表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
380/389

第七十二章 相乗り帰省道中記~六日目 道草~ 3.路傍の遺址(いし)(その2)

 ~Side ドルシラ~


 ――何とも面倒な場面に行き遭ってしまったものです。


 仮にも魔導学園の生徒が、魔法絡みで困窮している者たちを横目に見て通り過ぎる……というのは、(いささ)外聞(がいぶん)(よろ)しくありません。

 その一方で、幾ら対象が解体予定の物件だからと言って、公爵家が他家の領地で破壊活動に及ぶというのは、やはり色々と触りがあります。


 要はどちらに転んでも、(ろく)な事にならないのが確定しているわけです。こういうのを〝進退窮まる〟というのですかしら。


 それでも、お祖母(ばあ)様には何か思うところがおありになったようで、


「……ネモ君、ドルシラ(ドリー)貴方(あなた)たちに相談があるのだけど」


 ――と、そうおっしゃいました。(わたくし)はともかくネモさんは、面倒臭そうな表情を寸刻浮かべていらっしゃいましたけど、話を聞く事は了承して下さいました。

 そしてお祖母様の判断は――


「貴方たちで一応、物件の様子だけでも見てもらえないかしら?」


 ――というものでした。


レンフォール公爵家(わたしたち)の立場上、他家の問題に軽々しく首を突っ込むのは悪手……というのは解っています。ですが――ここの領主が物件の解体を冒険者ギルドに依頼した時点で、これは冒険者ギルドの問題にもなったわけです」

「あー……そういう事なら確かに」


 (わたくし)は最初意味が解りませんでしたけど、ネモさんは()ぐに気付いたようでした。


「俺は見習いとは言え、王都冒険者ギルドの人間ですからね。この依頼を受ける……のは、ランクの関係で難しいかもしれませんが、依頼内容を確認するぐらいは問題ありません。……と言うか、魔導学園の生徒という立場に(かんが)みると、スルーしちまうのは却って(まず)いでしょう」


 ……なるほど、(わたくし)にも読めてきました。冒険者であり、なおかつ魔導学園の生徒でもあるネモさんがこの案件に関わるのなら、ネモさんのクラスメイトである(わたくし)がそれに手を貸す事に、何の問題もありません。

 要は(わたくし)が「レンフォール公爵家息女」としてではなく「魔導学園生徒」という立場で関与すればいいわけです。


ドルシラ(ドリー)の火魔法だと、事が大きくなり過ぎるかもしれないけど、その辺りはネモ君が()(づな)を取ってくれないかしら。前代未聞と言えるほどに優秀だと評判のネモ君なら、どうにかなるのではなくて?」


 ネモさんの()(けん)(しわ)益々(ますます)深くなりましたけど……どうやらそれが最善手だと納得して戴けたようです。


「……とにかく、大奥様がおっしゃったように、まずは現場を見てみます。俺たちの手に負えるもんかどうかも判りませんし」

「えぇ、(よろ)しくお願いしますよ」



 ********



 ~Side ネモ~


 (あん)(じょう)面倒な話になっちまったが、別にお嬢や大奥様のせいってわけじゃねぇし、街道が通行止めなんて事になると、迷惑を(こうむ)るのは俺だって同じだ。去年もあわやカソルで足止めを喰らうところだったしな。……てか、ここって()く見りゃ、去年川が氾濫(はんらん)して通行止めになってたとこじゃねぇか。何かに(たた)られてるんじゃねぇだろうな?

 あの時ゃ【願力(がんりき)】に(すが)ってどうにかしたが、この先も同じような目に遭うかもしれないってのに、早めに手を打たないのは馬鹿げてる。縁起の悪そうな場所なら尚更だ。


 ――なら、お嬢の助けを期待できる今、片を付けるのが正解って事になるか……


「ネモさん、何か腹案はありまして?」

「腹案っつってもなぁ……」


 一応土魔法は使えるんだが、今の俺だと家の土台を崩せるかどうかは怪しいな。いや、魔力でごり押しすりゃいけるかもしれんが、そんな事をすりゃステータスの偽装を疑われかねん。……却下だな。


 そうすると、【眼力】の【壊呪】……じゃねぇ【解呪】で付与(エンチャント)をぶっ壊すのはできそうだが、それをやると怪しまれるなんてもんじゃねぇ。

 ……いや……【浄化(クリーン)】でも同じような事はできそうな気がすんな?


『マスター まりょくの きゅうしゅうはー?』

『魔力吸収?』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