683 【真・結城編】特別編・この気持ちは……?
六百八十三話 【真・結城編】特別編・この気持ちは……?
念願だった母の『福田くんとお話したいなー』。
それがようやく叶った母はダイキが帰ったあともニコニコ嬉しそうに微笑んでいた。
「ママ、ずっと笑ってるね。 そんなに福田……くんとお話できたのが嬉しかったの?」
桜子が見上げながら尋ねると母は何も答えず……微笑んだまま桜子の頭を撫でる。
「ママ?」
「今日はほんとにありがとうね。 ダイキくんにもさっきありがとうって言ったけど、また桜子からメールで伝えといてくれるかな」
「え? う、うん分かった。 じゃあ今からメール送るね」
ーー……ママは一体どうしてそこまで喜んでいるんだろ。 別に私みたいに何かから助けてもらった……とか、そんなんじゃないのに。
何度考えても理由が分からない。
桜子は考えるのを一旦中断して母からの伝言をダイキに伝えるべくスマートフォンを取り出し起動。 すると画面にはダイキからのメール受信通知が届いていた。
「あれ、福田……くんからメールきてる」
「そうなの? なんて?」
「ちょ、ちょっと待ってね。 今開くから」
桜子は母親にも画面を見えるようにしながらメール通知をタップ。 2人でその内容に目を通した。
【受信・福田くん】今日は遅くまでごめんね。 ちょっと言い忘れたことがあってメールしたんだけど……2学期の修学旅行って結城さんもう一緒にグループ組む子とか決めてる感じかな? 西園寺が結城さんと一緒の班になりたいって言ってて。 もし難しそうならオレから断っておくから、OKかNOか教えてくれる?
「え」
「あら」
読み終えたタイミングがほぼ同じだったらしく同時に2人の口から声が漏れる。
「修学旅行……」
「どこ行くの?」
「えっと……確か京都だったかな」
「へー、良いじゃない。 ママも学生の頃卒業旅行で行ったなー」
「そうなの?」
「うん。 その時はお寺や神社巡りが主だったけど、桜子の学校ではどんな感じで回るんだろ」
そこから少し始まったのは母による京都の思い出話。
「着物着て歩いてたら海外の人に写真お願いされたなー」とか「あとお土産の食べ物がほんと美味しいの」などなど。
そんなに楽しいところなんだと桜子が聞き入っていると、母が「それで、桜子どうするの?」と突然話を戻してくる。
「え、なにが?」
「だから班決めだよ班決め。 その西園寺さんと一緒の班になるの?」
「うーん……」
「なに? 考えてるってことは西園寺さんって子とは別に行きたい子がいるってこと?」
母の問いかけを受けていた桜子であったが桜子は無言のままダイキから送られてきたメールを見つめる。
なぜだろう、普通のお誘いのメールのはずなのに胸がソワソワ……変な感じがする。
これは一体……
胸に手を当てながらしばらくの間無言で考え込んでいると、心配した母が「ど、どうしたの桜子。 手で押さえてるとこ……胸が痛いの?」と桜子を引き寄せ顔を覗かせて尋ねてくる。
「え、いや……別になんともないよ」
「そう? でも桜子、さっきからずっと胸おさえながら静かにしてたから……」
「あ、うん。 なんかこのメール見てたらソワソワっていうか、胸の奥が気持ち悪くって」
「胸の奥がソワソワ?」
「そう。 自分でもよく分からないんだけど、もう福田……くん、西園寺さんとそんな話してるんだなーって思って」
「ーー……え?」
「なんだろ、これに似た感覚って前にもあったんだ。 福田……くん、夏休み前も学校でエマや佳奈たちと楽しそうにしてて……それは別に私も楽しそうで嬉しいんだけど、ちょっと胸がキュッてなったの」
「桜子、それって……」
「ん、なに?」
何か知ってそうだったので聞こうとするも、母はそれ以上は話してくれず。
「なんて言おうとしたの?」と尋ねても、「ううん、それは桜子が自分で気づかないとダメなことだからね」と何故か笑顔で返されてしまったのだった。
「で、どうするの桜子。 班のこと」
「誘ってくれたことは嬉しかったし、いいよって送るつもりだよ」
「そっか。 じゃあさっき桜子の感じた胸のモヤモヤ、修学旅行中か……それまでに気付けたらいいね」
「じゃあママ教えてよ」
「だーめ」
「むーーっ」
お読みいただきましてありがとうございます!!!
女の子の心とは難しいものですね!!
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