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329 女王セレクション夏

何やら先週にグッズの予約が開始されたようですね……!


タペストリーに加えて、

なんと抱き枕カバーが登場です!!


是非とも、よろしくお願いします!

三百二十九



 アルマ秘蔵の極上酒の誘惑は断ち切ったが、女王コレクションへの興味は燻ったままだ。

 ミラはそれを払拭するかのように、今度は冷凍庫の方を開いてみた。


「おや、これは……」


 ひんやりとした冷気がこぼれ出すその半分ほどは、まるでそこには何もないと錯覚するほどに透明な氷で埋まっていた。まず間違いなく、先程の酒をロックで楽しむためのものだろう。だがもう半分は違う。そこには、木製の小さな器が綺麗に並べられているではないか。

 はて、何を冷凍しているのか。その一つを手に取り確認したミラは、「おお!」と喜びの声を上げる。蓋を開けると、優しいバニラの香りがふわりと広がったのだ。

 そう、小さな木の器に入っていたのはアイスであった。

 大国の女王が嗜むアイス。それはきっと、至高の逸品に違いない。そう確信したミラは、早速とばかりにその一つを持ち出した。それからキッチンでスプーンを拝借すると、ソファーに深々と腰掛けて一口目を味わう。


「……! このコクと甘み、そして濃厚なミルクの味わい! これはラクトアイスではない。アイスミルクじゃ!」


 ミラは庶民を脱しきれないチープな感想を垂れ流しながら、極上のアイスをペロリと食べきった。それから即座に立ち上がり、次を求めて冷蔵庫に駆け寄って、もう一つを手に取る。


「なんと……これはヨーグルト味か! ……するともしや他の味も!?」


 二つ目のアイスを口に入れた途端に広がったのは、爽やかな酸味と甘み。見た目は同じような木の器だが、よく見ると蓋に小さく『ヨーグルト』と書いてある。冷凍庫に沢山入っていたそれらは、どうやらバニラだけというわけではなさそうだ。

 残る味も、きっと素晴らしいに違いない。そう信じるミラは、このまま冷蔵庫前に陣取ってしまおうかと思い立ち、椅子を探す。

 と、そんな時だ。ミラの目に、極上の特別席が映ったのである。

 それは、大きく枠取りされた窓の向こう側。青い空を望めるそこには、小さくも優雅にまとめられたテラス席があった。


「おお、なんともまた贅沢そうな気配が漂っておるのぅ!」


 街のどこよりも高い王城の中でも更に高い位置にあり、殊更に別格な女王の部屋にあるテラス席。そこからの眺めは、如何ほどのものか。そして、その眺めを前にして食べるアイスは、どれだけ美味しいのだろうか。

 著しく興味を惹かれたミラは、早速とばかりに窓に駆け寄り、扉になっている部分を開いてテラスへと出た。

 上部にある日よけの先には、見晴らせるほどに高く続く青空が広がっていた。そこから視線を下げていくと、いよいよその光景が目に飛び込んでくる。

 王城から見る首都ラトナトラヤの街並みは、絶景の一言に尽きた。王城周辺は、いかにも小奇麗でお高そうな建造物が並び、その色合いは実に落ち着いたものといえた。

 だが近くを離れると、まるでグラデーションのように街並みが変化していくのがわかる。外へ進むほど賑やかな色合いとなり、伝統的ながらも、どこか新しい建造物が増えていくのだ。


「正に、女王の景色じゃな」


 アルカイト城で見た景色もかなりの絶景であったが、やはり街の規模や城の大きさからして圧倒的に違うここからの展望は、それを遥かに凌ぐ迫力があった。しかし、それは同時に、これだけのものをその背に乗せているという意味でもある。

 女王アルマにとって、ここからの景色は今の自分と同じに見えているのだろうか……などと思ったりせず、「これは特等席じゃな!」と喜ぶミラは、軽やかに椅子に座り、その絶景を眺めながら至福の一時を楽しんだ。




「お、あの辺りが闘技大会の会場じゃな。ここからでもよう見えるのぅ」


 ヨーグルト味、チョコ味、そしてバナナ味と次々にアイスを堪能するミラは、じっと食べているのに飽きたのか、広がる景色をより詳細に見回し始めていた。

 ちょうど正面の向こう側に広がるのは、一際カラフルな場所、大絶賛開催中な闘技大会の会場だ。試合が行われるスタジアムを中心に、様々な催しものが開かれているそこは、遠くから見ると、ますますテーマパークか何かのようである。


