豹変と不変
「はらおくんありがとー!!優秀だねえ、お姉さんは嬉しいよ、こんな良い後輩が育ってくれて!」
「まじっすか!!ありがとうッス!!あっしも来年はいい後輩を育てるッス!!」
「きゃはは!!うちの学生会、さーいこー!!!よかったよー、ここにいれて!!」
「引き締まった学生会はね、まいちゃんなしではありえなかったよ!!あたしちゃんと引き継ぐから安心してね?!」
「It's the first time I've had such a fun party…あ、ミヅキさんそれ食べたい!!」
「ひゃわ…ひゃ、ひゃんぶんにきゃっとしまちゅね、チアちゃん大きいほう、どうぞ!」
「ちょっと!!それあたしの頼んだだしまき卵だけど?!」
「だって俺待ちきれなかったんだもん!!追加分もうじきくるからそれ食べればいいじゃん!!」
「おーいおねーさーん、フルーツパフェ、三つ持ってきてー!!」
「嫁由香ちゃんも来年は一緒にコスプレしよ~♡あたしとペアで♡」
「ごめんね志田さん、由香のコスプレはね、みんなに披露しないって…僕が決めてるんだよ」
「ねえ、何で彼方の許可が必要なの?!すぐにそういう事を言う!!」
「いいぞもっとやれwwwつか酒マジうめえwwwすんません、梅酒ロックでwww」
「はーい、ではみなちゃま、新しいお酒が到着したところで!!お手をドウゾ、ハイ、かんぴあ♡」
「「「「「かんぴあ」」」」」
あの、あの柴本さんが…、乾杯の音頭を取っている!
何この豹変?!この人…お酒飲むとこんなにも変わるタイプの人だったのかってね?!
人知れぬ本性を垣間見て、戸惑いがハンパないぞ!!酒に飲まれるという事は実に恐ろしいというか…うん、僕も気を付けよう。
東浦先輩曰く、柴本さんは飲むといつもこんな感じなんだとか…。わりとこの二人は仲が良くて、しょっちゅう一緒に飲み食べ放題に行ってるみたいなんだよね。なんでも、バル的な所の飲み食べ放題に行って、東浦先輩がフード担当、柴本さんがお酒担当をしているらしい。性格が変わりはするものの記憶はバッチリ残るタイプの柴本さんは、酔うと電車で服を脱ぎだしたりしてしまう事もあるそうで、今日は安全を考慮して東浦先輩のところにお泊りするのだとか。
「スゲーwwwココタンオオトラだったのかwマジウケルwいいぞもっとのめwww」
「んもー!さくっちのお酒、いただいちゃうぞ!!うーん、おーいちー!!」
何がすごいって…180度性格の裏返ってしまった柴本さんもさることながら、あれほどお酒を飲んでいるというのに、普段と全く様子の変わらない森川さんもね?!
すごいな、微塵もぶれないとか…もしかして普段からずっと酔っ払ってたりはしないだろうね。
お疲れ会も架橋に入り、正直言って…カオス感が半端無い!!!
べろんべろんに酔っ払っているのは三上先輩、早瀬先輩、相川先輩、柴本さん、爆食に邁進しているのは東浦先輩におっさん二人、陽気に楽しんでいるのはティアに小田原さんに森川さん、てきぱきと机の上をクリーンにしていくのは志田さんと原西さん、わちゃわちゃしてはいるけど美しい所作でお酒を嗜むのは楠先輩、かわいく微笑んで騒がしい宴会を望んでいるのは由香、そしてそれを眺める僕がここに!
「ねね…今年のライブ、すごく良かったね!!あ、ほら見て、ここ!!すごいよ、ここまで息の合った感じ…どう見ても彼方が歌ってるとしか見えない!!」
「はは…そう?僕はすぐ横に由香がいなかったから、寂しくて…懸命にパフォーマンスに集中してただけだけど」
由香がニコニコしながらのぞき込んでいるのは、東浦先輩のタブレットだ。あのライブ、いろんな人が録画しててさ…データがいろんなところから回ってきて、とりあえず一か所にまとめて置こうって話になってだね。今日明日で東浦先輩が編集するんだそうで。…個人的には黒歴史になりかねない、いや、なっているようなものなので、あまりデータとして残してほしくない気持ちがね?!
