698 【真・結城編】ポロリ
六百九十八話 【真・結城編】ポロリ
修学旅行から帰ってきた翌日の昼。
昨夜は色々と衝撃的事実を知って眠れなかったぜ。
オレは大きなあくびをしながら三好の家へと来ていた。
「あ、福田時間通りじゃんー」
インターホンを押すとチャームポイントのポニーテールを揺らした三好が玄関から顔を覗かせてくる。
「よう」
「入ってー」
「お邪魔しまーす」
今日オレが三好家に来た目的は先日の修学旅行の思い出話に花を咲かせるため。
昨日はオレが照れたり三好が乗り物酔いしたりで大変だったからな。 翌日ゆっくりと話そうと決めていたのだ。
「ちょ、ちょっとジロジロ見ないでよ」
三好の部屋に入ったオレが室内を見渡していると、三好が顔を赤らめながら身体を縮こめる。
「いや……普通見ちゃうだろ。 女の子の部屋だぞ? 男にとって夢のワンダーランドだぞ?」
「そんな見られたら整頓出来てないのバレちゃうじゃん」
「じゃあなんでオレを呼んだ? 別にファミレスとかでもよかったのに」
「べ、別にいいっしょ、ここの方が誰にも話聞かれずに済むんだし……そ、それにガヤガヤうるさくないし」
「まぁ確かにそれはある」
でも……だとしたらオレの家でもよかったはず。
なのにオレの家を指定してこなかったってことはあれか? 三好なりにいつもオレの家ばかりだと申し訳ないって気を使ってのことなのか?
思いがけない三好の気遣いにオレは静かに感動。
早速修学旅行の話題を振ろうすると、三好が「あ、そうだ福田」と立ち上がった。
「ん、どうした?」
「外暑いし喉乾いたっしょ。 ジュース飲む?」
「おー、いいのか」
「いいよー。 今日は家族みんな夜までいないから、飲み放題だかんねー!」
三好は無邪気にニヒヒと笑うと「んじゃ冷蔵庫にあるやつ全部持ってくんねー!」とオレにピース。
しかしオレはその発言よりも先の……男なら誰もが反応してしまう三好の言葉が脳内でリピートしていた。
「み、三好……マジか」
「へへー! そだよー! コーラもオレンジジュースも飲み放題! 贅沢っしょー!!」
「いやそこじゃなくてさ」
「ん、なに?」
三好が純粋な瞳をオレに向けながら首を傾げる。
やはりまだ小学生……花より団子ということか。
「その……三好の家族が夜までいないってことは、オレたち2人だけってことだよな?」
「へ? まぁそういうことだね。 ママはパパと温泉行っててお兄は塾。 別に変なことは何にも……、あ」
お、三好もようやく気づいたか。
三好はオレを見つめたまま一気に赤面。 一昨日一緒に鑑賞したエロアニメの内容でも思い出したのだろう……胸と股のあたりを手で押さえながら「む、無理やりとかはやめてよね!」と大きな声で叫び出した。
「は……はあああああ!?!? 無理やり!? 誰がするかあああああああ!!!!」
「だ、だって2人きりのシーンでベッドに押し倒してたじゃん!!」
「あれはアニメだろ!!」
「でも福田、そのシーンで『こういうの憧れるよなー』って言いながらあそこ抑えてたじゃん!!!」
「仕方ねーだろ無理やり系が性癖なんだから!!!!」
「ーー……ん? せーへき? ってなに?」
激しい言い合いが続くのかと思っていたのだが、ここで三好の無知が発動。
「せーへき? せーへき?」と繰り返し口にしながら頭上にはてなマークを浮かばせる。
「え、知らないのか」
「うん。 えっと……もしかしてアレ? 男の子が出すやつの別の言い方?」
「ちげーよ!! ちょっと発音似てるけどちげーよ!!!」
まぁ確かに小学生で『性癖』なんて単語使わないから知ってる方がおかしいか。 そこからオレはなぜか『修学旅行の話』ではなく『性癖とはなにか』について語ることに。
そして三好もエロネタはなんだかんだでかなり興味があったのだろう……三好には珍しく、オレの発言に対し途中途中で質問を挟んできていた。
「えっとつまり……心にグッとくる興奮みたいなのがせーへきってこと?」
「そうそう」
「んーー……よく分かんない。 例えば?」
「例えば? そうだな……漏れそうなのに我慢するとか」
「えええ!? なんでそれで興奮すんの!? 辛いだけじゃん!」
はい、ドンマイ西園寺。
「んんん、そうか。 じゃあ後は……ノーパンでスカート履いて、いつ見られるか分からないスリルにドキドキするとか」
「そんなのなるわけないじゃん!」
はい、お前も理解されないみたいだよエマ。
やはり性癖とは十人十色……みんな違ってみんな良いということなのだろうか。
それからもオレは『人を精神に追い込んでる過程にドキドキする……』やら『罵倒されて気持ちよくなる……』などドSの女王・小畑やドM西園寺の性癖を例に出して説明。
しかしその全てが三好に理解されることはなかったのだった。
「結局じゃあ私はせーへきないってこと?」
「いやそれはないな。 絶対に何かあるはずだぞ」
「そうなの?」
「じゃあ別の視点から考えてみるとしよう。 三好はどういう時にドキドキするんだ?」
「ドキドキ? うーーん、福田を見てるときかなー」
ーー……。
「え?」
今のは冗談なのか本音がポロリなのか。
三好がどんな気持ちで口にしたのか分からなかったオレは無言で三好を見つめることに。
そしてそんなオレを見た三好は「あっ」と一言。 頭から湯気が出るほどに赤面した三好は「うわああああああ!!!」と発狂しながら部屋から飛び出すと、トイレにでも入ったのだろうか……「なに言ってんだ私はああああああああ!!!! バカああああああああ!!!!」という絶叫が家中に響き渡った。
ーー……てことはマジなのか?
「やべ、ドキドキしてきたぜ」
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