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…窓際には、君が  作者: たかさば


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ずっ友

 …いつもだったら腹八分目が基本の僕が…まさか、こんなに満腹状態になってしまおうとは。思いがけず、自分の限界を知ってしまったじゃないか。

 美味しすぎる森川さんの手作り料理に、ついつい手が止まらなくなってしまったせいで…ウエストの辺りがやけに窮屈…いや、かなりまずいぞ、開放しないと健康に悪そうだ。ここで気絶するわけには行かない、ちょっと内緒でベルトをゆるめておこう……。


「ああ~♡おなかが大満足すぎる!!!モーリーのご飯がおいしすぎて、あたしもう普通の食べものじゃ満足できない!!!」


 いつもパンツルックで活発なイメージにまとめている布施さんなのに、今日はやけにかわいいワンピース姿だったから珍しい事もあるんだなあと思っていたんだけど…、どうやらたらふく食べると決めこんで、お腹が膨れても大丈夫な格好をしてきたらしい。満足げにお腹を撫でているのを見て、ちょっと呆れるというか、羨ましいというか…僕もAラインのワンピースを着てくればよかったかも…持ってないけど……。


「ホント!!残ったらおみやげにしたかったのに、結局全部おなかの中に入っちゃったね!!胃袋が大喜びしてる!なんかモーリーのお誕生日なのに私たちの方がもてなしてもらっちゃって!!ありがとう!!」


 何気に由香もシフォンブラウスで…いつもよりもお腹周りのデザインがごまかせるようなコーディネートだ。おいしい物好きだからなあ、ちゃんと先を見越してきたんだな。

 地味に僕だけが普段通りの服装で苦しむ羽目になっているじゃないか…。来年は同じ過ちを繰り返すまい。


「いやいやwww何をおっしゃるwwwこちらこそ大喜びだよwww作れてうれしすwwwいっぱい材料買ってもらったしwwwさ、食後のミルクティーをお飲みなさいwww」


 へらへらしながらお盆の上にのせられたミルクティーを丁寧にテーブルの上に置いていく、本日の主役。…すごいなあ、かちゃりとも音を立てずに置いていくぞ、僕だったらなみなみと注がれたミルクティーをこぼす自信すらあるんだけど。もうこの人喫茶店でもやったら良いんじゃないの。

 ちなみに、後片付けはすでにきっちり済ませてあり、テーブルの上には焼きたてのクッキーがおいてあったりする。めちゃめちゃおいしそうなんだけど、とてもじゃないけど食べられそうにない。まあ、この後夕方までおしゃべりをしていくだろうから、そのうちに手を伸ばすことは有ると思うけどね。


「これは…新しい茶葉?なんだかものすごくいい香りがする…なんだろう、ちょっと澄ましたような、それでいて幼い感じの……。」


 森川さんのロイヤルミルクティーは、究極の一杯なんだ。美味しい茶葉を使っているだけじゃなく、絶妙な牛乳の温度調整と蒸らし時間?が関係しているようで、何度飲んでも、いつごちそうになっても、毎回必ず感動を呼ぶ究極のミルクティーで…、お腹がいっぱいであってもじんわりと胃袋に染み込むなあ、これは…おいしい!!!


「昨日かってもらったやつだよwイギリスの有名どころのでね、憧れてたのさwwwこの青いカンカン、欲しくてねえ~www」


 茶葉の入ったお洒落な缶をぎゅうと抱きしめて…めちゃめちゃ喜んでる!!普段個性的な言動をしながらも可愛い振る舞いをほとんどしない人の意外な一面を見たぞ…。かなりかわいらしい喜び方するんだなあ。実にこう…男心をくすぐるような、素朴なかわいらしさが…ちょっと待って、なんで僕男目線で感想を述べてるんだろう。


「ホントだ!!すごく…おいしい!!お店で飲んだ1500円の紅茶よりもおいしい!!!」

「なんでモーリーってこんなにプロ級の腕持ってるの?!只者じゃないよね?!」


 確かに只者とは思えない。普段の飄々とした雰囲気からは想像もつかない、乙女心に満ち溢れた特技の持ち主というか、なんだろう、慈愛に満ちた雰囲気?たまにお母さんぽい空気が漂うのは…そうか、年上だったからかも?…気にしすぎかな?


「…あたしの紅茶はね、高校の時にクラスメイトに教わったのさwずいぶん年上の同級生でね、お茶屋さんの奥さんだったんだよw」


 森川さんが、カップを両手で持ちながら…ふうと湯気を揺らした。


「高校の同級生ね、ずいぶんいろんな人がいてね、すごく、良かったw裁縫も覚えたし、料理の楽しさも知ったのさw…今のあたしがあるのは、高校の四年間があったから、なんだwww」

「いい出会いがあったんだね!!そのおかげで今、あたし達が恩恵にあずかってルー!!モーリーのお友達、ありがとー!!」


 大はしゃぎでぐびぐび熱いミルクティーを飲んでる布施さんの横で…気のせいかな、森川さんのヘーゼルアイが、キラキラしている、ような。


「君達との出会いも良い出会いだからwwwどぞ、これからもよろよろwww」

「よっ!!よろ、よろ?!あたしも、彼方もふーちゃんも、モーリーと出会えてよかったよ!!ずっと仲良しでいようね!!ねっ?!」


 そっと目の端を押さえた森川さんにつられて、由香まで涙を拭ってるじゃないか…。布施さんは穏やかに微笑んで…テーブルの上のクッキーに手を伸ばしたぞ、まだ食べるの?!


「ふ、ふぉん、ボリ、ボリ…フットモ、…むぐむぐ、ずっ友だよ!!!」

「そうだね、末永く仲良くさせて欲しいな、…そうだなあ、お店を開店させて、テレビ取材されるのは絶対に見たいね。あとはそうだなあ、結婚式のケーキも食べたいし、還暦祝いのパーティー料理なんかも期待してるよ。」


「ちょwwwまじかwwwりょーかいwww」


「カナキュンドンだけ!!!あたしも食べたいけど!!!」

「ふふ!!たのしみだね!!!」


 おしゃべりは尽きることが無く、結局クッキーもすべて食べつくして、追加でクレープシュゼットまでごちそうになっちゃってさ。

 晩御飯なんかとても食べられなくて、胃薬を飲んで早めに就寝することにしたんだけども。

 翌朝になっても、なんだか体が重くて。


 ……完全に、食べすぎだ!!!


 醜い体型になるわけにはいかないので、お昼ご飯を控えめにすることを決め、学校に向かったのだった。


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