「ほぅ、あのような屋台もあったのじゃな。今度食べに行かねば!」


 数キロメートルは離れた会場であるが、ミラはそこをテラスからじっくり観察していた。遠くを見る技能である《遠見》に加え、新たに習得した無形術の一つである《望遠》を合わせる事で、五十倍もの倍率が可能となった。もはや遠くの会場すら、今は目の前にあるかのようだ。

 それを活用し、美味しそうな屋台を探すミラ。それでいて、アイスを食べる事も忘れない。ただ《望遠》の術は、指と指の間に拡大のマナ力場を発生させるものであるため、アイスを食べる際には解除せざるを得なかった。


「お、確かあの辺りがこの間のところじゃったな」


 アイスを食べつつ、あちらこちらに視線を移していたミラは、とある一角を目にしてそう呟いた。そこは、大きな屋敷のある場所。暗殺者達が隠れ家に使い、ミラがヨーグを捕まえた場所だった。


「おーおー、何とも物々しい感じになっておるのぅ」


 現場は今、どうなっているのだろうか。《遠見》と《望遠》で屋敷周りを見てみたところ、そこは兵士達によって封鎖されているのがわかった。『イラ・ムエルテ』という組織と関係があったかもしれないヨーグが拠点としていた屋敷である。証拠一つ、手掛かりの一切合切を逃さぬように、隈なく調べ尽くすつもりなのだろう。


(む。あの娘は……セシリアとかいうたな。ふむ、なるほどのぅ。そのまま現場の指揮に就いたのか)


 屋敷の様子を見回していたところで、ミラは見覚えのある女性の姿を窓の奥に見つけた。色々な意味でも守りの堅い騎士鎧姿のセシリアは、きびきびと現場を取り仕切っている様子だ。何となく、張り切っているような色がその顔からは窺えた。





「お待たせー、やっと終わったよー……って。好きに食べていいとは言ったけど食べ過ぎだよ、じぃじ。お腹壊すよ」


 アルマが仕事を終えたのは、ミラがアイスを食べ始めてから三十分後。テラスから部屋に戻った五分後の事。予定の時間より幾らか遅れてきた彼女が見たのは、テーブルの上に重ねられた空の器が七個と、満足そうにソファーで寝転ぶミラの姿だった。


「なーに、大丈夫じゃ。この程度で腹を壊すほどやわではないからのぅ!」


 むくりと起き上がり快活に笑い飛ばしたミラは、その口で「どれも最高に美味かったぞ」と続け更に笑った。


「まったく、じぃじってばもう……」


 半ば呆れながらも、仕方がないとばかりに苦笑したアルマは、そのまま正面側のソファーに腰掛けて「それじゃあ護衛の件なんだけど」と、すぐさま次の話に移す。

 対してミラもまた「ふむり」と姿勢を正して向かい合う。そうすればこの場はたちまちに、アイスだなんだという話から国家機密の会議場へと変わった。

 話はまず一昨日の話の再確認から始まり、次に作戦の影響について触れていく。


「多分暫くは護衛が代わった事で様子を見てくると思うから、そう大きくは動いてこないはずよ」


 ミラが巫女の護衛に就く事に際し、敵側はどう反応するのか。最初の数日は、その辺りを把握するために費やすとの事だ。

 絶対不可侵の力を持ちながらも傍にいられない護衛のノインから、傍にいられる最近話題の凄腕冒険者のミラに代わった時、向こうはどのような手段に出てくるのか。これをチャンスと捉え、一気に巫女を狙いにくるのか。それともミラの能力を警戒し、情報集めを優先するのか。そのあたりを探るわけだ。


