でも拝んでやろうかと、ハミィが見つめる先へ目を向けたミラは──瞬間に凍り付いた。


「なぜあの二人が、揃いも揃って……」


 そこには、男が二人いた。しかもその二人は、ミラにとっても見覚えのある二人であった。セーラー愛のオペミトランと、ビキニアーマー魂のハイドボーガだ。

 そして二人はハミィの言う通り、熱い視線……というよりは欲望に塗れた目でこちらを見据えていた。

 きっと何かしらの情報網で、ミラが来ている事を知ったのだろう。そして前回の続きを求めて駆け付けたわけだ。

 ただそこで、二人にとっては、ちょっとした誤算が生じた。それは一緒にハミィがいた事だ。

 変態を究めた二人である。オペミトランとハイドボーガの目は今、ミラのみならずハミィの方にも注がれていた。


(流石の変態共じゃな。ハミィとの相性も良さそうじゃのぅ!)


 それを察したミラは、即座に逃走の体勢に入る。ハミィならば、素晴らしいモデルになってくれるはずだ。よってここは一つ、犠牲になってもらおうと。

 だがそれよりも男二人の動きの方が早かった。超一流の職人という事もあってか、常日頃から身に纏うそれらも高性能なようだ。変態染みた機動力で、瞬く間に挟み込まれてしまった。


「えー、二人とも情熱的っ!」


 突如迫られて、満更でもなさそうなハミィ。変態が相手だとしても問題ないようだ。


「ミラさん。次の準備が出来たのでね、協力を頼めるかな。それと拝見したところ、貴女は確かハミィさん。うん、噂通りの可愛さだ。そんな貴女にぜひ着てほしい服があるのですが如何ですかな!?」


 一見、立ち居振る舞いは紳士的だが、その目の奥はどす黒いセーラー色に染まっていた。ミラのみならずハミィにも、その魔の手を伸ばさんと画策──というよりはド直球に誘っている。


「えー、なんか怪しーなー? でも、いいよ」


 対するハミィはというと、こちらもまた随分と歪んだ承認欲求の持ち主だ。下心が丸見えの誘いを喜んで受け入れていた。

 むしろどんな服を着せられてしまうのかと、期待すらしている始末だ。

 と、そんなやり取りを前にしてしまったら、ハイドボーガも黙ってはいられなかったようだ。


「ハミィさん! うちにも君に似合いそうなとっておきがあるんだけど、どうでしょう!? 絶対きっと間違いなく似合うと思うんです!」


 疑いを覗かせながら、それでも頷いたハミィの反応に可能性を見出したようだ。変態だからこそ変態を感じ取れるとでもいうのか。彼女を誘うハイドボーガの目は、素直な欲望を真剣に放っていた。


「もう、僕に何を着せようっていうのさぁ? ……でもしょうがないなぁ、いいよ」


 彼の視線に身を震わせたハミィは、それでいて怪しく微笑みながら誘いに頷き答えた。


(よしよし……その調子じゃ)


 変態二人がハミィに群がっている今がチャンスだ。タイミングを見極めたミラは、その場から一歩二歩と離れていく。

 あの二人に捕まったら、碌な事にならない。中でも特にハイドボーガに対しては、以前に彼らの力作を焼失させてしまった前科がある。ゆえにその賠償の件で、どんな頼みごとをされるかわかったものではない。

 だからこそ彼らにとって理想的なモデルが現れた今こそが、諸々より離脱する好機でもあるわけだ。

 ハミィならばきっと、どんな際どい服でもノリノリで着るはずだ。そうなればオペミトランとハイドボーガも満たされてくれるだろう。

 ミラは、そうハミィに後を託した。否、託そうとしたところだ──。


「──それとミラ様! こっちも新しいのが完成いたしました。先日、ミラ様に破壊された魂の一着の後継ともいえる自信作です。ささ、是非とも!」


 そうは問屋が卸さなかった。素早くミラの正面に回り込んだハイドボーガは、満面の笑みを浮かべながらそう告げる。彼の顔は、今日のこの日に夢が叶うと確信したものだった。

 そもそも最初からロックオンされていたのだ。今回は、そこへもう一人のターゲットが加わっただけの事。もはや初めからミラには逃げ場など、どこにもなかったのである。


「同志と共に、専用の部屋を用意しておいたよ」


「存分にデータを取らせていただきますね!」


 しかもどうした事か、あの後に二人は邂逅し意気投合したそうだ。そして次に備えて、専用の部屋まで作ってしまったという。そう、セーラー服とビキニアーマーが溢れる狂気の部屋が。


「あの時、余計な事をしていなければ……」


「えー? どこに連れ込む気ー?」


 ビキニアーマーを焼失させなければ、まだ断る方法は幾らでもあったはずだ。けれどそれをやり玉に挙げられると、どうにもならないと項垂れるミラ。

 対してハミィは絶好調であった。











最近、色々とありましたので、

先日、久しぶりに豚バラを買ってきました!

しかもハナマサで買ってきました!


豚バラも何だか高くなってきましたが、

1パックの量が多くなっていくほどグラムの値段がお得になるのがハナマサの強さ!

という事でたっぷりあります。


シンプルに美味しい豚バラ。

豚バラカレーを作るのも考えましたが、今回はオーブントースターであぶり焼きにしました!


スパイスとスタミナ源のたれでこんがり焼いた豚バラ!

うまい!!


流石豚バラ。何も考える必要がない!

やはり肉は、普通に焼くのが最強なのかもしれない。


調理技術があれば、色々変わるのでしょうが……。

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― 新着の感想 ―
ソウルハウルの自称嫁にリンクして、神器を使わせる方法はないのかな?とか。 ミラが神域に行ったら加護が変質して亜神化したりして。
俺だってなぁ!美少女になって男をもてあそんで承認欲求を満たしてぇんだよ!ちくしょうめー!なありゅうせん氏、俺悔しいよ・・・!ハミィに対しての嫉妬が止まんねぇよ・・・!
[一言] SFの世界、月に行くの簡単そう と思ったら変態さん達登場! 展開が早い! 夏も終わりかなと思うのに熱い着せ替えが始まるのね~ ミラ頑張れ~ 料理は作るより食べるのが好き 夏の疲れがたまって…
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