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493 【陽奈編】特別編・気になる人たち


 四百九十三話  【陽奈編】特別編・気になる人たち



 ここは福田優香・ダイキの実家……福田祖父母の住む田舎。 



「陽奈ちゃん、お誕生日おめでとーー!!!」



 昼。 この日は褐色肌の元気少女・薮内陽奈のお誕生日ということで、母がお手製のケーキを陽奈の目の前に置く。



「やったあーー!! ありがとー!!」


「はい陽奈ちゃん、これママからのお誕生日プレゼント」



 陽奈母から、手の平よりも少し大きめのサイズの箱が陽奈へと手渡される。



「えー! なにこれ! ゲーム!?」


「開けてごらん」


「うん!」



 プレゼントをもらって嬉しくない小学生などいない。


 陽奈は目をキラキラと輝かせながら包装されていた用紙を開封。 するとどうだろう、包装用紙をめくった陽奈の瞳に映ったものはいくら欲しても自分の財力では決して手に入れることのない品物……スマートフォンではないか。



「えええええ!!! ママ、これスマホだー!!!」


「うん。 陽奈ちゃんずっと欲しいって言ってたからね。 もう小学6年生だし持たせてもいいかなって」


「うわあああああ!!! やったあああスマホだああああ!!! ママ大好きーーー!!!!」



 陽奈は細かく震える手で外箱を開けると、中に入っていたひんやり冷たいスマートフォンを手に取る。



「ママ……これ、どうやって設定するん!?」


「設定はお店の人にやってもらってるから、もう使えるよ」


「うわああああああい!!!」



 設定はやってもらっている……ならばもう何も心配することはなにもない。

 陽奈は早速はやる気持ちを抑えながらもスマートフォンの電源をオン……したのだが。



「ーー……ママ」



 先ほどの笑みはどこへやら。

 陽奈は無言で視線を目の前に座る母親へと移す。



「なに? 使い方ならその箱に入ってる説明書に……」


「陽奈、誰も連絡先わかんないや」


「え」



 スマートフォンを持っている友達に聞きたくても今は夏休み……学校に行く予定がないので聞く術もない。

 母親には今すぐ聞くことも出来るが目の前にいるのにメールするというのも少し違う。



「あああ……せっかくスマホ貰えたのにいいい……」



 陽奈が深く絶望していると、突然何かを思い出したのか母親が「そうだ」と両手をパンと鳴らした。

 


「どうしたんママ」


「そういえばママ、前にダイキくんに連絡先預かったわよ」


「ええええ!?!? ほんと!?」


「でもどこ置いたかな……」


「ママぁーーーー!!!!」



 ◆◇◆◇



「どうママー、見つかったー?」



 あっという間に数時間が経ちもう夕方。 食器棚の中やら電話帳に挟んでいる用紙を全て取り出し首を傾げている母に陽奈が声をかける。



「んー……どこ置いたんだろ」


「陽奈、早くダイきちとメールしたいなぁ」


「ちょ、ちょっと待てってね。 次はママの部屋の引き出し探してくるから」



 あれからというもの、母は陽奈の望んでいる福田ダイキの連絡先が記された紙は見つけられておらず。

 母曰く『大事なものだからここに置いておこう……って思ったのは覚えてるんだけど、それがどこなのか忘れたのよね』とのこと。 大事なものということでこうして印鑑やその他書類の入った棚等も捜索していたのだ。



「陽奈も探そっかー?」


「ううん、陽奈ちゃんが探したらもっと見つかりにくくなるから大丈夫。 夏休みの宿題でもしてなさい」


「えー。 誕生日なのにー?」



 陽奈はプクーと頬を膨らませながら仏間……今は亡き姉・愛莉の仏壇の前へ。

 ポケットからプレゼントされたスマートフォンを取り出すと、まるで愛莉が目の前にいるかのように話しだした。



「見てお姉ちゃん! 陽奈、とうとうスマホ手に入れたけん、お姉ちゃんに見せに来た!」



 静かな空間。 畳特有の匂いに包まれながら陽奈は「ほら、こんな感じだよー」とスマートフォンの表裏を交互に見せる。



「でもね、ママがダイきちの電話番号とかアドレス書いた紙無くしちゃったけん、今探してもらってるんよ。 お姉ちゃん、どこあるか分からんー?」



 もちろん陽奈の問いかけに答える者はどこにもおらず。

 陽奈はひとしきり話したいことを口にすると、「さてと……んじゃ陽奈、ママに怒られるけん宿題してくるね」とゆっくり席をたつ。

 ーー……その時だった。



「あっ」



 突然陽奈が何かを思い出したかのように小さく口を漏らす。



「そういやさっき言った『紙』で思い出したけど……終業式の日に陽奈、知らない男の子に手紙貰ってたの忘れてた」



 それから陽奈は「確かランドセルに入れてたかなー」とパタパタと足音を立てながら自身の部屋へ。

 そしてこの時陽奈は気づいてはいなかったのだが、陽奈がこの仏間を離れた直後……まるで先ほどの陽奈の発言に動揺したかのようにお供え物と一緒に飾られていたサメのぬいぐるみが横に倒れたのだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかの陽菜ちゃんルートとは……! ついにスマホが手に入ったか! サメちゃんに頼めば見つけてくれるはずw
[一言] 姉、落ち着け。動揺してポルターガイスト起こさないで。 陽菜とお母さんがビックリするから。 普通ちびるから。
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