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464 【三好編】突然のイベント


 四百六十四話  【三好編】突然のイベント



 あと1ヶ月で夏休みに入るという時期。

 そんなワクワクが近づいている中、朝の全校集会で校長がとんでもないことを発言したのだった。



「じゃあそろそろ皆も出身校関係なく仲良くなってきた頃だと思うので、学年別ではありますが懇親イベントが決まりました。 詳細はこの後各教室で担任から配られますので目を通しておいてくださーい」



 その後配られたプリントに目を通したオレ。

 どうやら懇親イベントといっても選択式のようで、そこにはこう書かれていた。



(A)一泊二日。 海

(B)一日デスティニーランド。 翌日休み

(C)一泊二日。 山



「なぁエマ、お前どこにするんだ?」



 オレは隣の席で同様にプリントに目を通していたエマに声をかける。



「え、エマ? そうねぇ、一旦家に持ち帰ってエルシィの予定に合わせて決めようかなって思うわ」


「そうなのか?」


「うん。 だってもしエルシィがこの(B)みたいな翌日休みを選んだ場合、エルシィを1人にしておけないもの」


「なるほどな」



 ちなみに前の席の結城にも尋ねてみたところ、「私は(B)にするつもり」とのこと。

 なんでも写真沢山撮れそうだし、翌日が休みということで楽しい思い出をすぐに入院している母親に見せたりすることができるかららしい。



「なるほどねぇ」


「福田……くんは、どうするの?」


「んー、そうだなぁー」



 まずインキャのオレ的に暑いし日焼けする(A)の海はないとして、残る選択肢は翌日休みのあるデスティニーランドか涼しそうな山。

 結城と一緒でデスティニーランドにしようかなーと1人考えていると、エマと結城の会話が聞こえてきた。



「へぇー、桜子はデスティニーランドなのね」


「うん」


「だったらエマもそこにしようかしら。 あれよね、今あのイベントしてるのよね」



 ーー……あのイベント?

 


 一体なんだろう。 気になったオレは引き続き聞き耳を立ててみることに。

 するとオレのトラウマを蘇らせるような……おぞましい会話が聞こえてきたのだった。



「そうそう。 おっきな廃病院でお化け屋敷してるよ」



 !!!!!!!



 お化け屋敷……だと?

 オレの脳内に浮かんできたのはクヒヒ野郎。 ちくしょう……思い出すだけで全身の鳥肌がビンビンだぜ。



「いいわねー。 え、桜子そこ行くの?」


「うん、CM見てて楽しそうだなって思ってたし」


「なるほどねー。 じゃあエマももしそこ……(B)にしたら一緒に回る?」


「うん!」



 はい、(B)のデスティニーランド却下ー!!! 山にしまぁす!!!!



 オレはすぐに山の(C)にチェック。

 その日の昼休み、偶然トイレから出てきたところで三好と遭遇した。



「あ、福田」


「おー三好。 奇遇だな」


「ね。 あ、そうだ、福田は懇親イベント何にしたの?」


「オレか? オレは山にしたわ」



 そう答えるとなんだろう……三好が「え」と小さく声を漏らす。



「ん、なんだ? 三好はどこにしたんだ?」


「え、あ、あー、私は海だよ。 麻由香と美波と話して決めたんだー」



 三好が少しハイテンション気味にアハハと笑う。



「なんだ? 暑さで壊れたのか?」


「ち、違うし! ただ変態な福田と被らなくてよかったーって思ってただけだもん!」


「あぁん?」



 それから三好はオレに聞こえるようワザとらしく「あーあ、水着見られなくてよかったー」と声を出しながらトイレの中へ。

 オレは「そうか……水着を拝めるという選択もあったのか……」と呟きながらギリギリまで(A)に変えようか迷っていたのであった。



 ◆◇◆◇



 懇親イベントが発表された翌日。

 チェックしたプリントを提出したオレにエマが「ねね、ダイキ」と肩を叩いてくる。



「なんだ?」


「ダイキは結局どこにしたの?」


「オレはまぁギリギリまで悩んだけど山にしたわ」



 そう答えるとエマが「えええ?」と驚いた顔でオレを見てくる。



「なんだ意外か?」


「そりゃそうでしょ。 ダイキのことだから水着見たさに海にするって思ってたのに」


「まぁそれも考えたんだけどなぁ。 やっぱりオレは暑い日差しと日焼けが敵わん」


「そうなんだ、残念ねー」


「なんで?」


「実はね、低学年は日帰りの選択しかなくて、高槻先生がエルシィ預かってくれるから好きなの選んでいいよって言ってくれたのよ。 だからエマも海にしたの」


「そうなのか!?」


「えぇ。 ちなみに桜子も楽しそうだからって海に変えたのよ」



 な……ななな、なんだってぇーーーー!?!?!?!?



 どうやらエマの話では西園寺やマドンナ水島も海を選択したとのこと。

 


「お、おい。 マドンナ全員海かよ」


「そうね。 でもちょっと緊張するわよね」


「何が?」


「だって一応エマも不本意ながらもマドンナ四天王の1人じゃない? それにモデルとして雑誌に載るのも時間の問題だと考えたら……それっぽい水着選ばないと」



 それっぽい……水着!?!?



 可愛い系ですかアアアアア!?!?!? セクシー系ですかアアアアア!?!?

 どっちですかアアアアア!?!?!?



「ぐああああああああああああ!!!!! やっぱオレも海にするーーーーー!!!!!!」



 その後オレはすぐに担任に直談判しに行ったのだが、あまりの海人気に追加は許されず。

 どうやらあのマドンナ四天王のファンたちも一斉に海に応募していたとのことで抽選が行われるほどとのことだった。



「じゃ、じゃあオ……僕はもう山ですか」


「そうなるな」



 ああああぁあああ……。



 こうしてオレは正式に山に決定。

 イベント当日の朝、オレは荷物の入ったリュックを背負い、山グループの集合場所である小学校運動場に向かったのだった。

 

 

お読みいただきましてありがとうございます!!

さぁ、結城ルート・西園寺ルートに行かなかった場合の三好ルートスタートです☆


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― 新着の感想 ―
[良い点] 山、海、ランド! そしてクヒヒ!! オンパレードだ! そして、ここは三好ちゃんのターンか……。 どうせ山になる! がんばれ!!
[一言] ふひひ・・・三好ちゃんのカワイイつんでれが拝めそうじゃのう
[一言] なるほどなぁ。 三好は山に変更したわけだ(笑)
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