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197 開戦 マキナガーディアン

さて、コミック版の8話目が公開されましたね。

そして、コミック版の1巻が3月末頃に発売予定となっております。

書籍版と同時発売、みたいになる感じですね。

どうぞよろしくお願いします!

百九十七



「という事で、敵は昨日のでかぶつじゃ」


 城壁裏の門の前。ミラは昨日に引き続き、アイゼンファルドとヴァルキリー姉妹を召喚して、簡単に状況を告げた。


「お任せください、母上!」


 連日で召喚されたからか、アイゼンファルドはいつにも増して機嫌が良さそうだ。今にも飛び出して行ってしまいそうなほどに勢いがあった。


「我ら姉妹、主様の御心のままに」


 対して姉妹達は、粛々とした様子でこれに応える。だが、その目には強い闘志が宿っていた。格上との戦いに昂っている様子だ。若干一名、末っ子のクリスティナを除いて。昨日の激戦を思い出したのだろうか、クリスティナは、どこか涙目である。


「次は、サポート要員じゃな」


 そう呟きながら、ミラはロザリオの召喚陣を展開する。

 最高の戦闘力を誇るアイゼンファルドと、全てにおいての適応力に優れるヴァルキリー姉妹。全力で戦う際には欠かせない両者の次に続けて、ミラは補助要員となる者達を召喚していった。

 音の精霊レティシャ、静寂の精霊ワーズランベールを筆頭に、ペガサスとケット・シー、更にガルーダも姿を現す。


「奏主様ー。奏主様の歌二番が出来ましたよぅ」


 魔法陣から出てくるや否や、ハミングを始めるレティシャ。


「久しぶりの登場かと思えば、何やら……錚々たる顔ぶれですね……」


 皇竜アイゼンファルドや、ヴァルキリー姉妹、レティシャ等を目にして、少し引き攣った笑みを浮かべるワーズランベール。

 対して、ケット・シーは元気いっぱいだ。


「決戦の予感、ですにゃー!」


 新顔もいるが、そこに居並ぶメンバーと雰囲気から現状を把握したようで、ケット・シーは息巻きながら[勇敢と無謀は紙一重]と書かれたプラカードを手に飛び跳ねる。

 そしてペガサスはというと、さも当然とばかりにミラの隣に立っていた。

 そっと片隅に佇むガルーダは、寡黙なまま、ただミラの指示を待つ構えだ。


「今日は激しい戦いになると思うが、よろしく頼むぞ」


 ミラが全員を見回してから、そう口にした直後、そこに揃った者達の雰囲気が一気に引き締まる。若干二名、レティシャとケット・シーはその限りではなかったが、それでも程よい緊張感が辺りを包む。


