623 【ギャルJK星編】映るはずのないもの【挿絵有】
六百二十三話 【ギャルJK星編】映るはずのないもの
昼過ぎ。
「じゃあまたあのストーカーに動きがあったら連絡しますので、それまでは家でのんびりしててください」
自宅前まで送ってもらったオレたちは夜逃げ屋さんと別れて一旦帰宅。
家に入るやいなや、優香は夜逃げ屋さんや探偵さんたちから受け取っていた防犯グッズを速やかに取り付け始める。
「お姉ちゃん、なんか手伝おうか?」
「ううん、ダイキは美咲の近くにいてあげて。 1人だときっと心細いから」
「わかった」
オレはギャルJK星とともにリビングへ。
ギャルJK星は「あー、なんかちょっと眠くなってきたかも」とソファーの上で横になった。
「ダイキ、膝枕してもらっていい?」
やっぱりあれか、ギャルJK星もやっと緊張から少し解放されたって感じだな。
いつものようなニッコリスマイルではないものの、ギャルJK星から声をかけられたことにより自然と頬が緩む。
「ダイキ?」
「あーごめん、いいよ。 数秒で頭に何か固いの当たると思うけど、それでも星さんがいいなら」
「んだよ、心弱ってる女にも欲情すんのかよ」
「仕方ないでしょ、星さん美人なんだから」
「さんきゅ。 まぁでも今回に限ってはそっちの方がダイキの存在感じれるからそれもいいかも」
「え」
それからすぐにギャルJK星は「んじゃちょいと失礼」と頭をオレの太もも……いや、股間の上へ。
頭を左右に揺らして何かの存在を確認してから目を瞑った。
「あー、きたきた。 ダイキ感じるわ」
普段のギャルJK星ならそこから更に刺激を加えてオレを良い意味で苦しめていたのだろう。
しかし今のギャルJK星はそんなことなど一切せず、なぜか落ち着いた表情になりすぐに寝息を立て始めてしまう。
「ほ、星さん? もう寝たの?」
「スースー」
「ーー……まじか」
まぁ優香も前に言ってたけどあのストーカー男、夜な夜なギャルJK星の家の近くを徘徊してたんだもんな。
てことは静寂の時間ゆえ、特に小さな物音でも周囲に響く……音に敏感になってるギャルJK星からしたらいくらオレとの会話に集中していたとしても気にはなっていたのだろう。
「まーとりあえず好きなだけ寝てくれ」
オレは小さく声をかけると小さく息を吐く。
そして興奮状態になっているオレの魂をどう沈静化させようか考えていたのであった。
うむ、逆に何もされないままってのも結構な地獄だぞ。
でも頭の圧迫感があるだけなのになんだかんだ少しは気持ちいいし、このまま弄られずにくしゃみをするなんてことは……ない、よな???
◆◇◆◇
優香が取り付けた防犯グッズはオレの見える範囲でも相当なものだったぞ。
まずは玄関に新たな鍵を設置。 最近の防犯用の鍵って女の子でも簡単に取り付けられるんだな……ドライバーも接着剤も使わずに一瞬で設置してたぜ。
あとは一応オレたちの家はマンション3階にあるのだが、外が見える窓全てに曇りガラスシートが貼られていたな。
しかもそのシート、どうやらガラスの強度も上げてくれるらしく、外側からハンマー等で叩いてもそう簡単には割れなくなっているらしい。
最後にこれはガチだと思ったのが防犯カメラだ。
玄関先に小さなカメラを設置したことによりリビングからでも誰が訪問してきたか分かるようになったのだ。
ーー……てか今まで設置してなかったことが無用心だったよな。
「なんかすごいねお姉ちゃん」
ギャルJK星を膝枕した状態で優香に話しかけると優香は優しく頷く。
「そうだね、みんなが『こうしたらいい』って教えてくれたから本当に感謝だよ」
「そうなんだ」
「うん。 それにウチには盗聴器は仕掛けられてないって教えてもらったから安心していいよ」
「え」
聞いてみると優香曰く、オレたちがワゴン車でサービスエリアへと向かっている途中で、信頼している別の探偵さんたちに家の中・周辺をチェックしてもらっていたとのこと。
それはオレたちが帰宅するギリギリまで行われていたらしい。
「へー、そうだったんだ。 だったらお礼言いたかったな」
「ね。 弟もそう言ってましたって後で伝えておくよ」
その後優香は「じゃあお腹も空いただろうしお昼の用意してくるね」とキッチンへ。
オレもなんだかんだで疲れていたんだろうな……知らない間に眠りに落ち、目を覚ました時にはすでに夕方になっていた。
「ん、あれ……オレも寝ちゃって……」
「おはよ、ダイキ」
声のした方へ視線を向けるとギャルJK星が薄っすらではあるが笑みを浮かべながらオレを見下ろしている。
「あ、星さん……起きたんだ」
「そりゃあ至近距離であんなイカ臭いの嗅いだらね」
「ーー……」
え。
「ええええええええええええ!!!!!」
理由は言わないが慌てて下半身の某所に視線を落とすとまさに惨劇。
それも女装状態のまま寝てしまっていたもんだからワンピースのスカートは大胆に捲れ上がっており、ピチピチのパンツには恥ずかしい限りなのではあるが変なシミができてしまっているではないか。
「あ……あああああ!!! やってしまったあああああああ!!!」
急いで優香のいたテーブルの方へ視線を移すも優香は若干顔を赤らめながら苦笑い。
これは……完全に同情してるやつじゃねえかあああああああ!!!!
オレはすぐに飛び起きると浴室へ。
「女の子が着用してたパンツではないゆえ貴様はいらん!!!」と異臭放つパンツをゴミ箱に打ち込むと、暖かいシャワーで身体に染み付いた嫌なものを一気に流れ落としていく。
「あーオレの体が石鹸の香りに変わっていくぜ。 てかあれだよな、そろそろ時間的にあのストーカー野郎が捕まる頃じゃね?」
早くその知らせが届くといいのに……そんなことを考えながらオレはスッキリした状態でリビングへ。
するとどうだろう、優香とギャルJK星の様子がおかしい。 表情を曇らせたまま同時にオレに視線を向けてきた。
「ねぇお姉ちゃん、どうしt……」
「しっ、あまり大きな声出さないで」
優香が突然小声でオレの口を押さえてくる。
「え」
一体何があったんだ?
改めて声を小さめで尋ねてみると、驚きの言葉が返ってきたのだった。
「ダイキ、絶対大きな声出しちゃダメだよ」
「うん」
「じゃあ……そこ、リビングの扉横に置いてある監視カメラのモニター見てみて」
「え?」
なんだ、早速見えちゃいけない何かでも映ってしまったのか?
オレはほとんど何も考えないまま視線を優香から監視カメラの映像モニターへ。 するとどうだろう、何がどうしてこうなっている?
そこに映し出されていたのはフードを深く被った高身長の男性。
マスクをアゴ下までずり下げニヤリと笑みを浮かべながらじっと立っていたのだ。
お読みいただきましてありがとうございます!!
感想や評価・ブクマ・レビュー・いいね等、お待ちしております!!
たまに時間がなさすぎて不定期になると思いますがご容赦を……!
そして今回の挿絵……ギャルJK星は遊園地に行くという名目上での服装だったので以前ダイキや優香・結城との4人で行った際の第60話『ギャップいぇす!!』の挿絵リメイクVERとなります!! なかなかデジタル上達しましたね 笑




