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…窓際には、君が  作者: たかさば


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21/101

お疲れ会

「うぃー!おつかれー!!!!」

「「「おつー」」」

「「「「お疲れ様です!」」」」 


 柳ヶ橋の人気の居酒屋の一番奥の座敷に、ひときわ大きな声とジョッキのぶつかる音が響いた。


「ねえねえ、あの男の子かわいくない?!」

「おねえさーん!ここ揚げ物メニュー全部持ってきてー!」


 二日間続いた文化祭も無事終了し、学生会メンバーと先生二人、ナイスアシスト由香、そしてついでに長兄も参加して…打ち上げをしているんだ。もちろんジョッキの中身はオレンジジュース。


「先生たち、飲めばいいのに。」

「んだんだ。」


 このお店は創作居酒屋で、カクテルの多さがずいぶん人気を呼んでいるらしい。僕は未成年だからね、飲めないんだけど飲める年齢だったら絶対に飲んでおきたいようなかわいいドリンクがメニュー表にずらりと並んでて!!なんというか、せっかく美味しそうなのにもったいないからさあ、未成年の僕と森川さんでおススメしたんだけど。


「俺お酒飲めないの、ぐびぐび!!ねえねえ、カルピスピッチャーでちょーだい!」

「俺は健康診断の数値がヤバい。」


 まさかの結城先生が下戸!めちゃくちゃ飲みそうなんだけど、人は見かけによらないな。河合先生のはお酒の飲み過ぎというよりも暴食の方が影響大きいんじゃないの。というか、結城先生は健康診断なんともないのか、逆にすごいな。オレンジジュースってさあ、カルピスってさあ、ピッチャーで飲むもんじゃないでしょう…。


「俺のみてえな!よし飲むか!!」

「兄ちゃんはダメだ!!トラックで帰るんでしょう!!」


 ただでさえ運転の荒い長兄が飲酒運転なんてとんでもない!!!


「兄さん、酔ったら送ってもらえなくなるの困るな。あたしのお通しあげるから、今日は我慢しちくりー。」

「ああ、そうか!飲むのやめるわ!!安全運転安全運転、ハハハ!!!」


 むむ。そういえば長兄は電車の定期券がない森川さんと由香を家まで送り届けるとか…ここに来る道中、車の中で言ってたな。僕と由香も乗ってたから気を使ってたのかもしれないけど…やけに安全運転だったのは、気のせいか。なんか変なこと考えてないだろうね。身内の不祥事は僕の沽券にかかわる!


「先輩たちはお酒は?」

「もちろん飲む。マンハッタンお願いします!」

「カンパリオレンジくださーい!」

「カルアミルクぅ!!!」


 いいなあ、僕も来年は心行くまで飲むぞ…!!!僕は何を飲もうかな、来年のためにメニューに目を通しておく。早瀬先輩のマンハッタンはウィスキーベースか、カンパリオレンジはリキュール使用、輪切りのオレンジがかわいいけど度数は高め、三上先輩、コロポックルな見た目の割にやるな…カルアミルクは甘え上手な相川先輩らしいというか。僕に合いそうなカクテルは何だろう…むむ、美少年?!別名アドニス・カクテルねフムフム…。


「由香、来年はここで一緒に美味しいお酒飲もうね?」

「なに、それは来年も私が手伝うってこと?」


 由香に似合いそうなカクテルは…メアリー・ピックフォード、コスモポリタン、チェリーフィズ…なんだ、ピンク色のばかり選んじゃうな。


「手伝ってくれると…信じてる。」

「…っ!!もう!!いいけど!!!」


 なんだろう、由香がやけに…プンプンしている、ような。少し膨れる由香のほっぺたはずいぶんピンク色だ、なんだ、だからピンク色のカクテルばかり選んじゃうんだな。


「けっ!!!勝手にしやがれ!!おーい!!こっちにジャンボエビフライくれー!」

「河合先生、お酒抑えたところでそんな脂っこいものばかり食べてたら脂肪肝になりますよ。売れ残ったサツマイモ食べたらいいのに。」


 海鮮は飛ぶように売れに売れまくって、焼いたのも焼かないのも全部完売したというのに、サツマイモは全然売れなくてさ。結局売れ残りが20本、仕方がないんでみんなで分担して持ち帰る羽目になっちゃったんだ。