「さて、次はいよいよ本隊の召喚じゃな」


 ミラは城門裏の各所に素早く召喚地点を設定していく。今の時点でも街一つを攻め落とせるだけの戦力が揃っているが、マキナガーディアン相手では、まだ足りない。

 たった二人でレイドボスを相手にするのだから、出し惜しみなど出来るはずもない。

 なので今回のミラは全力全開であり、ミラがもっとも得意な、数の暴力の出番となる。

 周囲のマナを自身のものとする《仙呪眼》をその目に宿し、召喚術を行使したミラ。すると同時、ミラの全身に精霊王の加護紋が浮かび上がる。

 それは今までの『軍勢』召喚とは似て非なるものであった。

 ミラの正面を中心にして、無数の魔法陣が連鎖するかのように広がっていく。その魔法陣は、ダークナイトのものではなく、その魔法陣はホーリーナイトのものでもない。

 千にも達するそれらから、いよいよミラの新たな切り札が姿を現す。

 ダークナイトとは違う、ホーリーナイトとも違う、けれどその姿は確かに騎士だった。


「うむ、上手く出来たな」


 居並ぶ新たな『軍勢』を眺めながら、ミラは満足そうに笑う。

 それは、精霊王の加護を最大限に活用し、ソウルハウルの研究書から得た合成術の知識でまとめ上げた、ミラ独自の召喚術であった。

 精霊王の加護にある、『繋ぐ力』。ミラは精霊屋敷の利便性を上げるため、これを利用しキッチン回りやシャワーなどを使用出来るように、各精霊の力を精霊屋敷に繋げた。

 そしてこの時、ミラは同時に考えたのだ。他にも繋げられるのではないかと。そして、その考えを確定づけたのが、ソウルハウルの合成術理論だった。

 結果が、この灰色の騎士である。正に放浪騎士という呼び名が似合いそうな容姿をしたこの騎士は、左手に騎士盾、そして右手には黒い聖剣を携えていた。

 ミラは、ダークナイトとホーリーナイトを繋げたのだ。しかも更に聖剣サンクティアの力も加えた事により、そのポテンシャルは飛躍的に上昇していた。

 ダークナイトとホーリーナイトの特性を併せ持ち、尚且つ、全体的に能力が底上げされた灰騎士。手にした得物は聖剣であるため、特に攻撃面での強化が著しい。

 ミラの新召喚術は、武具精霊という枠組みを遥かに逸脱したものだった。その内に秘められた力は、上級召喚に勝るとも劣らないだろう。それでありながら武具精霊であるがゆえに、その召喚数に制限はなかった。

 とはいえ、これはおいそれと使える代物ではない。精霊王の加護を介し、更には聖剣サンクティアも加えたため、灰騎士一体のマナコストが結構な量なのだ。それこそ上級召喚一回分に相当するほどに。

 けれど扱いは下級召喚なので、詠唱なしで上級召喚相当の戦力を投入出来ると考えれば、運用方法は幾らでも考えられるだろう。


「さて、アルフィナよ。大技使用の判断と、この軍勢をお主達姉妹に預ける。早急に、隊を組んでくれ」


 ミラは新しい『軍勢』の出来栄えに、確かな手応えを感じて振り返る。


「畏まりました」


 姉妹達にとっては、初めて目にするだろう灰騎士の姿。それは見ただけでわかるほど、これまでにない力を秘めたものだった。それだけの兵を預けるというミラの言葉に、計り知れないほどの栄誉を感じたアルフィナは、心の内を喜びに染めながら、ミラに跪いた。

 アルフィナの指揮の下、姉妹達は灰騎士の『軍勢』を振り分けて、隊を組み始める。

 ミラは、アルフィナの随分と張り切った様子の声が響く中、ケット・シーに向き直った。


「さて、団員一号よ。今回もお主には、例の重大な任務を頼みたい。分かるか?」


 そう言うとミラは、小石程度の大きさがある四つの魔封石を、ケット・シーに手渡した。


「やり遂げてみせますにゃ!」


 それを恭しく頂戴したケット・シーは、素早く忍者のような衣装に着替え、にんにんと忍びのポーズ。その背にはド派手な色で[陰の主役]と書かれたプラカードがあった。

 例の重大な任務。ケット・シーは、詳細を言わずともそれが何かを理解していた。それもそのはず。かつてより最大戦力が必要な状況においては、これがケット・シーの仕事だったからだ。

 その内容とは、ミラが特別に拵えた特殊な魔封石を戦場の四隅に配置するというものである。

 魔封石に封じられたものは、召喚術士の技能、《アルカナの制約陣》。これを設置する事で、近くに存在する召喚体の力を強化する事が可能となる。そして、最もその効力が発揮される状態が、制約陣で四方位を囲む事。そうする事によって、囲んだ範囲を制約陣の影響下における。最大範囲に制限はあるものの、今回の戦場となる大部屋程度ならミラの力をもってすれば、十分にカバー出来る。

 術者の近くにしか設置出来ない制約陣だが、何かと器用なケット・シーの力を借りる事によって、遠く離れた場所にも素早く設置する事が可能だった。裏方ではあるが、中々の大役である。


「今度の戦場は、いつも以上に危険じゃからな。手伝ってやってくれ」


 ミラはそう言いながらケット・シーを抱え上げて、そのままペガサスの背に乗せた。

 ゲーム時代で同じような状況下の時、そこには大抵、全ての九賢者が揃っていた。けれど今回はミラも含め、たった二人である。ケット・シーが駆け回るには少々心許ないと判断したミラは、ペガサスの機動力に頼る事にしたのだ。


