636 【真・結城編】お別れ会!!【挿絵有】
六百三十六話 【真・結城編】お別れ会!!
結城母による自分の命はそこまで長くない発言。
更に娘をよろしくと言われたオレは何とか生きる希望を持つよう説得しようとしたのだが、そんなタイミングで結城が現像した写真を大事に握りしめながら部屋へ帰還。 オレと結城母の2人だけの会話はそこで断たれてしまった。
◆◇◆◇
「あれ……今日は珍しく数日ぶりに容態安定してますね。 娘さんと話せたことが作用してるんでしょうか」
結城が戻ってきてから数十分後。 問診に来た医師が「良かったですねお母さん」と微笑みながらカルテにスラスラと記入していく。 その後結城に視線を移し、「こんなにお母さんとお話出来る時間があるの、久しぶりじゃない?」と嬉しそうに尋ねた。
「うん、いつもは私が来てもすぐママ辛そうになってたから……嬉しいな」
「これも娘であるキミが毎日来てくれた結果なのかもね」
「そうなの?」
「うん、きっとお母さんの娘さんといっぱいお話したいって気持ちが病気に勝ったんだよ。 だから今後もお母さんのこと、元気付けてあげてね」
「う、うんっ!!!」
結城は嬉しそうに大きく頷くと、オレや医師の目など気にせず母親の胸へ。
「ママ、今日はいっぱい一緒に入れて嬉しいな!!」と甘えん坊100パーセントの顔で結城母を見上げた。
結城母の容態……茜の写真の効力も相まっているのだろうが、何にしてもこれは良い結果だ。
おそらくは茜の映った写真をスマートフォンの待ち受け画面に設定した結城の願いで結城母の病気の悪さを抑え、更にその写真を現像し近くに飾った事により結城母自身にも結城の願いにプラスしてその恩恵が来ているのだろう。
それからのオレと結城は、高槻さんが迎えに来るまで結城母と3人で楽しく雑談。
病院から帰る際の結城の顔は最近の中ではかなり明るい表情になっていたのだった。
「そういや桜子、お医者さんから聞いたんだけど、お母さん……今日はとっても体調よかったんだって?」
帰宅途中のタクシー車内。 高槻さんが結城の頭を撫でながら顔を覗かせる。
「うんっ! お医者さんがね、私が一緒にいてママ元気になったんだって言ってた!」
「そう。 じゃあ来週からは今まで以上に会えるようになるね」
「ほんとにありがとうママ!! 私、本当のママももちろん好きだけど、今のママもいっぱい好きだよ!!!」
結城が満面の笑みで高槻さんに抱きつく。
そんな2人の様子を助手席から見ていたオレとセンターミラー越しから見ていた運転手さんは静かに顔を合わせ、滝のような涙を流していた。
「くぅう、感動の涙で前が見えない……ちゃんと運転出来ないぜ」
「いや、そこはちゃんと運転してもろて」
あ、そうだ。 このことを茜にも報告して……お礼を改めて言わないとな。
オレは涙を腕で拭うと早速茜にメールを送信する。
【送信・堀江茜】今日は久しぶりに会えて嬉しかった。 まさかこっちに引っ越してきてたなんてビックリしたぞ。 それとありがとな、おかげで友達……結城さんのお母さんの容態、今日はすこぶる良かったっぽい。
するとどうだろう、茜もちょうどスマートフォンを弄っていたのかすぐにメールの受信通知が届く。
【受信・堀江茜】そう言ってもらえたなら嬉しいな。 実はこれで効果なかったらどうしようって不安だったんだ。
【送信・堀江茜】結城に代わって何かお礼でもさせてくれ。 オレに出来ることなら何でもするぞ。
ここで茜はお風呂にでも入ったのか、メールのやり取りは一旦中断。
返事が来たのはその日の夜中で、オレがベッドでハッスルしていると突然の着信通知……茜からのようだ。
「なんだ? なんで電話なんだ?」
オレはすぐに上体を起こし、スマートフォンを耳に当てた。
「もしもし茜、どうした?」
『夜遅くにごめんねダイきちくん』
夜中で気を使っているのか、茜が小声でオレに尋ねてくる。
『もしかして寝てた?』
「いや起きてた」
『そうなんだよかった……何してたの?』
「い、言えないことじゃい」
『言えないこと? ーー……あ、あぁそういうことか。 ごめんねお楽しみ中に邪魔しちゃって』
スピーカー越しから茜の若干戸惑いつつも興味を持った声。
オレはそんな茜の声に静かに興奮しながらも、とりあえず用件を聞くことにした。
「まぁ構わんが……それで何で電話を?」
『あ、うんそうだね。 さっきダイきちくんからのメールを見てね、ダイきちくんが「オレに出来ることなら何でもする」って書いてたから……』
「あー言ったな。 なんだ、早速オレに出来ることあるのか?」
『うん、実はね……』
茜からの要望は週明けのどこかで放課後時間を作ってくれないかというもので、もちろんオレはそれに了解してその日はハッスルした後就寝。 翌日の土曜日は結城母が朝から検査だったこともあり、オレたちによる結城お別れ会がオレの家……福田家でお昼から盛大に繰り広げられていたのだが……
「あははーーん!! まだ夕方なのにこんなに酔っちゃって……でもまだまだお酒がある。 ここは天国かしらぁーー??」
「ママー、飲みすぎだよー?」
フラフラと立ち上がった高槻さんをすかさず結城が支えに入る。
「あ、そろそろお風呂の時間かしらぁー、桜子、一緒に入ろーー??」
「ここ、福田……くんの家だよ? って、ああああ、脱いじゃダメーーーー!!!」
お、おおおおおおおおおおおお!!!!!
なんと眼福!!