「生焼けのイモなんかうまくねえじゃん!!こっちは目の前でイチャコラ見せつけられてて相当飢えてんだぞ!!こってりとした美味いもんぐらい食わせろ!!くっそー!スタミナ牛串持ってきてー!!!」


 生焼けっていうか、普通にほくほくしたイモだとは思うんだけどね。最近の焼きいもってさ、べちゃべちゃな方が人気があるらしくていまいち人気が出なかったんだよね。そもそも、焼けるまでにかなり時間がかかっちゃって、大失敗だった。文化祭終了30分前に30個のイモが焼けたところでさ、全部売れるわけないんだよ。


 来年はそうだなあ、蒸すか茹でるかして売った方がいいな。じゃがバターもいいかもしれないな、蒸し物やるなら貝の酒蒸しもいいかも、うん、そうだな、焼き物は片付けが面倒といえば面倒だ、蒸し物がいいね。飲茶(ヤムチャ)なんかもいいかも、アレは買ってきて蒸すだけでいいし…。


「来年もさあ、体育館の企画ラブワードにしようね!すごくよかったモーン!」

「見た見た!!石橋君のタラシっぷり!!!」

「あハハハハハ!!!イケメンイケメン!!お兄さーん!イケメンここにいるよー!!!明太キューりくださーい!」


ちょっと!!!!!!先輩たちが酔っ払ってるじゃないか!!!真っ赤な顔しておかしなテンションで!!!!


「イケメンの動画さあ!図書館前で流そうと思うんだけどいい?!テスト終わっちゃったらお客さん少なくてさ!!!」

「ダメです!!!!!」


 静寂を求めるべき図書館にあんな騒がしい動画を流す?!冗談じゃない!!そもそもお客さんって何なの!!!生徒は学を求めて、憩いを求めて図書館に来るのであって、入り数を増やすことに必死になる必要性なんかないじゃないか!!!むしろ空いていた方が静かで落ち着いて利用できるじゃないか!!!


「来年は30分間学生会のみんなでお遊戯をします!!!」

「ダメだって!!そしたらテントで販売できなくなるじゃん!体育館は最大二人まで!だとしたら石橋君ともう一人で乗り切るしかないんだーよ。だからまたあのイケメンタラシまくりショーやるしかない!ないないなーい!」


 ちょっと!!モノの言い方!!!


「でも!学生会役員募集してましたよね?彼方の人気ならいっぱい集まりそうじゃありません?」


 やけに赤い顔をした由香が参戦してきた。おかしいな、由香は一滴もお酒飲んでないはずなんだけど。…なんだ、手元に激辛キムチがある、さては食べ過ぎたな。…僕もちょっと分けてもらおう。


「まあ、人数が増えたら考えるけどさあ!きゃはは!!チーズのムニュムニュくださーい!!」

「あたしベトナム手羽先ねー!」


「はーい、ジャンボエビフライでーす!すみませーん!あいたお皿下げますね!ええと、揚げ物追加分、持ってきていいです?」

「どんどん持ってきてー!あとね、牛乳ちょうだい!!」


 12人座れる長テーブルの座敷に9人並んでゆとりがあるはずだというのに、このテーブルの上のカオスっぷりはどうなの。揚げ物刺身、焼き物空いた皿に空いたグラス、空っぽのピッチャーにサラダボウルにおにぎり、サンドイッチにおしゃれなピンチョス…続々と料理が運ばれてくるじゃないか…。誰だ!!もうパフェ頼んだのは!!!


「彼方―!そこのパフェ取ってもらっていい?」


 由香だったのか、なら許す!!



