418 天使からの女王!?
四百十八話 天使からの女王!?
念願の結城とのデート(オレだけがそう思っている)も何も問題なくことが進んで無事に終了。
最寄り駅に着いたオレが「じゃあ帰ろうか」と勇気を出して手を差し伸べたところ、結城はニコリと微笑んで首を左右に振った。
「ううん、ごめんね福田……くん」
ガーーーーーーン!!!!!
今日1日の結城との楽しかった思い出が巨大なハンマーにより一気に叩き割られていく。
「ゆ、結城さ……、こ、こっちこそごめん! 急にこんな距離を縮めちゃって……!」
「ううん、そうじゃないの。 私、今日あったことをすぐにでもママに話したくて。 だからこのままママのいる病院に行こうって思うんだ」
「え、あ……そういうこと?」
「うん。 だからここでバイバイ。 今日はほんっとうに楽しかった。 ありがと、福田……くん」
そう言って再び優しく微笑んだ結城はクルリと体の向きを変えて病院のある方角へ。
「じゃあまた……月曜日にね」と小さく手を振って駆けて行ったのだった。
結局これは……もし結城が病院へと行く選択をしなかった場合、承諾してくれていたのだろうか。
しかしあれだな、1度こうやって断られてしまっては……次提案しにくいじゃないかああああああああああ!!!!!
オレは結城の後ろ姿が見えなくなるまでその場で立ち尽くす。
その後この気持ちを収めるために冷たい炭酸ジュースを一気飲みし、「ふぅ」と息をついて家へと歩き出したのだった。
ーー……のだが。
それは駅から歩き出してすぐのこと。
突然後ろから物凄い駆け足の音が聞こえてきたかと思うと、「福田ああああああああ!!!!!」という超迫力のある声とともに誰かがオレの背中めがけて飛び蹴りを食らわせてくる。
「ぐおあっ!!!」
振り返ってみるとそこに立っていたのはドSの女王・小畑。
一体どうしたのだろう……充血しているのか目が若干赤みがかっており、疲労感漂う小畑がオレをジッと睨みつけているではないか。
ていうか今日って朝にメールは送っておいたんだけど……小畑はメイプルドリーマー妹グループオーディションの第3次審査の日じゃなかったか?
「え、えっと小畑さん? どうしたの……」
「福田!! メール無視んないでよ!!」
「え?」
小畑がオレの言葉を遮り、自身のスマートフォンをオレに向けながら「送ったのになんで見もしないし返信もしないの!?」とブチギレてくる。
「え? あー、そういえばスマホ見てなかったかも」
「じゃあ今見てよ!! 早く!!!」
「え、あ、はい」
オレは首を傾げながらポケットに入れていたスマートフォンを取り出し電源ボタンを押す。
すると確かに数時間前に小畑からのメールの受信通知。 オレはそこをタップし、その内容に目を通すことにした。
【受信・小畑】今話したいんだけど、電話していい?
「ーー……話したいこと?」
オレは頭上にはてなマークを浮かばせながら視線を画面からその先に立っている小畑へ。
すると小畑は「ずっと待ってたのに!!」と小さく跳ねながら唇を噛み締めていた。
「えっと……ごめんね、まったくスマホ見れるような感じじゃなかったから」
「何してたの?」
「んー、それは……色々」
「映画とか?」
「まぁ……そんなところかな」
「ふーん」
オレのミニ事情聴取を終えた小畑は「私のオーディションの出来も気にしろって」と小さく呟く。
「え、なんか言った?」
「ううん何も!!」
「それで話って?」
「もういい!!」
小畑は「ベーっ!!!」とオレに舌を出すと体の向きを結城が駆けて行った病院の方角へ。
小畑も家に帰ろうとしたのだろう、「福田のバーーカ!!!」と捨て台詞を吐いて走り去ろうとしていたのだが……
「ーー……っ!!!!」
突然小畑がその場でしゃがみ込み、お腹を押さえながら小さく唸り出したではないか。
「お、小畑さん!?」
「くっ……いたたたた……」
なんかこれ……デジャブじゃね!?!?
オレは恐る恐る小畑の前へ。
小畑の背中をさすりながらゆっくりと顔を近づけた。
「あ、あのー、小畑さん? もしかしてそれって……」
「くっそ……、すっかり忘れてた……!!」
小畑は額から汗を滲ませながら苦痛の表情を浮かべる。
や、やっぱりそうだ、今の小畑はアレ……女の子の日なんじゃないかあああああああああああああ!!!!!!
オレの脳内に初めて小畑が女の子の日になって苦しんでいた時の姿が浮かび上がる。
確かネットでも……それに前にファミレスで三好たちの話を盗み聞きしていたのだが、女の子の日の痛みは個人差があるとのこと……そして小畑はそれが結構痛いタイプらしい。
ここは外……保健室はないし病院なんてかなり遠い。
こうしちゃあいられないぜ!!!!!
オレはすかさず片腕を小畑の膝裏に手を入れ込み、もう片方の腕を背中にセット。
お姫様抱っこの姿勢を取りながら小畑を気合いで持ち上げる。
「え……ええええ!? 福田!?」
小畑は驚きの声を上げながらオレを見上げているが、安心しろ小畑!!
オレはそこらへんにはかなり詳しくなってきている紳士!! ダンディダイキなのだから!!!
「ふ、福田……なにこの格好!!」
「小畑さん、オレの家走ったらまぁまぁすぐだから、そこで休んだ方がいいよ!」
「福田の家……休む!? なんで!?!?」
「女の子の日なんでしょ!?」
「は……はあああ!?!? ちょ、ちょっと待って福……」
「行キマァアアアアス!!!!!」
「ふ、福田ああああああああ!!!!!」
こうしてオレは小畑をお姫様抱っこしたまま家へと全力ダッシュ。
小畑も最初こそ「いや、大丈夫だから!」と抵抗していたものの、最後には諦めて大人しくしていたのだった。
◆◇◆◇
もうすぐ家の近くという地点。
オレは流石に静かになりすぎた小畑が心配になり体調を聞いてみることにする。
「あのー、小畑さん」
「なに?」
「さっきから急に静かになったから心配になって。 お腹以外に具合とか悪いの?」
オレがそう尋ねると小畑は一瞬沈黙。
その後「いや、ていうか……」とゆっくりと口を開いた。
「ん?」
「こんな公の場所でお姫様抱っこなんかされて走られたら……誰でも恥ずかしくて静かになるでしょおおおおお!!!!」
「うわあああああああああああああ確かにいいいいいいい!!!! ごめんなさいいいいいいいいいいい!!!!!」
小畑に言われてようやく気づく。
この周囲から送られていた好奇の視線を。
しかし今更そんなことに気づいてももう遅い。
小畑も「降ろして」と言わなかったため、オレと小畑は互いに顔を真っ赤に染め上げながらオレの家へと向かったのだった。
お読みいただきましてありがとうございます!!
下の方に星マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!!
感想やブクマ・レビュー等、お待ちしております!!!