「ライブめっちゃ良かったッス!まぁ、最後に河合先生が出てきちゃったのがちょっとムカついたッスけど!!」
「たしかに~!なんで出てきたんです?明らかに空気読めてなくてウケル~!」
「何言ってんだ!!あれはだな、俺の歌声に聞き入った観客のファンコールに応えてやったんだよ!!大体だな、ネタバレししないであのままカーテンコールしてみろ、イケメンが歌がうまいという誤報が出て、まーた去年みたいに戦が起きる事になっちまうだろ!!大変なことになるのを未然に防いだんだぞ、俺に感謝しろ!!」
なんで僕は楽しい打ち上げの席で、おかしな過食親父に上から目線で怒られているんだ。忌々しくて返事をする気にもなれないんだけど!!
「イヤー、ホント最後にいいもん見れたわ・・・ありがとね、こんな思い出を!!あ、動画頂戴ね!」
「編集してディスクにして渡すね!!来週学生会室に取りに来てくれれば…ちょっとユーキ先生、それあたしのシュウマイ!!」
「もぎゅもぎゅ、東浦君だって俺のお好み焼き食べたじゃん!!!」
「も~!!ユーキ先生、あたしの…パセリいっぱい余ってるから全部乗せちゃお!!」
「あたしのシソものせちゃお!!石橋君の菊の花もこっちにのせてー!!」
「ごめんねー、あたしのパフェのミントの葉っぱもOK?」
「も~!ティアったらミントは一番おいしいんだよ?!お酒に浮かべても…うんまァ―い!!!」
「あ、柴本先輩、空いたグラスもらいまーす!」
「ここさあ、石橋君の声にしか見えないのがウケるよねwwwスイーツ先生が歌ってんのに、ただの乱入者にしか見えなくてさwww」
「悲鳴あがってまちゅたもんで!!わらひも出ろってゆわれて、出てって大変でちた、はひ…」
「このカーテンコールの彼方のイヤそうな顔…すごいね、ステージでこんな表情見せたらダメだよ、もう!」
ムム、何で僕は由香に怒られているんだい。
「そりゃいきなり打ち合わせにない事を…おっさんに手を握られたら、いくら冷静が身上の僕でもクールフェイスは崩れるよ。だから由香には一緒に出て欲しかったのに」
「ケッ!!!イケメンが嫁と出たらまたタラシまくるだけだろ!!どうせステージでイチャコラやって暴動起こすハメになってたくせに!!」
「次回やったらセクハラで訴えますからね?」
「たかが手の皮一枚触ったぐらいで?!お前どんだけ神経質だよ!!!いつも嫁のことギュウギュウ握ったり抱きついたりしてるくせに!!」
「僕はアンタの嫁でも何でもないんだぞ?!そのエラそうな物言い、教授として…ああ違った、助教授として大問題だと思いますけど?!」
「ッ!!イケメン、お前は今言ってはならぬことを言った…マジで覚えとけよ?!」
「も~!!!河合センセー、そういうとこがモテないって言ってるじゃ~ん!!はい、落ち着いてかき氷でも食べよう、食べよ~う!!」
「ちょ!!相川君、それ俺のミルク金時!!!」
「ちょっとユーキ先生、なんであたしのバニラアイス全部食べちゃってんの?!」
「すまんッス!!ウエハースだけもらっちゃったッス!!」
「♪あ~あ~あ~あ~あ~♪大学四年生~♪遠く離れた県で就職しても、私早瀬麻衣は今日の日の事を忘れないと誓います!」
「ねえねえさくらこちゃん、このお酒すごぉく美味しいの、美味しすぎて泣けてきたよぅ、えーんえーん!!学生会最後の酒が心に染みるよぅ…」
「はるるん泣き上戸とかウケるwwwおーよしよしwww」
「じゃ~ん!!三上センパーイ!悲しい時は、しゅわっと爽快にカンパリソーダ―!ぎゃはは!ここに梅酒入れたら、ココスペシャル!!」
「どうしよう、もう一杯だけ飲もうかな…すごくおいしそうなカクテルがあるんだよね、でも度数が高くて‥」
「飲んだら?僕も由香のかわいく酔うところ、間近で見たいと思うし」
「ゆゆかひゃん、危険が危ないでちゅ、半分こしましょう、ひゃい!!」
「スミマセーン、空いたグラス取りに来てくださーい!!」
人数が多い分しっちゃかめっちゃかで…もう何が何だか!!
「パパー♡お迎え早く来過ぎたからあたしも飲む―!!運転頼むね!!」
「パパ、こっちでまってるね」
「ママ、パフェ全種類頼んでもいい?」
まさかの早季先生と娘さん達までやって来て…騒がしさが尋常じゃないんですけど?!




