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407 天使、剣を持つ【挿絵有】


 四百七話  天使、剣を持つ



「ええーー!? 桜子、隣町出身の子に意地悪されたのー!?」



 晩御飯中。

 優香が体を前に乗り出し、向かいに座っていた結城に顔を近づけながら尋ねる。



「うん」


「えっと……それで大丈夫だったの!?」


「うん、大丈夫だよ。 前までの私だったら怖くて泣いちゃってたかもしれないけど……後ろの席にはエマや福田……くんだっていたし。 何かあっても1人じゃないって思ったら全然平気だった」



 結城はあまり気にしていないのかニコッと優香に微笑みながら返す。



「ほんと?」


「うん。 ちょっとはイヤだなーって思ったけど、ママの病気やお姉ちゃんが入院しちゃった時に比べたら全然怖くないもん。 それに今日エマが私のためにその子に怒ってくれて……嬉しかったな。 だから大丈夫」



 おおお、結城……知らない間に強くなっちゃって。



 オレが結城の成長を心から喜んでいると、優香はオレ以上に感動してしまったのか半分涙目に。

 結城の後ろに回り込むと、背中から優しく抱きしめた。



「お、お姉ちゃん?」


「桜子……強くなったねぇ……」


「うん。 これも福田……くんやお姉ちゃん、エマや希たちのおかげだよ、ありがとう」


「ざーぐーらーごー!!!!」



 その後優香は晩御飯を食べ終わると足早に自身の部屋へ。

 そこから誰かと話し始め、しばらくの間出てこなかったのであった。



「ねぇ福田……くん、お姉ちゃん何してるのかな」


「うーーん、なんとなくは予想つくんだけど……あんまり考えない方がいいんじゃない?」


「そっか。 あ、それはそうと福田……くん、ちょっと私聞きたいことあるんだけど……」



 そう言うと結城はポケットからスマートフォンを取り出し何やら操作をし始める。



「ん、何?」


「あのさ、前に福田……くんが西園寺さんを追い詰めてた真似、してみたんだけど……これからどうすればいいのかな」



「ーー……え?」



 結城はオレにスマートフォンの画面を見せつけながら再生ボタンをオン。

 するとどうやら動画のようで、ここは……屋上に向かうための階段の踊り場だろうか。 そこにはあの日焼け男と他の隣町出身男子数名の姿がはっきりと映し出されており、そこで彼らは壁にマジックペンで落書きをして盛り上がっているではないか。



「えーと……結城さん、これは?」


「私も福田……くんやエマみたいに自分から動こうって思って」



 結城がスマートフォンを両手で握りしめながら少し恥ずかしそうに答える。



「そうなの?」


「うん。 私ね、ママを脅してた前の彼氏とか……お姉ちゃんがせっかく助けたのに文句を言ってたおばさんとか見て気づいたの。 私、ああいう人が嫌いなんだなーって」


「ほ、ほう」


「だからね、どうやったら自分の周りからそういう人たちが遠のいてくれるかなって考えたら……私も動くべきなんじゃないかなって思ったんだ」



 ええ皆さん、とうとう慈愛の天使が剣を持ちました。

 まさかあの結城が反撃にでるなんて……



「それで福田……くん、ここからどうすればいいのかな」



 結城がオレをまっすぐ見据えて尋ねてくる。


 おそらくはこれが初めての結城主体での反撃……絶対に失敗させるわけにはいかない。

 オレはその動画をもう1度見せてもらった後、これをいかに使うべきかを脳をフル回転させながら考えたのだった。



「それにしても結城さん」


「なに?」


「その……なんと言うか、仲良くなってやめさせようって考えにはならなかったんだね」


「うん。 だってお姉ちゃんが前に私に言ってくれた言葉……覚えてるから」


「言ってくれた言葉?」



 オレの聞き返しに結城はコクリと頷く。



「あれはそう……ママが私と縁を切るって言った時、もうどうしようもないって時にお姉ちゃんが言ってくれた言葉」



 そう呟くと結城は当時を思い出すかのようにスマートフォンを持った手を胸に当てながら、優香が言ったのであろう言葉を一言一言丁寧に話し始めたのだった。



「あの時のママはあの時の私そのもの。 何が起こっても自分が悪い、自分が犠牲になれば全部解決する、自分から動こうとしない……全部受け身な、そんな性格。 そして、そんな私の目の前に、困っている大きな私がいます。 どうする?」



「あー、なんかそんなこと言ってたような言ってなかったような」



 あの時はダーク優香の印象が強すぎたからな。

 あまりそこらへんの内容は覚えていないのだが……(おそらく241話あたりだったか?)



 そんなオレの返しに結城は「確かに私にそう言ってくれたの」と言いながら優香の部屋に視線を向ける。



「そうなんだ」


「うん。 それで今日隣の子に意地悪されて……帰りに思ったんだ。 ここで私、我慢してるだけだったら昔のまま変わってないんじゃないかって」


「ーー……なるほど」




 それで結城は剣を持つことにした……と。

 ということはその剣はもはや優香……ダーク優香の意志を受け継ぎし剣。 かっこよく名付けると【悪は絶対に潰す剣】と言ったところだろうか。

 

 これはすごいことが起こったな。



 その夜オレは、結城が正義の剣を振るうとしたらどんな状況で振るうのか……そんなシーンを妄想しながら眠りについたのだった。

 やっぱりあれかな、装備は白基調で剣がドス黒いのかな!!!

 背中から生えた翼は大きめでスカートは短めでお願いします!!!!


 

 挿絵(By みてみん)



お読みいただきましてありがとうございます!!

今回挿絵で時間かかり更新時間少し遅れました……!! しかし作者的には中々の出来かと!笑


下の方に星マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!!

感想やブクマ・レビュー等お待ちしております!!


今回の挿絵高画質VERは後ほど作者Twitterにて載せますのでよろしければ見に来てやってください♪

( @mikosisaimaria )or 『小五 転生』でヒットするかと思われます!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 挿し絵! 凄まじいぜ!! カッコいい結城ちゃんだ。 そして、ついに降り立った慈愛の天使。 その手には、 悪辣なる者たちに、贖罪の刃を振るう断罪の剣。 清らかであれ、正しくあれ! 赦し…
[一言] 桜子… たのむ、そういうのはお姉ちゃんと、ダイキに任せてな。 桜子は愛らしい天使のままでいてくれ… 将来、ブラック優香2号になってないか心配。
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