日頃の精神的疲れもあったのか高槻さんはパーティー開始早々にお酒を爆飲み。
完全に酔いつぶれてここが自分の家だと思っているのだろう、躊躇なく服を脱ぎだし下着にまで手をかけ始める。
これは……最高の瞬間じゃないかああああ!!!!
「あらーどうしたの桜子ー。 おふろいきゅよーー」
「もうパンツまで……ってママ、私の手、お股で挟んでるよーー!? それじゃあ歩けないよー!!」
ほぼ裸の高槻さんを見たオレの興奮は一気に急上昇。
それを察したエマや優香がオレの視界を遮るも、隣でエルシィちゃんが「まいてんてー、エッチーも、おふろ、はいゆーー!!」と突然服を脱ぎ出し、更にオレにとっての大修羅場となったのだった。
「ああああ、ちょ、ちょっとエマちゃん! 高槻先生は私がなんとか部屋で寝かせに行くから、エマちゃんはダイキの目からエルシィちゃんを守ってあげて!」
「わ、分かりました!! なに先生の裸が見えなくなったからってそれ以上に鼻の下伸ばしてエルシィ見てんのよ変態ダイキーーーー!!!!」
優香が高槻さんの介抱に移ると同時にエマの鉄拳がオレの腹部へと飛んでくる。
「ぐええっ!!! な、何すんだエマ!!」
「何すんだじゃないわよ!! エルシィをエッチな目で見てたでしょ!!!」
「み、見てねーよ!!」
「じゃあその存在感増してるモノはなんなのよ!!」
「ーー……あ」
オレが視線を逸らしながらゆっくりと腰を引かせると、生まれたままの姿のエルシィちゃんがオレの腕を引っ張ってくる。
「ダイキ、ここパンパン、いたいんなぁー?」
「えっ!!」
「ちょ、ちょっとエルシィ!!」
「エッチーが、『いたいのいたいの、とんでけー』したえうー」
なん……だと。
これはいつ以来だろう、前に一度やってもらったことがあるような気もするがまさか……
「はい、ポンポンポン、いたいのいたいの、とんでーけえー」
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
「エルシィーーーーーー!!!!!」
そこからエルシィちゃんがオレに施したのはまさにエンジェルタッチ。
エンジェルタッチを受けたオレの某所は一瞬で天に召され、オレは静かに立ち上がる。
「この臭い……ダイキ、まさかアンタ……!!!」
「シャワー、浴びてきます」
なんともドタバタな1日。
しかし夜にはバイト終わりに参戦しに来たギャルJK星も加わったことで、更にドタバタは続くことになる。
「あっははは!!! 高槻先生だっけ、めっちゃおもろいやんーー!! アタシ、こんな先生が担任に欲しかったですーー!!!」
オレがエルシィちゃんと遊んでいると、机の方からガールズトークで盛り上がる女子グループ……主にギャルJK星の笑い声が聞こえてくる。
「そうですかぁー? そう言って貰えると嬉しいですー」
「ねね、絶対せんせーモテるでしょ!! なんで彼氏とか作らないんですか!?」
「出来ないんですよねぇこれがー」
「マッチングアプリとかこの時代あるじゃないですか!! せんせーだったら男入れ食い状態でしょ!!」
「それは過去にちょっと痛い目見たんで勘弁してくださいよぉー」
おいおいなんて興味深い話をしているんだ羨ましい。
ちなみにエマと結城は話の内容が大人すぎて完全に顔を真っ赤にして俯いている……結城は分かるがエマもやっぱりウブなんだな。 なんだかんだ可愛いじゃないか。
オレはエルシィちゃんと遊びながらも耳はガールズトークに集中。 どんな暴露話が飛び交うのかと心踊らせていたのだが……
「えええ、じゃあ付き合わずにたまに寄ってくる男とですか!!」
「そんなわけないですよー。 私まだ経験ないんですよー?」
「そうなん!?!? じゃあまだ純潔の証……アレあるんですか!?」
「いえ、それはもう無いんですけど……」
ーー……え。
「えええええなんでええええ!?!?」
オレと同時にリアクションをとるギャルJK星。
そんなギャルJK星の口を横から優香が引きつった顔で塞ぎにかかった。
「どうしたのゆーちゃん」
「いや美咲、会話の流れで大体察するでしょ! なんでそれ以上聞こうとするの!」
「へ?」
「マッチングアプリで痛い目見て、純潔の……アレがない。 てことはもう行き着く先は1つしかないでしょ!」
「!!!」
やはり優香もオレと同じ予想か。 優香の発言を受けたギャルJK星がハッと我に返る。
これにはエマも察しがついたようで、結城を除く3人から同情の視線が高槻さんへと向けられた。
しかし……
「あれれ、どうしたんですかぁー? 急にしんみりな空気になっちゃってー」
未だ酒の抜けていない高槻さんが頭上にはてなマークを浮かばせながら可愛く首を傾げる。
「え、だってそれは……ねぇ美咲」
「そ、そうだべ。 だってせんせー、マッチングで騙されてその、犯さ……」
ギャルJK星は言葉を濁しながら伝えると、それを理解した高槻さんは「あー、そういうことですか。 違います違います、私そんなことされたこともないですよー」とアハハと笑う。
「「「え」」」
高槻さんの発言とその陽気な表情に呆気にとられている3人。
そんな3人を見た高槻さんは、少し恥ずかしがりながら「実はですね……」と小さく口を開いたのだった。
「お恥ずかしいんですけど私、大学生の頃に生まれて初めて大人のオモチャを買いましてね、それでうっかり……」
ハーーーーーックション!!!
あぁ、なんて平和な夜なんだ。
お読みいただきましてありがとうございます!!
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久々に結城ちゃん描いた気が……やはり可愛い 笑