「ふむ、そうか」


 場合によっては、直後に暗殺者とやり合う事になる。ミラは、どのように守りを固めようかと思い浮かべながら頷き答えた。

 それから更に話を詰めていくのだが、その途中で、巫女の簡単な個人情報についても教えてもらった。

 まず、巫女の名はイリス。十四歳の少女であり、巫女などという肩書や境遇にそぐわず、大変活発だという事だ。


「それで、今日の夜が力を使ってもらう日になってるの。だからじぃじが護衛を代わった事もその時に伝わるからね」


「うむ、わかった」


 イリスが持つ、特別な力。それは、物や毛髪など、特定の人物との関係が深いものに触れる事で、その者が何をしたか、何をしようとしているのかを読み取れるというもの。

 この力の強みは、時間が限定されないところだ。その物体に残る情報ではなく、その物体を起点として本人に接続し、()を読み取れる点にある。

 現時点では、その力により『イラ・ムエルテ』の最高幹部、『闇路の支配者、ユーグスト・グラーディン』の行動を完全に封殺出来ていた。

 だがこの力には、使うと巫女側の情報も相手に流れてしまうというデメリットがあった。

 そのため今は、巫女の存在に気付いたユーグスト側より暗殺部隊が差し向けられている状況にある。加えて卑劣な策略により、巫女が男性恐怖症となった結果、護衛についていた十二使徒の一人であるノインがその役目を完璧に果たせない事態に陥っていた。

 そんなところにやってきたのが、ノインと同等の実力を持つミラであり、彼の代わりとして役目を任された。というのがこれまでの流れだ。

 そしてここから先のミラの仕事は、約束通りに巫女の護衛に就き、大会中を守り抜く事。その間にアルマが指揮する諜報部や十二使徒らが、動きをみせるであろう『イラ・ムエルテ』の構成員を特定、そこから情報を辿り、敵の幹部へと迫る。

 と、今後を大雑把にいうならば、そういった作戦になっていた。


「ところで、この間わしが捕まえた暗殺者共は、どうじゃ? 何か有益な情報でも引き出せたか?」


 巫女について、一通り話がまとまったところで、ミラはふと思い出した案件について問うた。

 この大会時期を狙って、巫女の様子を探りにきていた暗殺者は確かにいた。それを、ちょっとした成り行きで見つけ、結果、暗殺者集団のアジトを壊滅させたミラ。するとその中には、『イラ・ムエルテ』に属していると疑いのあった男、ヨーグがいた。組織について重要な何かを知っている可能性の高い重要人物だ。


「んー、それがね……すっごく口が堅くて難儀しているところ」


 アルマは、溜め息混じりにそう答えた。どれだけ尋問しようと、一言も発する事無く沈黙を続けているそうだ。また、様々な自白剤を試したものの、ヨーグはそういった薬品類に対して高い耐性を有しているという。


「きっと、こうなった時のために鍛えていたのね。うちにある一番強い薬を使っても不敵に笑うだけで、何も話してくれないの。だから、もう少し時間がかかりそう」


 そこまで語ったアルマは、別の薬を使って自白剤への耐性を下げている最中だと続けた。鉄壁の耐性を少しずつ削ぎ落していき、最終的には自白剤で洗いざらい吐いてもらうとの事だ。

 しかしながら、危険な薬物であるため少しずつ投与するしかなく、ヨーグから情報を引き出せるようになるには、二ヶ月ほどは要するそうだ。


「二ヶ月とはまた、時間がかかるのぅ」


「出来れば、大会本戦の前に……作戦の協力者が集まる前に情報をゲットして次に備えたいんだけど、こればっかりはねぇ」


 暗殺部隊との連携を考えると、ヨーグが持っているだろう情報として推察出来るのは、潜入中の工作員の人数、素性、闘技大会での役割などだ。特に闘技大会で、どのように重要人物を狙うつもりなのかという情報は、優先的に入手しておきたいところである。

 また、彼が過去に行ってきた仕事の中に、幹部へと繋がる情報が含まれている可能性も十分にあった。これもまた対策される前に、是が非でも訊き出したい情報だ。

 とはいえ、正攻法では時間がかかると嘆くアルマ。禁止薬物でも使って無理矢理吐かせようか、などと冗談半分で言いながらも、少しだけその目に冷徹な色を浮かべていた。







アイポッドを手に入れたという事もあり、

早速、音楽をダウンロードしました!

じっくりと厳選しているので、まだ10曲前後ですが

やはりいいですねぇ。ポータブル……。


と、そんな感じで好きな曲をダウンロードしていたところ

どう検索しても見つからない曲がありました!


嵐のモンスターと

キンキの僕の背中には羽根がある

です!


これについて色々と調べてみたところ、なんとジャニーズ系の曲はアイチューンに無いという事実に辿り着きました……。


よもやこんな事に……。


なお、初ダウンロード曲は、

セブンウップスのオレンジ(オーケストラバージョン

です!!


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― 新着の感想 ―
[一言] そういや、降魔術士に幻影を掛けてもらってノイン君を女の子に見せ掛ける、じゃダメなんですか?
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