487 【小畑編】それが正義
四百八十七話 【小畑編】それが正義
休み時間。
小畑に言われた通り休み時間に女子トイレへと向かうと、小畑が未だに大きなあくびをしながら「おー、ちゃんと私より早く来て偉いねー」と小さく手を振りながら歩み寄ってくる。
「そりゃあ今朝言われたからね」
「よしよし。 これで昨日みたいに『そんなの知るかー』とか言われたら蹴り飛ばす予定だったけど、よく分かってるじゃん」
オレたちは周囲を見渡し誰もいないことを確認してからいつもの女子トイレ奥の個室へ。
中に入ると小畑が「よいせっと……」とフタの閉められた様式便器に腰掛けた。
「えーと、なんかまだ眠そうだけど……小畑さん大丈夫?」
「んー。 まぁ朝も言ったけど昨日結構遅くまで起きてたからね。 それでもよく眠れたんだけど、やっぱ昨日の夜はあの電話の件もあったからなのかな……無理に忘れようとちょっと激しくやりすぎちゃった節はある」
は、激しくですか。
「な……何を?」
そう尋ねると小畑は一瞬ハッとしながらも「ガ、ガールズトークだよガールズトーク」と咄嗟に言い訳。
「そんなことよりも」と話を無理やり終わらせ、早速本題に入ったのだった。
「じゃあ昨日の福田のエロいイタズラの責任だけど……」
小畑が便器に腰掛けたままオレをまっすぐ見上げる。
一体どんな無茶を言ってくるのだろうか……ドSの女王・小畑が言うことだ、絶対にイージーなミッションではない。 オレはゴクリと生唾を飲み込むと、ゆっくりと開く小畑の口に視線を向けた。
「福田、私の彼氏になってよ」
ーー……。
「え」
あまりにも突拍子もない内容にオレは大きく瞬き。 先ほどのはオレの聞き間違いかなと考え改めて聞き返すことにする。
「えっと……小畑さん、ごめんもう1回いいかな。 なんて?」
「だから、私の彼氏になって」
「エエエエエエエエエエエエ!?!?!?!?!?」
あまりにも唐突。 あまりにも大胆。
オレは初めての告白をされたということもあり胸の鼓動を爆速ビートで刻みながら小畑に詰め寄る。
「な、なななななんで!?」
「いーじゃん別に」
「べ、別にって……! 今の、こ……告白だよね!?」
「んー、そう捉えられても仕方ないかな」
小畑が少し頬を赤らめながらニコッと微笑む。
「そう捉えられても仕方ないって……えええ告白じゃないの!?」
「もういいじゃん福田。 私のこと好きなんでしょ? いいから私と付き合え。 そうしたら昨日の公園での件も恋人同士のいちゃ付き合いってことで許してあげる」
付き合ったら許してあげるって……。
これはオレをイジっているのだろうか。
「小畑さんはオレのこと……好きなの?」
「好きだよ」
「!!!!!!!!!」
カ……カカカカカ可愛EEEEEEEEEEEEE!!!!!
オレは半ば強制的に腕を引っ張られ「いいでしょ」と尋ねてくる小畑に一瞬でノックダウン。
顔面をかなり赤らめながらもまだ少し引っかかることがあったので聞いてみることにした。
「小畑さん、今朝は休み時間……全部来いって言ってたけど、それは今のを言うためだったの?」
「んー。 まぁそうかな」
「じゃ、じゃあ次の休み時間とかはもう来なくていいってこと?」
「え、なんで?」
小畑がキョトンと首を傾げながら余計に可愛く見える上目遣いでオレを見てくる。
「だってもう小畑さんの目的というかその……オレと付き合うってことは完遂したんだよね?」
「いやまだ福田のOKもらってないけど」
あ。
あまりの衝撃や可愛さ、嬉しさ……色んなものがぐちゃぐちゃになりすぎて返事をするのを忘れていたぜ。
オレはすぐに「オレでよろしければお願いします」と深く頭を下げ、その後に改めて先ほどの質問の続きをすることにした。
「それでさっきの続きだけど……これで小畑さんはオレと付き合うことを達成したわけだし、もうここに呼び出す用はないよね?」
最初はグチグチ嫌味を言われたりとか想像もしない無理難題を押し付けられるものかと思っていたのだが。
そんなことを考えていると、小畑が「いや、次の休み時間もここ集合だよ」とオレの手を優しく包み込むように握ってくる。
「え、でももうさっきも言ったけど目的は……」
「何言ってんの。 次の休み時間からが本番じゃん」
「ほ、本番? というと……」
「んーなんだろ。 恋人同士のラブラブタイム?」
「!!!!!!!!」
ラ……ラブラブタイム……だとおおおおおおお!?!?!?!?
それってもしかして……
オレの脳内ではもう文字にするのも危険なほどに、お互いに体力を消費したりする激しい運動のような行為が浮かび上がってくる。
まさか、まさか付き合ってその日に……しかもJSと夢の学園性……ゲフンゲフン、夢の学園生活を楽しめることが出来ちゃうなんて!!!
や、やべえ……本来ハッスルするはずのものが緊張しすぎているのか縮こまって震えてやがるぜ。
これが本当の……武者震い。
オレが次の休み時間に夢や未知の恐怖・希望を抱いていると、小畑がオレの腕を「ねーえ」と引っ張ってきていることに気づく。
「え、あ、ごめん」
「無視すんなー。 なに考えてたー?」
「いや特に何も……」
「せっかくこんなに可愛い彼女が目の前にいるんだぞー? 構えー?」
ズッキューーーーーーン!!!!!
美少女・可愛いJSのあざとさisジャスティス!!!
免疫耐性皆無のオレは今の小畑の一言で完全に虜に。
その結果あまりにも次の休み時間が待ち遠しすぎたせいか、2時間目の授業があまりにも長く感じられオレは早く終われと永遠と時計とにらめっこしていたのであった。
お読みいただきましてありがとうございます!!
下の方に星マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!
感想やブクマ・レビュー等、お待ちしております!!!




