681 【真・結城編】お願い!!【挿絵有】
六百八十一話 【真・結城編】お願い!!
夏休みの宿題を手伝ってくれたお礼としてオレが西園寺に『オレが出来ることならなんでもお願いを聞いちゃう』と言ってみたところ、西園寺は早速オレにお願い事を口にする。
そしてその内容が……
2学期にある修学旅行を同じ班になって一緒に回りたい。
その発言にオレが驚き黙り込んでいると、西園寺は「あ、もしかしてそういうことじゃなかったかな。 ごめんね困らせちゃったみたいで、今の忘れて」と少し顔を赤らめながら視線を外した。
「え、あ……いや、オレはいいんだけどさ。 でもオレと西園寺って別のクラスなわけじゃん? それって学校のルール的に可能なのか?」
「うん。 福田くん、先生が夏休み前に言ってなかった?」
「何を?」
「今回の修学旅行の班決めは各クラスじゃなくて学年単位で行うって」
ーー……。
「え!? そうなの!?」
初耳な情報を聞いたオレは前のめりになりながら西園寺に尋ねる。
「そうだよ。 学年集会で学年主任の先生が言ってたの覚えてない? 実は前にやった懇親イベントは6年生の私たちにとってはその前段階……他のクラスの子とも仲良くなるようにっていうのも含まれてたみたいだよ」
「ーー……そうだったのか」
そういやオレの選択したデスティニーランド組もオレや結城、三好は後半あたりからバスでのんびり雑談してただけだったけど、みんなバスに戻ってきた頃には他クラスの生徒ともかなり仲良くなってたもんな。
まさかそんなことを学年集会で言っていたなんて……。
多分オレ、その時はまだ結城にフラれたショックをひきづってて話を聞き流してたんだろうよ。
「なるほど、そういうことならオレはいいぞ」
学校的にOKならオレに断る理由はない。
オレは快く西園寺の願いを了承し、続いて他に誰か誘う予定があるのか聞いてみることにした。
「うん、まだ正式ではないけど誘いたい子は決まってるよ」
「ちなみに誰なんだ?」
「えっとねー」
西園寺はオレに視線を向けながら誘いたいメンバーの名前を指折り数え始める。
「桜子、エマ、水島さん、佳奈、多田さん、美波ちゃん……それと多分あの子、綾小路は勝手に割り込んでくると思う」
綾小路……ってあいつか、昔西園寺にちょっかい出した結果返り討ちにあって引きこもりになった挙句隣町に転校して……それで合併を機に再び戻ってきた西園寺のこと大好き女のことだよな。
そういやあいつの話って全然聞かなかったけど、なんだかんだで仲良さそうじゃねーか。 ちょっと嬉しいぜ。
オレがその気持ちを素直に西園寺に口にすると、西園寺は余計に顔を赤くしながら「ち、違うよ! あっちが……綾小路が勝手に私に付きまとってくるだけなんだから!」と必死に言い訳。 しかし続いてオレが質問した「でも別に嫌じゃないんだろ?」の答えは、「ま、まぁ……そうだね」だった。
うん、照れてる西園寺……いいじゃねぇか。
やっぱ女の子ってこうじゃないとな。
オレは未だ1人でブツブツ綾小路のことを呟いている西園寺の姿を温かい目で見つめる。
するとそんなオレの視線に気づいた西園寺が首を傾げながら顔をあげ、オレを見つめ返してきた。
「ど、どうしたの福田くん」
「あーいや、前のドMな西園寺も好きだったけど、今の西園寺も素直でいいなって思ってな」
「なっ……え!?」
「ん? ーー……あ」
西園寺の顔を見てようやくオレは先ほど自分が口にした内容がいかに恥ずかしい台詞だったかを改めて気づく。
「いや! ちょ、西園寺! 違うんだ! あああ、オレはなんて言葉を言ってしまったんだ……頼むから今のは忘れてくれえええええ!!!!!」
捉え方によっては告白とも取れる内容。
もしこれを西園寺が『告白』と捉えてしまったならばまさに待っている未来は結城の時と同じフラれるパターン……次は西園寺との仲に亀裂が入ってしまうとか勘弁してくれえええええええ!!!