「小生にも、遂に相棒が出来ましたにゃー!」


 背の上ではしゃぐケット・シー。その様子に一瞬表情を顰めたペガサスだったが、ミラが「護ってやってくれ」と、その鬣を撫でつけた途端、やる気十分とばかりに嘶く。そして背の方へ振り向き、何かしらケット・シーに声をかける。


「何十とこなしてきた任務ですにゃ。小生にお任せですにゃ!」


 内容は把握しているのか、本当に大丈夫なのか。そのような言葉が交わされたのだろう。ペガサスに応えるようにして、ケット・シーは堂々と胸を張る。実際のところ、なんだかんだでケット・シーは場数を踏んでいたりする。その仕事ぶりは、確かなものだ。


「さて、次じゃが」


 小さいながらも頼もしく愛らしいケット・シーに続き、ミラはワーズランベールとガルーダに向き直った。その時、丁度隊列を組み終え、見事七つの隊に分けられた『軍勢』を率いたアルフィナが戻る。


「ふむ、丁度良い。では今回の要となる作戦を伝える」


ミラは、そこに居並ぶ大軍団に向けて、打倒マキナガーディアンの作戦概要を説明していった。




「開門!」


 小国程度ならば容易く攻め落とせるだろうという戦力を背にしたミラは、上にいるソウルハウルに向けて、そう叫んだ。すると少しした後、鈍く重厚な音を響かせて、見上げるほど巨大な門が開き始める。

 僅かな隙間から、向こう側の光景が目に入る。そして、これまでくぐもって聞こえていた弾着の音が直に響いてきた。

 見るとマキナガーディアンは、初めに確認した時よりもずっと近くまで迫っていた。砲撃による足止めも、その効果が薄くなり始めているようだ。学習したのだろう、砲弾を受け流す動作がより洗練されており、反応も早くなった分、より近づけたという事だ。砲身の旋回角度からして、もう少し遅かったなら、懐に入り込まれていたかもしれない。

 けれど今、全ての準備は整った。ミラは、いよいよ全開になった門の前に立ち、マキナガーディアンを正面から睨む。

 直後、これまで鳴り響いていた砲火が止んだ。するとその瞬間を待っていたとばかりにマキナガーディアンが脚を大きく前に進める。

 と、その瞬間だ。全ての砲門が一斉に火を噴いたのである。

 マキナガーディアンに確かな損傷を与える事の出来る一斉砲火だ。途端に対応するマキナガーディアンだったが、十数発がその胴体に突き刺さり爆炎をあげた。


「突撃じゃー!」


 それを合図として、ミラは高らかに号令を発した。するとその背後で静かに待機していた軍勢が、一気に動く。

 一斉砲火の後、装填のために生じた無音の時間。けれど『軍勢』が出撃出来る今、その隙はあってないようなものだ。

 まず、アイゼンファルドが飛び出した。そして、もうもうと立ち込める煙の中、今まさに『大暴れ』を決行しようとしていたマキナガーディアンに、ドラゴンブレスが炸裂する。

 迸る閃光、吹き荒れる熱風。それは瞬く間に離れていき、遠くで激しく眩い爆炎を上げた。

 マキナガーディアンは、アイゼンファルドの強烈なドラゴンブレスによって端の方まで押し戻されていた。巨大であると同時、恐ろしいほどの馬力を誇るマキナガーディアンを、一撃で押しやる。それはとてつもない威力であるが、これでもまだ召喚術の制限によって十全な力ではないというのだから、驚きだ。上で見ていたソウルハウルも、かつてより更に威力を増していたそれに苦笑していた。曰く、近距離でそれを撃つな馬鹿野郎と。

 そうして爆風吹き荒ぶ中、それに続きヴァルキリー姉妹率いる灰色騎士団が戦場になだれ込んでいった。見事に統制のとれた動きで広がっていき、マキナガーディアンを囲むように布陣するその様子は、正に百戦錬磨の精鋭軍。再び城壁に襲い掛かろうとするマキナガーディアンの脚を止めさせると、本格的な戦闘が始まった。


