605 【優香編】修羅の予感の春祭り!!
六百五話 【優香編】修羅の予感の春祭り!!
春休みに入って祭り当日の夕方。 まだ肌寒いというのに浴衣を身に纏った優香は迎えにきた委員長JK七瀬とインキャJK早乙女とともにお祭り会場へと向かう。
オレはその場では一緒に行かず、どうしようかとギリギリまで考え込んでいたのだが……
「んあああああーーー!!! やっぱり心配だ!! 行くしかねぇ!!!」
優香たちが出発した約30分後、オレはようやく行くことを決意。
その際ちょうど届いていたメールに返信してから家を飛び出した。
「えーと、どこで春祭りやるって言ってたっけな」
スマートフォンで検索しながら向かっていると前方からオレの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
画面から顔を上げると、そこには浴衣姿の褐色少女・陽菜がいるではないか。
「お、なんだ陽菜。 ていうかその格好……お前もこれからお祭りか?」
「そーやよ!! ていうか今からダイきち誘いに行こうとしてた!!」
「えええ、そうなの!?」
「もしかしてダイきち……予定あったん?」
「いや、オレもちょうどお祭り行きたいって思って場所調べてたんだ。 陽菜、その場所分かるか?」
「当然やん! 陽菜、なんたって地元民なんやけん!! んじゃあ早速いこーー!!!」
うん、持つべきものは地元民の友達だな。
調べる必要のなくなったオレは陽菜の後ろを付いていくことに。 やっぱり陽菜はこういう元気な姿が似合うよなーなどと思いながら春祭り会場へと向かった。
「ねーダイきち、陽菜の浴衣どう?」
「いいな。 てか前にお姉ちゃんや結城たちと行った夏祭りの時と柄違うよな」
「えー! よく覚えてるねー!! そうやよ!! これ、お姉ちゃんが着るはずやった浴衣なん!! やっとサイズ合うようになったけんねー!!」
「おー、それはお姉さんも嬉しいだろうな」
「うん!! 陽菜が着てるとこ、お仏壇の前で見せてきたからきっと喜んでくれてると思う!!」
ーー……まぁ実際に真隣で喜んでるんだけどな。
◆◇◆◇
さて、優香たちはどこにいるのかなーっと。
会場でもある神社に着いたオレはとりあえず陽菜とともにお祭りを楽しむことに。
ていうか……やっぱり女子って美的センスに命かけてるよな。 優香や委員長JK七瀬、インキャJK早乙女、そして陽菜のようにほとんどの女性がこんな肌寒い中浴衣に着飾り祭りを楽しんでるんだから。
「なぁ陽菜、寒くないのか?」
「そりゃー寒いよ! でもこういう時じゃないと着れんけんね! それに今は寒くても帰るときには楽しくて熱くなってるはずやけん」
「なるほど」
確かにここからの陽菜は凄かった。
陽菜は寒さを吹き飛ばすように射的や水風船釣りに大盛り上がり。 「ほらダイきち、次行くよー!!」とオレの腕を引っ張りながらかなり早足でいろんな屋台を回っていく。
「あー!!! ダイきち、焼きそばあるよ!! 今から食べよーー!!!」
「オメーついさっきワタアメ食ったじゃねーか!!」
「あんなの口の中入れたら溶けるからノーカンやんー」
「その前はフランクフルト食ってたじゃん!!」
「たった1本やんー」
あああ、なんか前に陽菜と行ったスイーツ巡りのトラウマが蘇ってくるぜ。
オレはそれからも陽菜の化け物級の行動力と胃袋に付き合わされる羽目になり、最初こそ周囲を見渡しながら優香たちを探す余裕もあったのだが次第にそんな余裕もなくなくなっていく。
そして一番最初に限界を迎えたのは体力でも胃袋でもなく……お腹の方だった。
「ひ、陽菜すまん……ちょっとオレ、トイレ行ってくるわ」
「どーしたんお腹抱えて。 お腹痛いん?」
「そりゃああんな暴食したらこうなるわ」
「そっかー、長くなりそう?」
「多分」
「やったら陽菜、そこらへんの屋台で楽しんでるからゆっくりしてきていいよー」
「おけ、すまんが行ってくる」
オレは早足で近くにあった男子用トイレへ。
ちょうど一つ個室が空いていたのでそこに座り安堵しながらスマートフォンをいじっていると、外から数人の男が入ってくる足音と……なんとも品のない声が聞こえてきた。
「くっそー、さっきナンパした女、彼氏持ちだったの惜しいわー」
「あーあいつな。 でもお前めっちゃキレてたやん」
「そりゃあ彼氏面されたら腹たつやろ」
「よかったなー、手ェ出したときに見回りのポリスメンいなくて」
おいおいおいなんて場面に出くわしちまったんだ。
どうやら奴らはトイレ目的ではなくタバコ目的で入ってきたようで、狭い室内にオレの嫌いなタバコの臭いが少しずつ充満していく。
「ーー……最悪だ」
オレはすぐに腕を鼻に当て、少しでもタバコの臭いを嗅がないよう対策をとる。
それからだいたい10分くらいだろうか。 臭いに耐えながら静かにしていると一服し終えたのか奴らがぞろぞろとトイレから出ていく音を察知。
やっと解放される……そう思いすぐにでも扉を開けて綺麗な空気を吸いに行こうとしていたオレだったのだが、そこで先ほどの男たちの発言が再びと耳に入ってきた。
「てかお前の言ってた可愛い転校生ってどこよ。 あと……真面目っぽい奴とインキャだっけ? 全然見当たんねーぞ?」
「あ、それだけど、今他のところでナンパしてたダチが見つけたってよ!! ちょうど今話しかけてるって!!」
「マヂィ!? どこだ、すぐ行こうぜ!!!」
「神社の建物の近く!!」
「ひゃっほおおおい!!!」
まさかのあいつら……あの時のヤンキーどもだったのか!!!
こうしてはいられん!!!
オレはトイレを飛び出すと近くで再び水風船をしていた陽菜のもとへ。
「すまん、ちょっと急用できたから先に帰っててくれ!!」と声をかけ、神社の建物……おそらくは本殿のことだろう。 階段を上った先にある本殿へと駆け出した。
「ええええ!?!? ダイきちどうしたん!? 出口反対やよーー!?」
焦った陽菜が後ろからオレを追いかけてくる。
「ちょ、ついてくんな!! 陽菜を危険な目には合わせられん!!」
「どういうことなんー!? ていうかこの草履やと上手く走りづらい……あ、ちょっと待ってダイきちーーー!!!!」
今助けに行くぜ優香あああああああああああああ!!!!!!!!
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