696 【真・結城編】サプライズ!
六百九十六話 【真・結城編】サプライズ!
学校へと戻ってきたオレたちはバスから降りてその場で解散。
オレは内心ドキドキさせながら三好に「んじゃ三好、また明日な」と声をかける。
「うんー。 あれだよね、感想会だよね」
「おう、また時間とか場所とか連絡するわ。 それと……だな」
これは……新幹線内で眠っていた三好が口にしたあの発言のこと、聞いてもいいのだろうか。
『今のままで……私の好きな福田のままで……いて……ねぇ……』
実はあれからオレの脳内では三好のそれが永遠リピート。
三好を見るたびにその高鳴りは増していたのだ。
「ん、どしたの福田。 私の顔になんかついてる?」
オレの不自然な挙動に違和感を覚えたのか、三好がポニーテールを揺らしながらオレに顔を近づけてくる。
「ーー……っ!!」
「な、なにさ福田。 そんな距離とらなくてもいいじゃん」
あぁ……ほっぺ膨らました三好も可愛いなぁ。
しかしオレはやはりチキン。
ここで結城の時の二の舞になってしまっても困るからな。 オレは「え、あ、いや……なんでもない。 じゃ、じゃあな三好!」と無理やり会話を終わらせて駆け足で校門へと向かった。
「うんバイバイまたねー」
◆◇◆◇
校門を出てしばらく。
今日は約2日ぶりに優香の手料理が食べれるぜ……そんなことを考えながらのんびり歩いていたのだが……
「ふ、福田……くん」
「ん?」
自分の名を呼ぶ声が聞こえてきたので振り返ってみると、そこには結城。 結城が小走りでオレのもとへと駆け寄ってきていた。
「結城さん? どうしたの?」
「あのね、メール……見た?」
少し息を切らした結城がその純粋な瞳でオレを見上げてくる。
メール?
そういえば三好のことばっかり気になっててスマートフォン自体触ってなかったな。
「いや見てないけど……なんかあった?」
オレの問いかけに結城は小さく頷く。
なんだ? また結城の身に何かよろしくないことが起こったのか?
オレは何事かと思いながらもスマートフォンを取り出しチェックすることに。
すると先ほど結城が言っていたものなのかは分からないが、電源をつけると1件のメール受信通知。 しかし開いてみると、それは結城からではなく優香からの受信メールだった。
【受信・お姉ちゃん】修学旅行楽しかった? 今日は桜子と2人で帰ってきてね。 高槻先生からも桜子にメール行ってるはずだから。
「んんん? なんだ? 結城さんもお姉ちゃんからメール来てたの?」
「う、うん! それと……ママからも!」
結城が優香からのメールと高槻さんからのメールをオレに見せてくる。
【受信・舞ママ】今日帰るの遅くなるから、桜子は福田くんと一緒に福田くんのお家に行っててくれる?
