第34話 シミ
「常盤様、昨日お召しになっていたスーツでございますが、既にクリーニングを済ませておきましたよ」
「あぁ、ありがとうございます、ジャスミンさん」
ニュースに釘付けになっている中、ジャスミンさんは昨日俺が着ていた一張羅を綺麗に袋止めされた状態で持ってきてくれた。
おぉジャスミンさん気が利くな、さっき睨みつけていたとは打って変わって……
「ところで常盤様、スーツの下半身の方に……少々シミがあったようですが?」
「……あっ」
そ、それは……
☆
それは地下鉄の乗る前の事……
その時、俺は残業に追われていた。
「まずい! 仕事に集中していたせいで尿意が!」
数時間前までトイレに行きたかったのだが、それを我慢して仕事をしていた。
なんとかして仕事は終わらせたのだが、尿意が引いたので大丈夫だと思っていた。
……のだが。
「やばい! もう限界だ!!」
なんとかしてトイレに着き、用を済ませたのだが……
「あっ……」
ここで俺は、ある違和感に気が付いた。
そう……「フライング」を引き起こして、ほんの数滴、間に合わなかったのである。
☆
「シミ? どういうことだ? トム」
「いやあのな、これには深い事情が……」
話せるわけがない、そんなの恥ずかしすぎる
「なんだ? コーヒーでも溢したのか? 何、気にするなトム、私もしょっちゅう……」
「それにしては、膝にはシミはついていませんでしたけど、随分ピンポイントに溢したんですね、常盤様」
「……」
ジャスミンさんは俺を嘲笑うかのようにこちらを見ながらからかって来ている……
どうしよう、何も言い返せないし……
「ですがご安心ください、私が綺麗さっぱりクリーニングしておきましたので、新品とほとんど変わりませんよ」
「あ、ありがとう……ございます?」
「どういたしまして、次は『優先順位』を考えたほうが良いですね」
「……そうですね」
ジャスミンさん、俺のこと嫌いなのか? でもクリーニングしてくれたし……うーん、まぁいいや、とりあえず着替えよう
ジャスミンさんからスーツを受け取り、着替えるために先程寝ていた部屋へと向かった。
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