695 【真・結城編】この感覚はあの感覚?
六百九十五話 【真・結城編】この感覚はあの感覚?
修学旅行1日目はまさに怒涛だったのだが、2日目の日程は比較的平和……三好や結城のヘルプもあり、それほど大きな問題も起こらず終了。 色んな観光名所を回ったオレたちは再び京都駅へと戻り、帰りの新幹線へと乗り込んでいた。
「あれれ。 帰りは隣なんだね」
オレが切符に記されていた席を早めに発見して座っていると、遅れて三好が登場。
「これってあれかな、帰りの電車でもお世話しろってことー?」と笑いながら隣に腰掛ける。
「おー、三好か。 よかったぜー」
「なんで?」
「だってほら前後見ろよ……隣町出身ばかりだろ? だからもしかしたら隣の席に座るのも隣町の生徒だったらどうしよーって内心怯えてたんだよ」
「あはは、確かに。 福田1人だといじめられそうだもんねー。 エマたちはどこらへんだろ」
三好と席から顔を出して周囲を見渡すと、知ってる人間……エマたちは近くて5列後ろの席。
これでは席を迎え合わせにしてトランプ等で盛り上がることは不可能……オレたちは小さくため息をつきながら再び席に腰掛けた。
◆◇◆◇
「あーあ、もう終わりかー。 あっという間だったねー」
新幹線が動き出してしばらく。
三好が大きなあくびをしながら背もたれシートにもたれかかる。
「ほんとになー。 特に三好はオレのサポートで大変だっただろ。 ほんと今日は助かったぜ」
「そう? そう言ってくれると世話した甲斐があったよー」
「いやガチで感謝してんだぞ? 例えば神社のお守りコーナーで寝ぼけたオレが財布を落とした時とか、三好が気づいてくれなかったらオレは今頃一文無し……めっちゃブルーになってたはずだからな」
「あはは確かにー。 でもまぁこんくらいなら余裕っしょー。 だってもしかしたら私、福田のこと中学か高校卒業まで面倒見ないといけなくなってたかもしんないんだよー?」
「ん? 中学高校卒業まで? どういうことだ?」
三好も疲れていたんだろうな。
三好はオレの問いかけを聞くと「あー、眠くて口滑っちゃったわー」と苦笑い。 その後その理由を簡単に説明してくれたのだが……
「ーー……あー、あの時か」
「そう。 あの時」
三好の言うあの時……とは、優香が事故にあって生死の狭間を彷徨っていた際、オレが神様に交渉するべく病院の階段から飛び降りて意識不明になっていた時のこと。
三好は目を覚ました福田ダイキが今のオレVER福田ダイキではなかった場合、過去にいじめていた罪滅ぼしもかねて元祖ダイキが安心して日々を過ごせるよう、元祖ダイキの日常の全てをサポートするつもりだった……とのことだった。
「お、お前まじか」
オレが驚きながら声を漏らすと、三好は「だって前に福田、私に言ったじゃん。 もしまた福田が意識を失って、目を覚ました時に……前の福田に戻ってたらそいつを頼むって」と姿勢を正しながらオレを見つめてくる。
「あー、そういや言ったな。 あれは……いつだっけ。 隣町小と廃校で競技会をした後くらいか」
「うん。 そこで福田に昔の記憶がないことを知って、福田の部屋で前の福田が書いてたノート見せてくれたんじゃん」
「あああ、そうだそうだ! しかしよく覚えてたな」
「そりゃあもちろん覚えてるよ。 だって今の福田がいなくなったらって考えると私……」
この先、三好は何を言おうとしていたのだろう。
話している途中で三好はハッと我に返り口を閉じると、誤魔化すように「あ、あはは!! な、なんでもないの! 今のは忘れて……!」と顔を真っ赤にしながらオレから視線をそらす。
「お、おいなんだよ」
「な、なんでもないって!」
「いやいや何か言おうとしてただろ。 まるで今のオレのままでいてほしいような文脈で……」
「うわあああああああ!!! 忘れろ……忘れろおおおお!!!」
冗談のつもりだったのだがまさか図星……なのか?
目の前で赤面し騒いでいる三好を見ていると、オレの心臓の鼓動が若干激しくなっていることに気づく。
ーー……ん、なんだこれは。
これはまさに以前結城に惚れていた時の鼓動の高鳴りに似ているような……。
オレが胸部を押さえながら固まっていたのが異様だったのだろう。
そんなオレに気づいた三好が「ど、どうしたの福田」と唇を尖らせながら小声で尋ねてくる。
いやまさか……そんなわけねぇよな。
きっとこの感情は『恋』とは違った何かなはずだ。 そうに違いない。
オレはこの照れを隠すべく「いや、何でもない。 てか疲れてたんだろ寝るぞ」と会話を終了。 無理やり目を閉じシートにもたれかかった。
◆◇◆◇
「ねーえ、福田。 本当に寝んの?」
オレが目を閉じてからまだ1分も経たない時間。
三好が「ね……ねぇねぇ」とオレの肩を叩いてくる。
「寝る。 三好お前もあくびしてたじゃねーか」
「それはそうだけど……私らも修学旅行の感想言ってちょっとは盛り上がろうよ」
「後日な」
「ーー……」
おいおい言い返さないんかい。
「いや、そこで無言になるなよ。 オレがなんかお前に酷いことしたみたいだろ」
オレは仕方なく三好の提案に付き合うことに。
昨日今日の出来事を思い返しながらゆっくりと目を開けて三好の方へと顔を向けたのだが……
「ーー……ん?」
オレの視界には両手で口を覆うように押さえている三好の姿。
そしてオレの声に気づいた三好も静かにオレに目線を合わせてきて……
「み、三好? どうし……た?」
「うげー。 きもぢわるい」
「!!!」
そ、そうだったあああああああ!!!!
そういやこいつ電車でも酔って……行きの電車の中でも気持ち悪くなってたんだったああああああああ!!!!!
「よ、よし三好! オレの上に乗れ!!」
オレは慌てて三好の体を持ち上げ、足の上へと乗せる。
「うげー……気持ち悪いし眠いしでめっちゃやばい、バランスとりにくすぎぃ……」
「だ、だったらほら、体をオレの方に向けるようにするんだ!! そしたらお前が前に落ちる心配もないし……眠たくなったらオレが背中に腕回して支えててやるから……それで安心だろ!!」
「んんーー……ごめんありがどーー……」
まさにこの時のオレは三好にとってこの修学旅行の締めが最悪な結果にならないようにと必死。
三好の体調が戻るまではとにかく三好の気を散らすよういろんな話題を振っていたのだが、三好がウトウトし始めてようやく気づく。
あれ、この体勢で三好が寝落ちしたとしたらオレに抱きつくような感じになるよな。
その状態で数時間とか……どんな拷問なんだよおおオオオオオオ!!!!!
案の定三好はウトウトし始めてすぐに安心したのかオレに抱きつくような体勢で寝落ち。
オレは体前面で三好の柔らかさと温かさを……耳元では三好の寝息、左頬には三好の顔が当たり、それはそれは興奮止まない時間が始まったのだった。
「ったく、オレがすぐ襲わないチキンでよかったなー」
「ーー……むにゃにゃ、福田ぁー」
「おいおい夢にまでオレ出てんのかよ。 一体どんな夢を見……」
「今のままで……私の好きな福田のままで……いて……ねぇ……」
え。
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