【受信・優香お姉ちゃん】修学旅行楽しめたかな? 高槻先生からも連絡来てると思うんだけど、今日はダイキと一緒に帰ってきて欲しいの。 また桜子に会えるの楽しみにしてるね。
「ほんとだ。 これは……今日は結城さん、うちに泊まるやつなのかな」
「ううん分かんない。 多分ママが仕事終わったら迎えにきてくれる……だけだと思うんだけど」
まぁ深く考えても分からないし、結城と帰ればいいんだよな。
オレは結城と……そして途中で合流してきたエマとともに、3人で自宅のあるマンションへと向かった。
「エマ遅かったな何してたんだ?」
「あー、ほんと面倒なんだけど告白されてたのよ」
「「!!」」
エマの口から発せられた『告白』』という二文字にオレと結城の体がビクンと反応する。
「こ、告……っ!? そ、それでエマ、どうしたんだ?」
「断ったに決まってるじゃない。 エマが同い年のガキには興味ないの知ってるでしょ」
「そ、そうだったな」
「多分あれね、修学旅行の夜って告白には絶好のタイミングだと思うんだけど、昨日の夜はエマ、ずっとダイキや桜子、ハナエたちと一緒にいたんだもん。 告白タイミングを逃した子たちが焦って言いに来たんでしょ」
「いやいやタイミングを逃した子『たち』って……複数なんかーーーーい!!!!!」
さすがモテる人間は次元が違うぜ。
オレは前を歩くエマに羨望の眼差しを向けながら、結城とエマの会話を静かに聞くことにした。
「あ、あのさエマ……」
「どうしたの桜子」
「エマはその……断る時ってどう答えてるの?」
「そんなの簡単よ。 スマートに……そして相手に恨みを持たれないよう心がけながら答えるわよ」
「ち、ちなみに今日はどうやって?」
「えっと今日はね……『嬉しいけどエマたちはまだ小学生。 もしかしたら中学も違うかもしれないし、違ったら寂しいでしょう? それにエマはまだ恋愛のことよく分かってないから……もしキミが高校生になってもまだエマのことを想ってくれてたのなら、その時はもう1度その想いを伝えて欲しいわ』って具合かしら」
おぉ、確かにそう言われたら納得しちまうかもしれないな。
オレが心の中でエマに拍手を送っていると、結城も「す、すごいねエマ……私にはそんな答え出てこないよ」と目を大きく見開きながらエマをまっすぐ見つめている。
ですよね。 無言でフリましたもんね。
「桜子も慣れよ、慣れ。 告白何回もされてれば自然に身につくようになるわ」
「そうなの? でも私、エマみたいに言えるかな」
「いいのよ断り方なんて人それぞれなんだから。 何が正解とかはないわ」
「で、でもさ。 さっきのエマの返事で男子はどんな反応だったの?」
「んーと、確か『分かった! じゃ、じゃあまだチャンスあるってことだよね!?』って言ってきたから、『そうね。 でもエマってほら、望んではないけど学園のマドンナ候補とかじゃない? だからライバルが多いかもしれないけど頑張ってね』って。 そしたらやる気満々で帰ってったわよ」
「すごい……ほんとにスマートだね」
「ふふ。 でしょー?」
エマ、何度でも言うぜ。
お前は……悪い女だなぁ。
◆◇◆◇
「じゃあエルシィが待ってるからエマはここで。 またね」
マンションに到着すると、エマは愛する妹に早く会うべく駆け足で階段を駆け上がっていく。
オレと結城はそんなエマの後ろ姿を見送りながらゆっくりと家へ。 インターホンを押し、優香が扉が開けてくれるのを待った。
ガチャリ。
鍵が解錠され扉がゆっくりと開かれる。
オレと結城はもちろん優香が開けにきてくれているものだと思っていたのだが……これは、なんだ?
「はーい」という言葉とともに顔を出してきたその人は優香ではなく、大人の女性。
一瞬家を間違えたのではと思い表札へと視線を移していると、隣に立っていた結城が声を震わせながらオレの手を握ってきた。
「マ……ママ?」
「え」
結城の言葉を聞いて改めてその女性をみると、確かにシルエットは結城の母親・結城美桜。 まだ若干痩せてはいるが、化粧をバッチリ決めてたから気づかなかったぜ。
「はい、ママでーす。 おかえり桜子。 そしておかえりなさい、ダイキくん」
結城母が優しい笑みを浮かべながらオレたちに「ほら、疲れたでしょ? 優香ちゃんも中にいるから早く入って」とオレたちを中に入れてくる。
「ど、どうしてママがここに?」
「た、確かに結城さんのお母さんじゃん! ど、どどどどうして!?」
突然の結城母の登場に動揺しまくるオレと結城。
するとそれを見かねたのか、結城母は満面の笑みでオレたちにこう言ったのだった。
「実はママ、昨日退院したからサプライズだよー」
「「ええええええええええええええ!?!???!」」
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