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642 【真・結城編】懇親イベント


 六百四十二話  【真・結城編】懇親イベント



 神様から言われた衝撃的な事実。



『茜の写真でも結城母の病気は治らない』



 もちろんオレはそのことを結城に言えず。

 そのまま数日が経過し、以前プリントに希望を書いて提出したあのイベント……懇親会イベントの日となった。



「うわああああ!!! きたあああああ!!!!」



 早朝学校に集合しバスに乗って2時間。 巨大テーマパーク・デスティニーランドの入場ゲートをくぐった三好が両手を上げながら高らかに叫ぶ。



「いや、三好お前海じゃないんかーーーい!!!!」



 キラキラと目を光らせる三好にオレは間髪を容れずツッコミ。

 しかしそんなことなど気にしていない三好は「あははは!! いいじゃんいいじゃんテンション高いねえ福田ーー!!」とオレの腕に抱きつきながら小さく跳ねた。



 ぴょんぴょんぴょん!



 ふにふにふにぃ……



 ウオアアアアアアア!!!! 地球に生まれてきてヨカッタアアアアアアアア!!!!!!

 三好の柔らかいところが腕に当たって気持ちいいんじゃああああああ!!!!!



 それも押し付けた状態で跳ねてくれてるもんだから、弾力もモロに感じられてまさに至高!!! オレにとってはこの当たってる箇所こそが真のデスティニーランドといっても過言ではない!!!



「ねーえ、福田は昨日寝れたー?」



 ぴょんぴょん!!


 ふにぃー! ふにぃー!



 フォアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 MOTTO☆MOTTOOOOOO!!!!



 オレがそんな三好の感触を堪能している間にも他の生徒たちがワイワイ言いながらオレたちの横を通り過ぎていく。

 そしてそんな光景を不思議に感じたのか、後ろにいた結城が「ねぇ佳奈、福田……くん、行かないの?」と不思議そうに首を傾げながら尋ねてきた。



「え、あ、ああああ!!! そうだったそうだった!! 夕方までが期限なんだもんね早速行こう!! だから三好そろそろ離れろい!」



 オレは若干腰を引き気味にしながら三好を無理やり剥がす。



「えー、いいじゃんテンション上がっても」


「ただでさえ快晴で若干暑いのにくっつかれたら余計に暑いわ!」


「福田もなんだかんだ熱くなってんじゃん」


「いや、それはそんなに密着させられたら仕方ない……てか今思えば三好、お前そんな平熱高かったか?」



 先ほどまでは腕に当たる感触に集中していたが、今思い返せば三好の体温……いつもよりも体温が高かったような。


「風邪か?」とオレが尋ねてみるも三好は全力で首を左右に。 「そんなわけないっしょ! 平日に遊園地っていう神なイベントに興奮してるだけだし!」とわざとらしく胸を張った。



「そうなのか? ならいいけどよ」


「うん大丈夫!! じゃあまずはどこ行こっかなー、桜子は行きたいところある?」


「私? 私はどこでもいいよ」


「へ? そうなの?」


「うん。 私、同い年の女の子とこうして遊園地とか行ったことないから多分どこ行っても楽しいの。 だから佳奈に任せるよ」



 あぁ結城、なんて健気な子。


 オレも結城とまた一緒に遊園地に来られるなんて嬉しいよ。 前に一緒に行ったのは優香とギャルJK星を入れた4人で行った時以来……あの時はお化け屋敷でクヒヒ野郎と初遭遇してかなり恐怖を覚えたぜ。

 しかし今回このデスティニーランドにお化け屋敷はない!! オレも盛大に楽しんでやる!!!



