591 【夏までNOルート限定】特別編・希の夏休み⑤・最高の思い出【挿絵有】
五百九十一話 【夏までNOルート限定】特別編・希の夏休み⑤・最高の思い出
ダイキの恥ずかしい失態により罰ゲーム勝負はお開きに。
結構な時間が経ってダイキがトイレから戻ってくるも、事情を知ってしまった希と佳奈はあまり詳細を尋ねることが出来ず。 「じゃあ……眠いしもう寝よっか」などと無理やり就寝の方向へと持っていった。
◆◇◆◇
あれからダイキは最初こそ『お前らが眠ったらセクハラしまくってやるからな覚悟しとけよ』と意気込んでいたものの、何か疲れるようなことでもあったのだろうか。 3人の中で1番早くダイキが寝息をたて始める。
「ーー……いや福田、早すぎっしょ」
「トランプ一番盛り上がってたもんね」
本音を言うとダイキにセクハラをされることをかなり楽しみにしていた希は「はぁ……」と小さくため息。
この快感を思い出してしまった身体をどう処理すればいいのだろうと頭を悩ませた。
「ていうか希、さっきからモゾモゾしてるけど大丈夫? トイレ行くの怖いんだったら一緒に行ってあげよっか?」
「えっ……あ、うん。 だ、大丈夫だよ。 あははは」
「でもお股のあたり押さえてなかった?」
「う、うん。 多分ダニなのかな……ちょっと痒いなーって思ってただけだから。 ありがと」
◆◇◆◇
朝。 まだ9時だというのに既に照りつけるような真夏の日差し。
朝食を終えた3人は近くを流れる緩やかな川で遊ぶことに。 早速持参してきた水着に着替えに部屋へと戻った。
「うわ! 希の水着、白のビキニなんだ。 シンプルだけどセクシーだね……私じゃ着こなせないわ。 ちなみにそれってあれ? 夏休み前に行った懇親イベントで着てたやつ?」
佳奈が希の水着をマジマジと観察しながら尋ねてくる。
「ううん、あの時は黒色だったんだ」
2人の話している懇親イベントとは、夏休み前に急遽校長が隣町出身校の子たちとの親睦を深めるために企画した突発イベントのこと。 そしてそれは『海・デスティニーランド・山』の3つの中から行きたいところを選択し、そこで同じ選択をした隣町出身の子たちと仲良くなるという内容だったのだ。
「へー、いいなー。 私も希や一緒に参加してた美波や麻由香たちの水着じっくり見たかったよー」
佳奈が唇を尖らせながら「くそー」と呟く。
「あれ、でも佳奈も海メンバーだったんじゃ……あ、そっか。 佳奈あの時大変だったんだよね?」
「そうそう。 やっぱ海に来たからには泳ぎたいじゃん? だから無理して遊んでたんだけど途中で海の中で力抜けて……『あ、これ私死ぬわ』って思いながら意識失ったんだよね」
「あー、そうだったそうだった! よく無事だったよね」
「うん。 目が覚めてから美波に聞いたんだけど、ちょうど私の近くを泳いでた桜子が足をつって……もがいてたところを助けようとしてたら沈みかけてた私を見つけたんだって」
その後のことも簡単に佳奈から聞いたのだがそれは少しホラーめいた内容。
希が「でも逆に小畑さんもあんなたくさん生徒もいる騒がしい中でよく桜子に気づいたね」と感想を口にすると、佳奈が「実はね……」と顔を近づけてくる。
そこでどうして美波が桜子の異常事態に気付いたかについて教えてくれたのだった。
「なんかあれらしいよ。 ちょうど桜子の近くを泳いでたらどこからともなく女の人の声で『クヒヒ』って声が聞こえたんだって。 それで何事かって思って周囲見渡したらもがいてる桜子を見つけたらしいよ」
「ーー……え、それって幽霊?」
「分かんない。 でも別に恐怖は感じなかったらしいし、それっきり聞こえなかったらしいよ」
「そ、そうなんだ。 じゃあなんだろ……その声の主ってもしかして桜子の守護霊さんだったのかな」
「どーなんだろうね」
そんなことを話しながらも「そろそろ行こっか」と水着に着替えた2人は部屋を出る。
扉を開けるとそこには既に準備を終えたダイキの姿。 2人の水着姿を見るなり「っしゃあああああ!!! オレ、この世界での勝ち組じゃあああああ!!!!」と雄たけびをあげた。
「ちょ、ちょっと福田なにさ! いきなりうるさいなー」
「おいおい三好!! お前思ってたよりかなり水着似合ってるじゃねーか!! ピンクっぽい黒チェックのビキニ……攻めたな!! いいぞ!!」
