一方、王子は
※悩んだんですが神視点です
* * *
酷い傷跡の令息の結婚が決まったという話は彼の父親によって王宮にもたらされた。
二人は元々愛し合っていたが身分の差もあり、諦めていた。
けれど王子の真実の愛を見て傷跡令息はその一代貴族にプロポーズをしてそれを同僚だった女は受けた。
二人は平民となり暮らすこととなる。
そのため王子の側近候補から彼は離れ魔法使いとして魔法の研究をして夫婦ですごしていく。
それが報告内容だった。
「許せぬ!!!」
王子は怒っていた。
パーティの輪で傷跡の令息をのけ者にしていても、それ以外で疎んでいてもそれは当たり前のことだった。
彼の傷跡が醜いから、それは致し方が無い事だった。
それを心優しい王子の婚約者が相手を探してやろうとしていたのに、ぼーっとしていたかと思ったら、結婚して平民になる。
何を言ってるのか意味が分からなくて父親である国王陛下に王子は聞いたが返ってきた言葉は「これで肩の荷が下りるな」だった。
「何故ですか。
なぜ平民などとの結婚を許したのですか」
王子は国王陛下に言った。
国王陛下は「あの顔の男と社交をするのは令嬢に酷というものだろう」と言った。
あのやけど跡は醜い。
パーティにそぐわないほど醜い。
けれど王子は自分と婚約者の親切が無下にされたようで嫌だった。
それに、自分をかばったことが貴族でいられない人間をうんでしまったみたいでそれが許せなかった。
王子としての瑕疵のようで許せず、だからこそ側近候補として選び顔のことを気にせず能力で人を選ぶこととともにそれを“無かったこと”にしてしまいたかったのに、あの卑屈な笑みを浮かべる男は王子に忠誠は誓わなかった。
それでもやるだけのことはやったという証が欲しく令嬢を紹介してやったのにどれも上手くいかなかった。
あれが卑屈なのがいけないのに、こんなことになってしまった。
「許せぬ!!そんなことが許されていいのですか!!
貴族として育てられ、貴族として贅沢をしているのにそれを返さず平民になるなど許されてよいことなのですか!」
そういうと国王陛下はため息をついた。
「あの侯爵令息も、奥方になる予定の人も、魔法研究でいくつも功績をあげている。
婚約者は既にその功績でフォンの名を得ている」
「すでにあの二人はこの国に貢献している」
その後国王陛下は何かを言おうとしてやめた。
王子はそのことに気が付かなかった。
「この件は侯爵家当主が直々に認めていることであるので、くれぐれも手出し無きよう」
国王陛下はそれだけ言うと、その話は終わった。
王子は最愛の婚約者の意見を聞くことにした。
彼女は王子の側近たちの相手を熱心に探してくれていた。
何かしらいい意見をもらえるかもしれないから。