 こうしてオレたちも少しでも多くアトラクションで遊ぼうといざ出発。

 三好が先頭を行き結城が地図で方向を伝えながら一番最初の目的地……ジェットコースターへと向かった。



「んでさ、なんで三好は海じゃなかったんだ?」


「なんでー?」


「いやだって多田も小畑さんも西園寺もエマも水島もみんな海選んだんだろ? だからオレはてっきり三好も海にしたもんだと思ってたんだよ」


「いいじゃん別に。 え、もしかして福田、私が一緒イヤだったとか?」


「んなわけねーだろ。 ただ単に謎ってだけだ。 お前のおかげでバスの中でも酔わずに済んだんだから、オレは少なくとも三好が同じの選んでくれててよかったって思ってるぞ」


「ふーん。 じゃあいいじゃん」


「ま、まぁそうだけど……ん、三好。 顔赤いぞ」


「は、はああああ!? 何言ってんの? 暑いからだしバーーカ!!!」



 はああああああああ???



「ふふ、佳奈も福田……くんも仲いいんだね」



「よくないよ!!!」

「そんなわけないじゃん!!」



 ◆◇◆◇



【受信・エマ】ダイキみて!! エマたちのお昼ご飯、海鮮丼だったの!! ほら、海の幸たっぷりで結構豪華じゃない!?



 添付された写真を開いた瞬間オレのお腹がグーと悲鳴をあげる。



【送信・エマ】何それめっちゃ豪華じゃねーか。


【受信・エマ】でしょ!! 味もワサビがほんのり効いてて最高だったわ!! ちなみにミナミは中央に盛られたワサビに気づかないで一気に口に運んじゃって大変だったけど。 ダイキは何食べたの?


【送信・エマ】まだ食べてねえよおおおおおお!!!!


【受信・エマ】え、そうなの?


【送信・エマ】このアトラクション乗ったらお昼ご飯にしようって話してたんだけど、2人ともまだ帰ってきてないんだよ!!!



 結城と三好が屋内アトラクションに入ってからどれくらい経ったのだろう。

 スマートフォンを確認するとちょうどお昼時。 オレはグーグーうるさいお腹を押さえながらエマとメールのやり取りをしていると、ようやくアトラクションを終えた2人が出口から出てくるのを発見した。



 しかし……なんだ、様子が変だぞ。



 目を凝らしながら2人を見てみると、結城は涙を流しているし三好も若干涙目になっている。

 でもあのアトラクションって別にホラー系とかそんな感じじゃなかったよな。 

 ということは……



「おおおおおおい!!!」



 オレはベンチから立ち上がると駆け足で2人のもとへ。

 一体中で何があったのかを尋ねてみたのだが……



「べ、別になんでもない。 感動しただけだし」



 三好が視線をプイッと逸らし口を尖らせながら答える。



「そ、そうなのか? なら別にいいんだけど……でも三好たちが乗ったのってトロッコで宇宙の旅に出る的なやつだったよな。 どこに感動したんだ?」


「いいじゃん別に。 それよりほら、これ終わったらご飯行くって言ってたっしょ。 早く行こうよ」


「え、あ、あぁ……そうだな。 じゃあ行くか」



 ーー……なんで感動したことを教えてくれないんだ?



 移動している間にオレは同じことを結城にも尋ねてみたのだが、結城も首を小さく左右に振るだけで教えてくれず。

 ご飯中には2人の様子も元には戻っていたのだが、頑なにどんなシーンで泣いていたのかについては答えてくれなかったのだった。

 


