608 【優香編】夢の共演!!【挿絵有】
六百八話 【優香編】夢の共演!!
突然のギャルJK星の登場に驚いたオレ。
しかし優香はなぜだろう……まったく驚く様子も見せず、ギャルJK星を見るなり分かりやすいため息をついた。
「美咲、遅い」
「んなこと言わないでよ。 ゆーちゃんがアタシのメール無視すんのが悪いんしょー?」
ギャルJK星が優香にくっつきながら脇腹を指先で高速で突く。
「だって電波なかったんだもん」
「それさっきも言ったけど『電波たまになくなるよ』ってゆーちゃんが教えてくれたんじゃんー。 だからアタシ、ちゃんとモバイルWi-Fi持ってきたんだべ?」
「知ってる。 それで私のスマホもさっきWi-Fi繋がったから」
「なるほどね、だからアタシの登場に驚かなかったわけかー」
うむ……心なしかダーク優香なのに表情が若干柔らかくなった気がするぞ。
ギャルJK星も久々に優香に会えたことが嬉しかったのか、ご機嫌でアハハと笑っていたのだがそれもその時だけ。 一旦間をおいてオレに視線を移すと、ゆっくり歩み寄ってきてスキンヘッドの頭を鷲掴みにした。
「おいいきなりなんだお前……」
「とりあえずダイキ離せやハゲ」
鋭い眼光をスキンヘッドに向けながらギャルJK星が至近距離で囁く。
ゾクゾクゾクーーーー!!!
「は? ダイキ? こいつのことか?」
スキンヘッドがオレを左右にゆらゆらと揺らし始める。
あー、そうか。 スキンヘッドは知らないんだもんな、ギャルJK星のことを。
その油断……その無知こそがスキンヘッドの敗因。
次の瞬間にはギャルJK星の急所アタックならぬ膝蹴りがスキンヘッドの股間に炸裂。 スキンヘッドはリアクションをとる余裕もなく崩れ落ちた。
「大丈夫か、ダイキ」
目の前で無残な姿となったスキンヘッドのことには目もくれず、ギャルJK星がオレの頭をポンと撫でる。
「う、うん。 ありがとう星さん」
「ぶっちゃけダイキにはサプライズで登場したかったんだけどなー。 まぁそれは置いといて……」
ギャルJK星はオレに「とりあえずそこにいな」と伝えるとスキンヘッドの体を踏みつけながら他のヤンキーたちの方へ。
一人ずつ指差していき、委員長JK七瀬とインキャJK早乙女の方角でピタリと指を止めた。
「えーと、君らがサッちゃんとタマちんちゃん?」
「え」
「あ、はい」
突然の金髪ギャルの登場に理解できていないのか2人は小さく頷く。
「そっかー。 ゆーちゃんから聞いたぜー? 仲良くしてくれてありがとね」
「ゆ、ゆーちゃん?」
「それってユカち……」
ギャルJK星は複数いるヤンキーたちにも一切怯む様子もなく2人のもとへと歩み寄る。
その後震えるインキャJK早乙女の手を握りしめると、「アタシは美咲、よろしくねー」とニカッと明るく微笑んだ。
「美咲……さん?」
「おう! 見た所ちっちゃくて可愛い君がサッちゃんだね! んでそっちのお色気セクシー美人さんがタマちんちゃん」
「え、なんで……」
「だからゆーちゃんに聞いたっつってんしょー? とりあえず色々聞きたいこととか話したいことあるからさ、これ終わったらゆーちゃん家でガールズパーティーしようぜー!」
さ、さすがはギャルJK星……肝の据わりっぷりが他とは段違いだぜ。
ギャルJK星は自身を睨みつけているヤンキーたちのことなど完全に無視。 優香と仲良くしてくれていた委員長JK七瀬とインキャJK早乙女に楽しそうに話しかけている。
まぁしかしそんな楽しそうな話を待ってあげるようなヤンキーたちなわけもなく……
「お、おいちょっと待てよこら」
スキンヘッドの一部始終を見たからなのか、ワックス頭が若干怯えつつも声にドスを効かせながらギャルJK星の胸ぐらに手を伸ばす。
