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10 「学園でも面倒ごとは起こります」



「ルット、おはよう」


「おはよう、ヴィー。良かったね。同じクラスだ」



叔父様にも許可をもらい『愛し子』であることは伏せることになりました。もしかしたら監視下に置かれるかもとは思ったけれど、そんなこともないようです。むしろ自由にしていてほしいと言われました。



「本当に?じゃあこれから宜しく、ルット」


「クラス変わるかもしれないよ?」


「成績、保ってよ。私の騎士」


「難しいこと言うねぇ」



この学園は成績によってクラスが変わってしまうので、成績をキープしないと別のクラスになってしまいますからね。まあ、私に関しては前世の記憶という知識がありますので驕ったりしなければ大丈夫でしょう。たぶん。



「ヴィクトル様だわ。今日も美しいわね」


「シルヴェストル様もいらっしゃるわよ」


「シルヴェストル様は騎士になるのでしょう。私も守っていただきたいわ」



好き勝手に話すことは悪いことではありませんが、聞こえてますよ?聞かせてるんじゃないか?まさか、そんなわけないでしょう。たぶん。おそらく。きっと。



「ヴィクトル様!」


「うわ…第一王女様だ」



ルット。不敬ですよ。こんな方でも王族なのですから。



「如何しました。第一王女殿下」


「わたくしのことはマリエルと呼んでくださいといつも言っているではありませんか」



そうですね。でも嫌です。呼んだら最後な気がします。それに、もっとしつこくなりそうですしね。

聞かなかったことにしましょう。そうしましょう。



「それで、どう致しました」


「もう、つれない方。そんなことよりヴィクトル様!レティシア様と婚約するとはどういうことですの?!」


「ヴィクトルが第二王女殿下と婚約したことに何か問題でも?」


「問題大ありですわ!わたくしがヴィクトル様の婚約者になるはずだったのに!!レティシアがヴィクトル様を誑かしたに違いありません!そうでないなら脅されているのでしょう?」



はぁ?…残念な頭をしていらっしゃるみたいですね。脅すのは彼女ではなく貴方でしょう。あーやだやだ。なんですか?いまだにここは乙女ゲームの世界などと思っているのですか。ヒロインは私などと思っているのでしょうね。

わかりました。そこまで言うのなら特別大サービスです。にっこり笑いかけて差し上げましょう。ルットが後ずさった気がしますが気のせいでしょう。



「第一王女殿下。僕はそんなことは知らないし、レティシア様とはお互い同意した上で婚約しています。レティシア様に言いがかりをつけないでいただきたい」


「な……っ!貴方様はレティシアに騙されているのです!絶対に目を覚まさせて差し上げますわ!」



淑女としてははしたなく。足音を大きく響かせながら去っていきました。

あぁ、面倒だった。

ため息をつく私にルットは心配そうに声をかけてきます。



「おい。あんなこと言って大丈夫か?王宮で酷い目に会うんじゃ」


「だから、今からそれを伝える『通話』」



『通話』は私が作った魔法で。ルットやレティシア様と会話をするためのものです。レティシア様には婚約者といえどあまり接触はできませんからね。あの第一王女が邪魔しに来る未来しか見えません。



『ヴィクトル様?どうなさいましたか?』



鈴の音のようなかわいらしい声が聞こえて思わずなごんでしまいました。

なごんでいる場合ではないので努めて真剣な声で話しかけます。



「申し訳ございません。レティシア様。第一王女様がお怒りになり、もしかしたらあなたに危害が及ぶかも知れません」


『そう、ですか…』



不安そうな声。怖い思いをさせてしまっているのかもしれません。ですが、学園に入った以上そう簡単に王宮に行くこともできませんし…あと一年もすればレティシア様も学園に入るはずです。それまでは、耐えてほしいです。私も心苦しくはありますが。



「もしも時にこの間渡したものをお使いください。阻止は出来ませんが後々証拠として使えます」


『わかりました』


「貴女を囮のように扱ってしまって申し訳ありません。ですが、貴女の婚約者は私だけ。他の誰にもわたしません」


『は、はい……』



あぁ、顔を赤らめているレティシア様が容易に想像できる。絶対可愛い。今すぐ会って抱きしめたい。無理だけど。



「……レティシア。好きだよ」



囁くようにそうこぼす。彼女が望んでいるかなんてわかるはずもないけど、それでも望まれている気がした。



『っ!』



愛しい人。


まだ、あの人を忘れられずにいる。そのことに罪悪感があるけれどきっと守るから。



かつて運命に翻弄された。

運命という言葉に踊らされた。


だから、もうそんなは嫌だ。

運命なんて神に決められた道なんか歩んでやるものか。

私の人生は私のもの。



運命なんて認めない。だから__










___________________________

《ステータス》

ヴィクトル・ベルナード


8歳

Lv 1

HP 5,400

MP 2,700


《職業》

???


《称号》

ベルナード公爵家長男 異世界からの転生者 神の愛し子

シルヴェストル・ボワレーの主 運命にあらがう者

レティシア・ビュファールの婚約者


《適性》

魔法 9,999

魔術 9,000

剣 9,000

槍 8,500

弓 9,500

体術etc.


《状態異常》

悪夢

___________________________

個人的にレティシアちゃん好きです。

次回は5月7日投稿になります。

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