「そ、そう?」
「おう!! オレは綺麗・可愛い・似合ってるに関してはお世辞は言わないからな!! だから西園寺もその白ビキニ超似合ってんぞ!! 早くその姿ではしゃいでる姿をカメラに収めたい……ああああ!! 時間がもったいないぜ!! ダッシュで行くぞ!!」
◆◇◆◇
外に出ると雲1つない快晴で川の流れの速さも問題なし。
帰る時間まではあと2・3時間だけど目一杯遊ぼう……3人は小学生最後の夏休みをこれでもかというほどに堪能。 残りの体力のことなど考えもせず、全力で川ではしゃいだのだった。
「ほーら、福田も早くこっち来なよ!!」
「む、無理……。 もう体力が限界じゃ。 お前ら体力オバケかよ」
川辺でへばったダイキが力なく希と佳奈を指差してくる。
「いや……私は柔道とか通ってるからこのくらいは」
「私も前に美波のアイドルオーディションを手伝ったとき、エマにめっちゃ走らされたから体力かなりついたかも」
「じゃあ2人でまだ遊んどけ。 オレはお前らの水着姿を見て癒されとく」
「なーに言ってんのさ。 どうせ立ち上がったら興奮してんのはバレちゃうからそうやって座ってんじゃないのー?」
「ちょっと佳奈、それ禁句……」
「あっ……!」
2人は昨夜のことを思い出しながらダイキの方を見てみるも、ダイキはまったく気付いてない様子。 「んー? なんて?」と言っていたので仕方なく2人で再び遊ぶことにしたのだが……
「あ、見て希。 福田勝手に私らにスマホ向けてるよ。 写真撮ってんじゃない?」
「えっ?」
佳奈に言われダイキの方を振り返ったと同時。 ちょうどダイキのスマートフォンからシャッター音が聞こえてくる。
「こらー福田ー。 私の水着姿興味ないって言ってなかったー?」
佳奈が「ったくこの変態はー」と愚痴りながらダイキの方へ詰め寄っていく。
「え、オレそんなこと言ったか?」
「言ったじゃん行きの車で」
「記憶にないな」
「なにそれー」
「まぁいいじゃねーか減るもんでもねーし。 てか今のめっちゃ良く撮れたから後で2人にも送っといてやるよ」
そうして帰りの車内でダイキから送ってもらった1枚の写真。
「うん、福田にしては良く撮れてんじゃない?」
「確かに」
佳奈も自分の映りに満足しているのか自身のスマートフォンの画面を見ながらご満悦。
そしてそれは希も同じ。
そこに写っている希は水着のように真っ白な自分。 以前女子グループのリーダーをしていた頃のギラギラ感が完全に消え去っているのが自分でも分かる。
「私って今こんな感じだったんだ」
思わず心の声が溢れる。
「はぁー? なに言ってんの希。 希はこんな感じじゃん」
「そ、そう?」
「うん」
「そっか……私、もっと近寄りがたいオーラ出してるのかと思ってた」
この希の言葉に佳奈は「んー、まぁ確かに本音言うと5年の最初の頃の希はちょっと怖かったけど、最近は全然そんなことないよ」とフォロー。
「ほんと?」
「ほんとだって。 じゃないとこうして私らが仲良くしてること自体がおかしな話じゃん」
「そ、そうだね。 確かに」
希はこの佳奈の発言にかなり勇気と自信をもらうことに。
そして先ほどの佳奈の言葉に同調するかのようにダイキも「その通りだぞ西園寺。 お前はいい意味で変わった! オレは今のお前の方が断然好きだぞ!」と声をかけてくる。
「え、えええ!? 福田くん……そうなの!?」
「おう! 西園寺もそうだけど三好もいい感じに打ち解けて丸くなったからな! おかげでオレは学校が楽しくて仕方ないぜ!!」
なんて心に響く嬉しい言葉。
それは希だけではなく佳奈も嬉しかったようでお互いに顔を合わせると柔らかく微笑み合う。 その後2人は家に帰ってからもダイキから送られてきた写真を時間を見つけては眺めていたのだった。
【受信・佳奈】今回誘ってくれてありがとね! 小学校最後のいい夏休みになったよ。
【送信・佳奈】私も。 ずっと福田くんが送ってくれた写真見てる。
【受信・佳奈】あはは! 一緒だー!笑 また3人で……無理でも2人でどこか遊びとか行こーね!!
【送信・佳奈】うん!
お読みいただきましてありがとうございます!!
さて、次は【優香編】と【ギャルJK星編】どちらにしましょうかね!!