「作戦開始ですにゃ!」


 マキナガーディアンの意識が完全に灰色騎士団に移った事を確認したケット・シーは、ペガサスの背にぎゅっと掴まり、城壁の片隅をプラカードで指し示す。そのプラカードには[この作戦が勝敗を分ける]と、自信満々に書かれていた。


「うむ、頼んだぞ」


 ミラがそう口にすると、ケット・シーは意気揚々に、ペガサスは落ち着いた様子で頷き応え戦場へ繰り出した。


「さて、次じゃな」


 ミラは後は任せるとばかりに、門の内側で待機するワーズランベールとガルーダに目配せした。そして両者が静かに頷くのを確認してから、レティシャを連れて城壁の上、ソウルハウルがいる場所へと戻る。


「状況はどういった具合じゃ?」


 ソウルハウルの隣に並び立ち、ミラは戦場に目を向ける。そこでは敵視を集めたアイゼンファルドを主軸にして、『軍勢』が上手い具合にマキナガーディアンの包囲を完成させていた。


「今のところは順調そうだな。それと、長老が隠し玉だって言ってた、あの灰色の騎士。何度か切り結ぶところを見たが、十分な威力だったぞ」


 ソウルハウルは、戦場から目を離さないまま答える。本格的に戦闘が始まる前まで止む事なく続いていた号砲は大人しくなったが、頃合いを計って砲台は火を噴いている。それは見事にマキナガーディアンの注意を逸らし、時に動きを制限して、アイゼンファルドと姉妹達の援護となっていた。


「ふむ、やはり聖剣を持たせて正解じゃったな。ならば防御強化にするとしよう」


 レイドボスの中でも特に耐久度に優れたマキナガーディアン。その戦いを前に一番心配だったのは、装甲を抜けるだけの攻撃力があるかどうかであった。学習能力があると知れた以上、長期戦は避けたいところだ。

 かつてのマキナガーディアン戦では、魔術士ルミナリアを筆頭に、退魔術士ヴァレンティン、仙術士メイリンと、十分な火力が揃っていた。けれど今は、その内の一人もいない。なので、手持ちの札の中でそれを補う必要があった。

 二時間を切る討伐記録を持つソロモンと九賢者の戦力までとはいかずとも、せめて今日中に打倒出来るだけの火力。そこでミラが目をつけたのが、聖剣だ。


「ではレティシャよ。『愛しき騎士のセレナーデ』を頼む」


「リクエスト、承りましたよぅ」


 戦場を見渡せる櫓の隣、そこには広い足場があった。レティシャは陽気にスキップなどしてそこの中央に向かう。

 城壁の上、不自然に広がるその足場は、レティシャが中央に立つ事で、その意味を持つ。そこは、彼女のためだけに用意されたステージだった。

 かつてより共に戦う事の多かった、ソウルハウルとの連携の一つである。近づく者は、城壁に備え付けられた砲台によって撃ち落されるため、レティシャの音楽を止めるのは、相手からすると困難極まる事だろう。

 そんな舞台に立ち、レティシャが曲を奏で始める。不思議な力が宿った曲は、距離など関係なく戦場全域に響き渡り、レティシャが味方と認める者に力を与えていった。その効果はダメージの軽減だ。


「これで暫くは様子見じゃな」


「ああ、予定通りに動きが変化するかどうかだ」


 マキナガーディアンは、その損傷度合いによって、行動パターンや攻撃方法などが変化していく。その最たるものが、昨夜見たレーザービームだ。損傷が八割を超えたあたりから使ってくるそれを、昨夜は通路の一斉掃除に使ってきた。

 ミラとソウルハウルは、そういった事実も踏まえて、まずは観察するという作戦をとる事にしたのだ。



 ミラは、技能大全で知り新たに習得した技能《遠見》を使い、城壁の上から戦場を把握して、アイゼンファルドや姉妹達に細かな指示を送る。

 そしてソウルハウルもまた、ミラから教わったばかりの《遠見》で精密に照準を定め、砲撃で援護を続ける。

 マキナガーディアンの攻撃には、弱と強があった。予備動作の小さい弱と、大きい強だ。徹底して護りに注力しているソウルハウルは、この強の予備動作を見逃さず、見事砲撃で潰していた。