「えー、なんでそんなに2人とも教えてくれねーんだよ!! ちょっとくらい言ってくれてもいいだろ!?」



「うっさいなー福田ー。 せっかく美味しいご飯食べてんだから文句言わないでよ」


「はあああ? じゃあ教えろよめっちゃ気になってんだよ!! というよりも三好食べる量少なくね!?」


「もー、そんなネチネチちっちゃなこと気にしてたらモテないよ? ねー、桜子」


「う、うん。 福田……くん、ほら、私のカボチャあげるからもうこの話、やめよ?」



 結城がニコリと微笑みながら自身の注文したセットに盛り付けられていたカボチャの煮物をスプーンですくってオレに差し出してくる。

 普通ならオレが大歓喜するシチュエーションなのだが……



「結城さん」


「なに福田……くん。 はい、あーーん」


「いや、結城さんがカボチャ嫌いなのは知ってるわけで……流石にそんなことではオレは誤魔化せられないというか……」



 オレの発言が図星だったのか結城はスプーンをオレに向けたまま大きく瞬き。

 その後「じゃ、じゃあ佳奈、あーーん」とカボチャを三好の方へと方向転換させる。



「いや、私もちょっと。 序盤からはしゃぎ過ぎたからなのかちょっと疲れて食欲ないんだよね。 ごめん」


「ーー……」



 なんとも悲しき運命かな。


 結城によってすくわれたカボチャはオレ、三好を回って再び己の目の前に。

 結城はそんなカボチャをジッと見つめると、オレや三好から向けられた視線に耐えきれなかったのか意を決してパクッと口にし悶絶していたのであった。



「うにゅむ……このネチョネチョが……」



 あぁ、苦手な食べ物を我慢しながら食べてる結城ガチで可愛い。

 ていうかそれよりもあれだよな、朝からなんとなく違和感はあったんだけど三好のやつもしかして……



 オレは結城にバレないようさりげなくメールで三好に尋ねてみることにする。

 


【送信・三好】なぁ、言いづらいかもしれないけど教えてくれ。 三好お前、今風邪引いてるだろ。



 するとどうだろう、三好からの返信は想像通り……いや、それ以上に心配してしまうほどのものだった。



【受信・三好】バレた? 実はもうかなり限界。 ただ桜子も楽しそうだったから水差すのも悪くてさ。 さっきは福田にあんなキツイこと言っててなんだけど、助けてほしいかも。



 メール画面から三好に視線を向けると、三好はオレをみるなり力なく微笑む。

 まったく三好お前ってやつは……初めて会った時と比べるとほんと優しい子になっちまったよなあああああ!!!!

 


 仕方ない、助けてやろう。



 オレはこれからの指示を記したメールを三好に送信。

 受け取った三好はオレのメールに目を通すと、それ通りの演技をし始めた。



「あいた、いたたたた」



 三好がお腹をわざとらしくさすりながら体を丸める。



「な、なんだどうした三好お腹を押さえて。 痛いのか?」


「う、うん。 ちょっと……」


「もしかしてあれか、女の子の日か?」


「そうかも」


「立てる?」


「難しい」


「そうか!! ならオレに任せろ!!!!」



 オレは素早く三好のもとへ近づくとよいしょと三好を背負う。

 その後結城に「すぐに戻るから、ちょっと三好を先生のところ連れてってくるよ」と伝え、バス周辺で待機しているであろう引率教師のもとへと走った。



「ごめん、福田……」



 三好を背負いパーク内を走っていると、三好が耳元でボソッと何かを囁いてくる。

 


「なんだ三好。 周りがうるさくて聞こえづら……」


「ーー……っちゃった」


「は?」


「ーー……ったの。 ごめんね」


「なんだかよく分からんがもうすぐ着くからな」


「ん……」



 結局引率教師に熱を計ってもらったところ三好は結構な高熱。 三好は教師が念のためにと常備していた風邪薬を飲まされ、適度にクーラーの効いた車内で休むことになったのだった。



「お土産は買ってくるから安心しろ」


「うん、ごめん頼んだ。 ありがとね福田」


「おう。 じゃあ結城さん待たせてるから」


「だね、桜子にもごめんって言っといて」


 

 こうしてお昼後オレは結城と2人で回ることに。

 どこに行くか尋ねると、結城は迷わずこう口にした。



「お土産買ってバスに戻ろ」

 

 


お読みいただきましてありがとうございます!!

【三好編】では『山』を選んでいたダイキですが【真・結城編】では『デスティニーランド』ですね!


感想や評価・ブクマ・いいね等、お待ちしておりますー!!

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