 さんざん飲み食いして、ずいぶんおなかのふくらんだ僕たちは柳ヶ橋駅前のコインパーキングの前にいた。僕はこのあと電車に乗って家まで帰る予定。電車で2時間の距離なんだ、車だと3時間ほどかかる。一時間、いや10分のドライブですら遠慮したい、長兄の運転する車で家に帰るという選択肢は、僕の中には一切ない。


「兄さん、頼むね~www」

「任せろ!」

「お世話になります…。」

「さんきゅーべりまっちょぉおおお!!」


 僕が選択しなかった移動手段に!!由香と森川さんと相川先輩が乗り込むのが!!心配でならないんだけど!!!ここから桐ヶ丘駅までおよそ20分、視界の悪い夜、田舎道、僕は、僕は心配でならないよ!!!


「本当に桐ヶ丘まででいいの?俺家まで送るし。」

「大丈夫です、途中の芥川駅でおばあちゃんのところに顔を出すので!」

「あたしと相川先輩は駅のすぐ横だから大丈夫。」

「だーいじょーーーぶーーーい!!!ぎゃはは!!!」


 大丈夫じゃないのが一人いる!!!


「会長と早瀬女史は俺の車に乗ってけ!お前ら県庁近くって言ってただろ、ついでだ!!」

「わーい!!さんきゅーべりまっち!!」

「あーりがーとさ――――ん♪」


 大丈夫じゃないのが二人いる!!


―――プーップップ―!!


 何やら軽快なクラクションの音がしたので振り返ると。


「パパ―!迎えきたー!」

「あっ!!ありがとー!じゃあ俺さきちゃん来たから帰る!!おつー!」


 やけにでっかい車…運転してる人がいない?!いや、めっちゃ小さい女子が運転してる!!!え?!何あれ!!!助手席には、かわいい女子!!!手、手振ってる!!かわいい!!!ツインテールにくりくりおめめ、猫耳付けてる…あれは結城先生の付けてたやつだ!!…まさか、はい?!


「結城先生の奥さん、めっちゃカワユスな…なのにあんなでっかい車運転するとか、カッコよす!娘もカワユスな…。いやあ、アレはマジ奇跡だわ…。尊みすら感じるわ…拝むか…。」


 森川さんが感動して…拝んでいる。ちょっと、それほどまでに?!


「ねえ!!あの人!!結城先生の奥さんなの?!お子さん?!嘘だ、僕は信じないぞ…?!」


「あれ、イケメン会ってないの?ああそうか、タラシまくってたから会えなかったのか。」

「わ、私も見てない!!見たかった!!」


 ぶぁん!ぶぁん!!


 僕と由香が騒いでいると、路面電車がやってきた。


「じ、じゃあ、お疲れさまでした!!」

「彼方、お疲れ、また明日ね!!」

「おつ!」


「よーし、じゃあ解散だー!明日は反省会なー!よろ!!」

「ぎゃははははは!!!!」

「反省点ナーシ!!!!」

「ねえねえさつまいもめっちゃおいしー!!!」


 心の中は結城先生の奥さん&お子さんパニック、目の前では酔っ払い3人娘のカオス、なかなかの衝撃が!!!2時間かけてその衝撃を何とか収束させた僕は、帰宅後、一人湯に浸かり、1日の疲れを癒し、コーヒーを飲んでいたんだけども。


―――ズゴキベキィいイイイイイ!!!


 ものすごい衝撃音とともに、長兄が帰宅してさ!!!!やけにへらへらしてる長兄に無事に送り届けたのか確認したり由香と森川さんと相川先輩にライン送ったりしてさ!!!変に目が冴えちゃって眠るタイミングを逃しちゃったんだよ!!!


 明日朝早く起きれなかったらどうしてくれるんだ!!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 21/21 ・今日もありがとうございます。 ・なら許す!! [気になる点] >「はーい、ジャンボエビフライでーす!すみませーん!あいたお皿下げますね!ええと、揚げ物追加分、持ってきていい…
2020/12/13 19:52 退会済み
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