こんなところでオレは西園寺との関係を終わらせるわけにはいかない。
オレは必死に「これはこ、告白じゃないから勘違いしないで……答えを言わないでくれ!」と西園寺に懇願。
するとどうだろう、最悪西園寺と口が聞けなくなることを覚悟していたオレだったのだがそれとは真逆……西園寺は「あはは」と笑うと、「なんか私がお願いしてた立場なのに福田くんがお願いしてるね」とその大きな心で許してくれたのだった。
「大丈夫。 普通に嬉しかったけど告白とは受け取ってないよ。 だってそういうシチュエーションでもなかったしね」
「え、マ……マジ?」
「うん。 福田くんはそういう嬉しいことスラッと言ってくれる人って知ってるから」
おお……おおおおおおおおお!!!!!
「西園寺いいいいいいいい!!!! ありがとううううううう!!!!」
こうして一瞬だけ訪れた恐怖の時間とはこれでおさらば。
オレがホッと胸を撫で下ろしていると、西園寺が「それでさっきの修学旅行の話なんだけど……」と話題を戻してきた。
「ん、どうした? まだ何かあるのか?」
「あのね、佳奈や多田さん、桜子にもそれとなく聞いてみてくれないかな」
え?
西園寺が両手を合わせて「お願い」と可愛く頼み込んでくる。
「ーー……オレが?」
「うん。 水島さんやエマ、美波ちゃんは同じ学年マドンナだから普通に対等に話してくれると思うんだけど、桜子や佳奈たちって空気を読んで了承してくれそうじゃない? それだとなんか申し訳ない……福田くんが聞いたら素直な気持ちを答えてくれると思うんだよね」
「あー、なるほどね」
三好や多田に聞くのは大丈夫だとして……結城からのお願いを断ったばかりだから結城にはちょっと連絡しづらいってのもあるのだが、西園寺のお願いのためなんだ。 やるしかない。
オレは修学旅行の班が既にもう決まっているのかについてのメールをまず三好と多田の2人に送信。
その後結城には……うん、オレだけお願いするってのもおかしな話だからな。 オレは『今夜か翌日なら結城さんのお母さんのところ行けるかも』と送信。 そこで今回の西園寺の件を話すことに決めた。
◆◇◆◇
「ごめんね福田くん。 わざわざ家まで送ってもらっちゃって」
「構わん。 むしろこっちの方が西園寺が無事帰れたことが分かるから安心するぞ」
「うん、ありがと」
「とりあえずあれだ、さっき三好と多田からは返信が来てて、2人は修学旅行の件OKだとよ。 結城さんは分かり次第メールするわ」
「わかった。 ありがと、じゃあ……バイバイ」
「おう、じゃあな」
西園寺を家まで送った帰り道。
メール上で三好&多田と修学旅行の話で盛り上がっていると、結城からのメール受信通知が届いた。
【受信・結城さん】ほんと!? じゃあ明日いいかな!
【送信・結城さん】宿題も無事終わったからいいよ。 いつくらいに行けばいい?
【受信・結城さん】じゃあお昼すぎたあたり……13時くらいでいいかな。 その時間ならママ、検査とか終わってるはずだから。
【送信・結城さん】わかった、じゃあ明日病院着いたらメールするね。
【受信・結城さん】うん、ありがと! ママもよろしくだって!
うん、やはり結城母がそこまでオレと話すことにこだわる理由が分からない。
でもまぁ……嫌われるよりはマシか。
「出来ればあれだな、オレが結城に告白してフラれたこと……これだけは知らないでいてほしいぜ」
オレは小さく手を合わせて「あのことは知りませんように」と運命の神にお願い。
お腹もいい具合に空いてきたので駆け足で家へと帰ったのだった。
お読みいただきましてありがとうございます!!
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今回のプライベート西園寺の髪型久々ですね!!
【110話】以来……見比べると画力が上がっていることを実感しました自画自賛!!!!笑