あー、終わったなあいつも。
オレの予想は大当たりでギャルJK星は「あ?」とワックス頭に視線を向けるなりほぼ同時に高速の裏拳を顔面にお見舞い。
ワックス頭はよろけながらもなんとか耐えきり、「っざけんなよコラアアアアアア!!!!!」とブチギレながら詰め寄ろうとしたのだが……
「はい、そこまでだ」
「!!!!」
気づけばワックス頭の背後には大勢の特殊装備を身にまとった大人たち。
その胸元には、かの有名な特殊警察部隊のロゴが刻まれている。
「は、はあああ!? なんだよお前ら、邪魔すんなって……!」
背後から首根っこを掴まれ身動きの取りづらくなったワックス頭は必死に腕を振り回しながら特殊部隊員から逃れようとする。 もちろんその行為が仇となることを知らずに。
「はい、公務執行妨害。 連行」
「え」
まさに圧倒的。
ワックス頭は1人の特殊部隊員により速やかに制圧され茂みの奥へと消えていく。
そしてリーダーらしき部隊員はワックス頭の姿が見えなくなるのを確認した後でようやく一歩前へ……優香へと視線を向けると軽く一礼をした。
「姫、遅くなりました。 衣服に乱れがあるようですが……やったのはこの少年たちで間違いないですね」
リーダーの問いかけに優香はコクリと頷く。
「ちなみにですけど……姫はこの少年たちに何をされたか教えていただいてもよろしいでしょうか」
「性的暴力」
え。
オレはノーモーションでのこのダーク優香の返答に驚愕。
それはリーダーも同じだったようで、全身を震わせながらヤンキーたちを睨みつけた。
「なっ……! で、では姫はこいつらの処分……何をお望みで!?」
「しょけー」
ですよねー。
この優香の一言でヤンキーたちは部隊員……いや、優香国の精鋭たちにより一瞬で確保。
全員何処かへと連行されていき、この地に再び平穏が訪れたのだった。
◆◇◆◇
「んじゃーこれでみんな無事だし、お祭り再開すんべ!?」
ギャルJK星がテンション高めに委員長JK七瀬・インキャJK早乙女に肩を回しながら優香に話しかける。
「そーだね。 このまま帰るのも後味悪いし」
「んならさ、どこ回る? ちなみサッちゃんたちはどこ行きたい? てかそーだった、アタシこのお祭り初めてだから何がどこにあるかとかさっぱりだわ。 どっちか案内してよー」
「わ、私らがですか?」
「ちょっと待って……ウチちょっとチビった」
おおおお、ギャルJKに委員長JK、インキャJK……優香の仲良いJKが夢の共演だああああ!!!!!
オレはこの奇跡の大集結に心から興奮。
オレもこのJKたちと一緒にお祭りを楽しみたい……そう思っていたのだが。
「ねぇダイきち」
背後から陽菜が心配そうな表情でオレの肩を叩いてくる。
「ん、どうした陽菜。 お前もまだ時間大丈夫だよな。 だったら一緒に遊ぼうぜ!!」
「いや……そんなことよりもそれ、大丈夫なん?」
「え、何が?」
「ダイきちの手首……めっちゃ腫れてるよ?」
ーー……エ。
言われてようやく気づく。
陽菜の視線を目で追ってみると、オレの右手首がかなり赤く……派手に腫れ上がってるではないか!!!!
「うわあああああ!!!! いってええええええ!!!!」
おそらくはパンツ・ロックが不発してヤンキーに突き飛ばされた時だ。
優香たちのことで頭いっぱいだったから全く気づかなかったぜ!!!
オレは委員長JK七瀬とインキャJK早乙女の案内によりすぐに祭り会場に併設されていた救急コーナーへ。
幸いなことに骨折とかではなかったらしく、手首をアイシングしてもらい、包帯でぐるぐる巻きに固定されしばらくの安静を言い渡されたのだった。
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