 そのため、一撃で消し飛ぶような攻撃を受ける事はなかった。

 そうして開始から約二時間。マキナガーディアンとの戦闘は、概ね予定通りに進んでいる。敵の損傷度合いは、四割を超えたあたりだろうか、行動パターンの変化と、攻撃手段の増加を確認したが、それはミラ達が知る通りのもの。予定外の動きは今のところ見られない。

 尚、攻撃手段が増えた事なども相まって、自軍に幾らかの損害は出ている。とはいえ、それは主に最前線の灰騎士だけであった。そしてミラは、そのたびに個別に灰騎士を再召喚していた。それで全ての数を補充はしきれないが、それでも数の消耗は抑えられている。ただ、マナの枯渇がそれだけ早く、その都度ミラは城壁の裏に隠れては、《転界心法》でマナを回復した。

 ケット・シーとペガサスコンビが見事任務をやり遂げ、今戦場は最大限に発揮された《アルカナの制約陣》の効果で満たされた状態だ。しかしこれの効果は三十分ほどなので、効果が切れる前に再びケット・シーとペガサスは戦場を飛び回り、魔封石を設置し直すという作業を続けている。

 その努力の甲斐あって、アイゼンファルドやヴァルキリー姉妹、そして灰騎士の能力が底上げされていた。更に防護障壁の自動修復もあるため、より長期戦に有利な状況である。とはいえ、マキナガーディアンの一撃は重く、直撃を受けると、その恩恵も効果を発揮されず粉砕されてしまうのだから油断は出来ない。

 けれど、それもまだ予想の範疇。とりあえず、マキナガーディアンの損傷が五割を超えるまではこのままでいこうというのが、今の予定だ。


「やはり『大暴れ』は、厄介じゃのぅ」


「それでも、三回喰らってあれだけ残ってりゃ大したもんだ」


 八本の脚をジタバタさせた後に飛び上がって、ボディプレスのように覆いかぶさり、その下で大爆発を起こす。プレイヤー達の間で『大暴れ』と呼ばれる攻撃によって、『軍勢』が削られていく様を見守りながら、そう言葉を交わすミラとソウルハウル。

 直撃すれば完全に固めたトッププレイヤーですら軽く蒸発してしまうそれには、灰騎士も耐えられるはずはなく、これまでの戦闘分と三回目の大暴れによって、既に数を四割ほど減らしていた。逐一補充をしていたにもかかわらずだ。

 しかしこれまでの、ダークナイトからなる『軍勢』だった場合、既に壊滅していてもおかしくはない状況である。『大暴れ』の余波にも、十分に消し飛ばしてしまう威力があるのだから。まだ六割が残っているのは、ひとえにホーリーナイトの防御力が加わったからこそだ。


「厄介とはいえ、この隙はやはり美味しいのぅ」


「だな。この一瞬で二パー(2%)は削れそうだ」


 マキナガーディアンの『大暴れ』は、最後の大爆発の威力もさることながら、その反動で本体が大きく吹き飛ぶという欠点があった。体勢を立て直すまで五秒もないが、ミラ達からすれば十分な狙い時である。

