エピローグ 「お疲れさん」
……あの楽しい宴会から……どのくらい年月が経ったかな、俺は今、会社のオフィスで一人仕事をしている、辺りはもう真っ暗だ。
「おう、トム」
「あぁ、社長さん、お疲れさん」
「ほいこれ」
社長さんは一通り仕事を終えたのか、俺に挨拶をしに来たみたいだ。
エナジードリンクを手渡され、一緒に開ける……酒とは違うが、一緒に飲むのは悪い気はしない。
「全く、年月が経つというのは早いもんだな、そう思うだろ? トム」
「あぁ、あんたはいくつになっても子どもっぽいしな」
「おい、それどういう意味だ」
「……っふ」
馬鹿な学生みたいに、一緒になって笑う。
仕事で忙しいが、まるで青春時代がずっと続いているような感覚だ。
「……本当に、AIの進化はすさまじいな、俺たちは何とかその業界に食いついて、こうやってデカいビルを構えるぐらいにはなったけどよ」
「だな……聞いたか? エロンの奴、今度は人間の欲望を簡単に実現する悪趣味なAIを作るみたいだぞ」
「へぇ、あんたはそういうの作らないのか?」
「まぁ、興味自体はあるな、人間というのは欲望の為なら金なんてすぐにドブに捨てる、ほんと嫌な生き物だよ」
「かもな」
「ただ、技術連中はその辺興味あるみたいだぞ、今のうちにゲーム会社とかに売り出してみたらどうだ?」
「いや、そういうAIって作るの難しいだろ? いくら営業部長の俺でも、技術の人らに負担掛けさせるわけには……」
「バーカ、ミシェールの技術力知ってるだろう? あいつなら間違いなく実現できるさ」
「まぁ……だけどミオちゃんにそういうの作らせるのは……」
「おいおい、お前それでも会社員か? 利益を追求して無駄を省くのが使命だろうが」
「だ、だけどよ……」
「安心しろ、ちゃんと伝えてやるよ、『トムが欲望満たしたいみたいだから作ってくれ』って」
「ほ、本気で言うのか……?」
「さぁな?」
「おいおい……」
社長さん……マジで言うつもりじゃないだろうな?
「じゃ、私は先に帰ってるぞ、あ、ジャスミンから連絡来てたが今日はうどんだ」
「……なぁ俺いつになったらあそこから出してくれるんだよ?」
「だから言ってるだろ? 住宅手当を……」
「はいはい、分かったよ、じゃあこれ終わったら行くからさ」
「早く帰って来いよ? 残業代も馬鹿にならんからな」
「おうよ」
社長さんはそう言うと、オフィスの扉を開けた。
「それじゃ……これからもよろしく頼むぞ、トム」
「あぁ、社長さんも……」
「「……お疲れさん」」
……オフィスの扉が閉まった。
何とか完結出来ました、ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
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