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11 「歓迎パーティーは面倒です」

遅れてすみません!!



(だ、大丈夫か?ヴィー)


(大丈夫なわけない。とてつもなく、面倒くさい。レティシア様に癒されたい)



私とルットは念話でそう話します。

今日は学園の新入生歓迎パーティー。なのですが。



「ヴィクトル様!わたくしと踊ってくださらない?」


「まぁ!抜け駆けは許しませんわよ!ヴィクトル様、ぜひわたくしと!」


「何をおっしゃるの。わたくしが最初ですのよ!」



と、まぁ開始早々この調子で困っております。ええ。もう帰りたいです。ルットも人気はありますがここまでではないですね。

私には婚約者がいるのですが、一部の貴族にしか知らされていませんからね。正式な発表はレティシア様が学園に入学するときだそうです。それまでは一応秘密なので…



(自力で捌かなきゃなー)



そして、一番厄介なのが…



「まぁ!皆様わたくしを差し置いてヴィクトル様と踊ろうとなさっているの?これですから身の程知らずはいやですわ。一番初めに踊るのは将来の伴侶となるわたくしでございましょう?ねぇ、ヴィクトル様」



この女。あ、しまった。第一王女殿下ですね。

この方、さも自分が婚約者であるとでもいうかのように言うんですよ。ほんと、迷惑な話ですね。こういう人嫌いです。あ、どストレートすぎましたか?えぇと……こういう人はちょっと、いいえかなり苦手です。



(ヴィーどうす_)


「マリエルやめなさい。ヴィクトル殿には決まった相手がいるだろう?それなのに自分が婚約者であるような発言は控えるんだ」


「お、お兄様!」



助かった…。

唐突に表れたのは第一王子殿下。王位継承権第一位の優秀な人です。実力もそうですが人柄も好ましく、私自身も第一王子殿下が王になるのならいいと思っています。第二王子は……はい。



「妹が迷惑をかけたね」



そう言って第一王子殿下は微笑みます。男でも見惚れてしまうような微笑みをたたえる殿下に周りのご令嬢は見惚れておりますね。

でも少し黒い笑みに見えるのは気のせいでしょうか。



「いえ、滅相もございません…ですが、助かりました」


「はははっ!父上も早く発表してしまえばいいものを。そうすれば君も少しは断りやすくなるだろうに」



話をそのまま続けるのは構いませんが名乗らないのは大丈夫でしょうか…一応、礼儀だと教わっているのですがね。



「あぁ、すまない。クロヴィス・ビュファールだ。君の先輩になるね。すぐ卒業するが。あと、そのうち義兄にもなるか」


気がはやい


「ヴィクトル・ベルナードと申します。殿下とお会いできて光栄でございます」



しっかりと笑みを返します。ルットがたじろいだ気もしないでもないですが気の所為でしょう。きっと。



「ヴィクトル。そこまでかしこまらなくていい。敬語もいらないし、クロと呼んでくれたまえ」


「い、いえ。それは流石に…」



手を振って拒否しようとすると遮られ、黒い笑みを浮かべられました。



義兄(あに)(うえ)でもいいぞ」



ん"ん"。何を言っているんですかこの方は。義兄上はまだ早いでしょう。まだ結婚してないんですよ?!そこじゃない?まぁそうなんですけど。それにそもそも私の精神が持ちません……が、観念しますか。



「……わかったよ。クロ」


「それでよし。あぁ、そうだ。ヴィー」



立ち去ろうとしたクロは振り返ってニッコリと笑って言いました。



「レティからの伝言だ。『念話、お待ちしております』だと」



伝言は嬉しいのですが…その目はやめてください。ニヤついているのバレバレですからね?!



「……はい」



くそぅ…いつかやり返してやりますから。

クロのおかげで令嬢達がいなくなったので、テラスに出て魔法を使います。もちろん『念話』です。



(レティシア様、今大丈夫でしょうか?)


(ヴィクトル様!ええ、大丈夫です。パーティーはいいのですか?)



こちらを心配しているのでしょうが声が弾んでいますね。レティシア様が嬉しいなら私も嬉しいです。



(いえ、少し疲れてしまって。レティシア様の声が無性に聴きたくなりました)


(レティシア様?)


(………………ずるい)



やっと聞こえてきた言葉に笑みがこぼれます。

これは……嫉妬ですかね?



(わたくしだって…ヴィクトル様とお話ししたかった)


(え?今__)



話しているでしょう、と言いかけて遮られました。



(直接お会いしたいのです!…だってヴィクトル様は女性に人気ではございませんか。わたくしだって、ヴィクトル様と踊りたい…)



人気、というのは否定できないですね。自意識過剰かもしれないですけれど…。

そんなことより、すねてるレティシア様も可愛いです。先ほどのイラつきなど吹っ飛んでいきますね。



(ダンスは次回の歓迎パーティーまで取っておくよ)


(え?)


(最初のダンスはレティシアがいい)


(……その言葉忘れないでくださいね。では、失礼します)


(ああ、よい夢を)



そう言って魔法を切って会場に戻る。もちろん、レティシア様以外の令嬢と踊るつもりは微塵もない。

それが、私の誠意だから__










___________________________

《ステータス》

ヴィクトル・ベルナード


8歳

Lv 1

HP 5,400

MP 2,700


《職業》

???


《称号》

ベルナード公爵家長男 異世界からの転生者 神の愛し子

シルヴェストル・ボワレーの主 運命にあらがう者

レティシア・ビュファールの婚約者


《適性》

魔法 9,999

魔術 9,000

剣 9,000

槍 8,500

弓 9,500

体術etc.


《状態異常》

悪夢

___________________________

次回は5月19日投稿です。

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