 戦場ではアルフィナの指示の下、灰騎士がマキナガーディアンへ一斉に飛びかかっている。そしてアルフィナもまた、姉妹達と力を合わせた大技の構えだ。

 マキナガーディアンが体勢を整えきる直前、一太刀ずつ浴びせた灰騎士等が蜘蛛の子を散らすように後退し、それを見計らったアルフィナが、姉妹達で生み出した光の槍を放つ。

 一瞬の閃光、そして間をおいての轟音。その威力は、アイゼンファルドのドラゴンブレスには及ばないまでも、相当な損傷をマキナガーディアンに与えていた。

 そこへ追い打ちとばかりに、城壁からの一斉砲火が着弾する。


「お、五割を切ったようじゃな」


「だな。いよいよ第二段階か」


 蜘蛛に似た姿をしたマキナガーディアン。その目にあたる部分が青から緑に変わるのを確認したミラとソウルハウルは、その動向を注視するべく戦場を睨んだ。

 力強く起き上がったマキナガーディアンの背が、突如割れる。いや、開いた。するとそこから無数の何かが飛び出して、次々と戦場の方々に降り立つ。


「出てきおったな」


「ああ、ここもまた予定通りか」


 計五体。そこに現れたのは、ミラが途中で戦った徘徊者に似た姿をした、『機械仕掛けの守護者』だった。マキナガーディアンの損傷度合いが五割を超えたところで出現するそれは、徘徊者に匹敵するほどの戦闘力を誇る強敵だ。

 とはいえ、その出現はこれまで通り。折り返し地点となるこの段階でも、マキナガーディアンに予定外の動きはない。その事を注意深く確認しながら、ミラは戦場を見回して、それぞれの守護者の対処に『軍勢』を割り振っていく。

 五体の守護者は、個体ごとで手にする得物が違う。そして姉妹達もまた、総じて剣を手にしてはいるが、状況によって使い分けるため、もう一つ得意武器というものを所持している。

 ミラは、それらの相性を素早く見定めて、有利になるように姉妹達をあてがう。長女アルフィナ、次女エレツィナをマキナガーディアン本体の対応に残し、三女以下の隊がその任に就いた。

 姉妹達の統率力は素晴らしく、瞬く間に『軍勢』は隊ごとに分かれていく。そして守護者が動き出すより早くそれを包囲して、有利な状況を作り出した。

 マキナガーディアンに挑むほどの実力者にとって、守護者は徘徊者と同じく、油断しなければ一人でもどうにかなる手合いだ。しかしだからといって放っておくと連携を取り始め、これが中々無視出来ない被害をもたらす。しかも最終的には合体して更に厄介な存在となるのだ。ゆえに、各個撃破は必須であった。

実は最近、謎の一つを解明したんですよ。

前に少し、冬になるとミロが溶けにくくなる、何ていう事を言っていましたが、その解決策がほぼ明らかになりました!


冷たい牛乳でも溶けるというミロ。それは確かに溶けるのですが、冬になるとなぜか溶けにくくなるあの現象。

正確には、牛乳に入れるとさっと溶けていくのに、この時季は牛乳の上に残ってミロの山になる状態です。

少量の牛乳を温めて、そこに溶かしてから。というのがもっともな解決策なのですが、

冷たい牛乳で溶けるはずなのに牛乳を温めなければいけないというこのひと手間が、めんど……何だか負けた気がするので、色々と試行錯誤したのです。

そして遂に見つけました。冷たい牛乳でも、さっと溶かす方法が!

自分、最初は冬なので牛乳がいつもより冷えてしまうから溶けにくくなってしまっているのかな、と思いました。

しかし、それは違いました。冷蔵庫から出して常温に戻したところで試しても溶けないのです。

次に考えたのは湿度です。冬といえば、絶対的な湿度が低いから、乾燥して溶けにくいのではないかと。

しかし、これでもありませんでした。というより湿度の追及はめんど……その前に解決したので試してはいませんでした。

では、その解決方法とは! ミロが溶けにくかった原因とは……。


次回に続く!!



何て事はなく、この研究成果を発表いたしましょう。

これを解決するのは、実は簡単な事でした。

その方法とは、

ミロの粉の方を温める。です!

いやはや盲点でした。まさか粉の方の温度が影響するだなんて……。

なので今はミロを作る前に、こたつの中に突っ込んでおります。しっかり温めてから牛乳に入れれば、いつも通りさっと溶けてくれました。

万歳!


……長い!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミロに対する熱さが凄い!
[良い点] 数日前から読み始めてやっとここまで! 面白いです! アニメ化するとか、とても楽しみです♪ わしかわって言い方も読み進めて来て馴染んで来ました [一言] 本編の後の作者さんの一言欄っていうの…
[良い点] 正月という事で見返してみましたが、やはりガーディアン戦はミラ達賢者の最大戦力投入が見れて読んでて惹きつけられますね。 もっとレイドボスが出てくることを今後に期待してます笑笑
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