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…窓際には、君が  作者: たかさば


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盛況

「い~しや~きいもぉ~♪おいもっ!ホックホクでぇ~ええ~♪おいし~いぃい~よっ!!」

「Hello, welcome! うまいの、いっぱいあるよー!」

「焼きたての芋いかがっすかー!!」

「地元のおいしいお米の、炊き立てごはん食ってけー!!」

「飯盒炊爨のおこげご飯もあるでよwww」

「いろいろふりかけありマース!!」

「おいしいお茶もありますよー!!空になったお碗と交換しまーす!」

「てんこ盛りご飯あります!」

「は~い、焼きたての干物で~す」

「ふゅ、ふゅつぅ盛りふたちょうでちゅ!!」

「ユーキせんせー!それ食べちゃダメ!売り物!あたしのクロワッサンたい焼きあげるから!」

「ちょ!東浦くん、それ俺のたくあん!」

「先生さっきあたしの味付け海苔たべたじゃん!」

「ももちゃん、失敗ごはん追加してもいい?」

「東浦センパイ、焦げた芋食って下さいッス!!ユーキ先生、ケシズミ食って欲しいッス!!」


 学園祭二日目…、まさかのしけで生鮮海産物の仕入れが…ほぼゼロというピンチを迎え!!

 売るものがほとんどなくなるという、もしもの想定はしていたものの予定外の事が起き…早朝から別のものを急遽仕入れて対応することを決め、てんやわんやの大さわぎで!!

 せっかく組んであったスケジュールも組み直すことになり、新たな助っ人も増員…、もう何がなんだか!!


 生の魚介類じゃない干物、生板海苔なんかはあるから、全くの売り物なしというわけではなかったんだけど…それだけだと打ち上げの会費を賄えなくなる可能性があるというので別の何かを売るべきだって意見が出てさ。昨日ごはんの無料配布をやってたんだけど、あっという間になくなって有料でもいいから売ってくれって人が後を絶たなくて、そのあたりも考慮したんだけれども。


 しけ対策として用意しておいたサツマイモを焼きつつ、炊きたてごはんを出そうという話でまとまったものだから、急遽朝からまんもすに行ってこのあたりで生産されている米を買い込むことになったという。森川さんのコネで漬物や手作りふりかけなんかも貰えることになって、ついでに市販のふりかけも買うかという話になって、志田さんの発案で飯盒でも米を炊くことになり…。


 まさかあのロリータロリータしている志田さんがソロキャンプガチ勢だとは!!


 キャンプ仲間を招集して本格的飯盒炊爨をやってくれるとは…全く想像もできなかった。当日の呼びかけだというのに、老若男女四人が駆けつけて下さって…海鮮用に準備しておいた炭焼きシステムを使って14個の飯盒で続々と米を炊いてくれるのだから恐れ入る。初めこそ火加減が難しくて軟らかめごはんや焦げ多めごはんが出たものの、今は程よいおこげご飯が炊き上がっていて順番待ちの列ができている。地味におかず系の出店が多いからなのか、めちゃめちゃ売れ行きがよくてさ。去年以上の売り上げ、絶対出ると思うよ…。


「ねえ見て…!!あの昔話盛り!!」

「すげえ…どんどん無くなっていく!!」

「あんなにお焦げだらけなのに、なんておいしそうに食べるのかしら…私も一杯食べていこう!!」

「むしろおこげ食べたい…!」

「すみませーん、持ち帰りってできます?」


 ちなみに、ちょっと商品として出せそうにないご飯は、処理班として東浦先輩と結城先生がスタンバイしており…随時お客さんの目の前で胃袋の中に収納してくれている。ものすごい食べっぷりに見る者たちの食欲も無事増進されているようだ。少々の正規品消費は致し方あるまい。


 事前に提供する食材の届け出をしてある関係で海鮮と米と芋しか調理できない上に、電源がジャー2つ分しか無くて…無謀な計画なんじゃないかと思われたのだけど、河合先生が食堂のおばちゃんに連絡してくれて…大きな炊飯器を借りられることになったのも幸いだった。実にいい感じにブースが盛り上がっていて、うれしい悲鳴を上げている。


 というか、この学生会って……なんか神様でもついてるんじゃないの?

 なんていうか、大さわぎした後はすべてうまく収まる的な……。


 毎回毎回キッチリと何か問題が起きるんだよね、学生会ってさ。準備の時も大混乱で大変だったのに、本番も大混乱とか…個人的には勘弁してほしいわけだけれども。

 昨日は昨日でテンションの高すぎるOBに振り回されて頼りになる先輩たちの様子がおかしくなるし、先生たちまで大さわぎを始めて収拾がつかなくなって…まあ、騒がしいOBのおかげで絶対に売れ残るだろうと思われてた不要品バザーが完売御礼した事はありがたかったけどね。もしバザーが残っていたら完全に人員不足に陥っていたに違いないぞ…。


 とはいえ、キャパオーバー気味で…はっきり言って疲労感が拭えない。まだ企画ステージも残っているから、下手に体力を使えないし。

 だけど…弱音を吐くわけにはいかない。昨日は散々清水先輩にいじられて…由香にみっともないところを見せてしまったから、今日こそは良いところを見せたいんだよね…。


 テントの中の様子を確認しつつ、自分に割り当てられた仕事を黙々とこなしていく。…手早く素早く、小田原さんが洗ってきた芋をアルミホイルで包んで…うん?

 ……なんだこれは。サツマイモに土がついたままだぞ…。全然洗えてないじゃないか…。


「小田原さん、もっと丁寧に洗わないとダメだよ。土がついたまま焼いたら食べる人が困ってしまうからね?」

「ええー?!そんなん焼けば食えるっす!!忙しくて洗い直しに行く暇なんかないっすよ!!そもそも洗わなくても平気平気、クレーム出たらユーキ先生に食わせればOKっす!!」


 小田原さんはなんていうか、こう…人の話を聞かないのが玉に瑕なんだよ。豪快で仕事は早いけど、どうも手抜きでミスが多くて…きつく言ってもまったく気にしない、心臓に毛が生えたタイプというか。…僕が繊細過ぎるのか?



 ぴー、ぴぴー!!



『お待たせしました、只今大釜ご飯が炊けました!おかわりチケットをお持ちの方はこちらにお並び下さい』

「あ、私ご飯ほぐすね!」

「んじゃあたしがごはん盛るかwww」


 拡声器を使ってアナウンスをしているのは柴本さんだ。由香が大きなしゃもじを持って、巨大な炊飯器のふたを開けて…慌てて湯気を思いっきり浴びているぞ。なんだい、あれじゃまるで浦島太郎じゃないか…ってほほえましく見てたらむっとした表情を向けられたぞ。あとで何か言われそうだな…まあいいや。


「あ、スミマセン、一列に並んでくださーい!」

「チケットと空の器いただきますね!森川先輩、大盛りでーす!」


 大下さんと原西さんの几帳面コンビが手際よく誘導し、ずらりと並んだお客さんをサクサクさばいていく。なんという有能な事か。


「カナキュン!芋は私が包んどくから、しつちょーの写真いってあげてもらえる?」


 呼ばれたからには、行かねばなるまい。

 

「あ、はい。ごめん、ちょっと行ってくるね!!」

「行ってらっしゃいッス!!あとは任せてくださいッス!!」


 気持ち不安も残るけれど…僕はテントをあとにした。


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