第94話 洞窟の倒壊
「トム!」
「常盤様!」
「……為朝さん!」
3人が駆け寄ってきて、俺を立ち上がらせた。
「全く……グローディもわけわからん作戦思いつくよな……普通なら死んでるぞ俺……」
「まぁまぁ、ともあれ、これで一件落着だ! やったな!」
「あ、あぁ!!」
これで終わり……とうとう俺たちはやったんだ!!
「よし、こんなところさっさと後にして……」
勝利の余韻に使っている俺たちだったが、それどころじゃない事態が起きた。
なんか……揺れを感じる、まるで小さな地震を察知するような、そんな感覚が。
『……危険です! 今すぐトラックに乗車してください!!』
グローディの声が響き渡る。
これは……
「やばい! 急いでトラックに!!」
社長さんもグローディの声が聞こえたのか、俺を米俵のように担ぎ上げ、トラックへと走り出した。
社長さんは手慣れた様子でコンテナを開けた。
「よし! ジャスミン! エンジンを!」
「かしこまりました! 鞍馬様、助手席に!」
「……はい!」
「よし! トム! もういっちょ行くぞ!!」
社長さんは今一度振りかぶり、俺をぶん投げた……
「うおおおおおおお!?」
まるで荷物を放り込むようにぶん投げられた俺はそのまま叩きつけられた。
社長さんも乗り込み、運転席に目掛けてノックをし、合図を送った。
その合図に答えるように、トラックは急発進をした。
『ルカ様! 洞窟内が倒壊を……』
「構わん! 飛ばせ!!」
と、飛ばせって、こっちはシートベルト無いんだぞ!?
「トム、私が抑えてるから安心しろ!」
「あんただって怪我してんだろうが!」
「社員を守るのが私の使命だ!」
「馬鹿か! 俺だって、あんたの事……」
……ん? 俺今、何を言おうとして……
「うおおお!?」
揺れる、恐らく今まで経験してきた地震よりも酷い揺れだ。
暗闇だが、社長さんの体温は伝わった。
社長さんはどうやら、傷だらけのか弱い体で俺を支えているらしい。
それがどうにも申し訳なくて、俺はそれに応えるように社長さんを抱きしめた。
外からは何かが崩れる音が響き渡っていて、まるで俺たちは動く棺の中へ閉じ込められているようだった。
「畜生……夢なら覚めてくれ……」
俺は……目を閉じた。




