402 いざ、新クラスへ!!【挿絵有】
四百三話 いざ、新クラスへ!!
多田・小畑とは途中で「トイレ寄ってくから、んじゃねー」と解散となったためオレは1人寂しく新たな教室・6年3組の教室へ。
6年生の教室ゾーンに着いたオレが廊下を歩いていると、あれは……3組と4組のちょうど中間くらいだろうか。
窓を開け、外の景色を静かに眺めている西園寺を見つけた。
ていうか西園寺ってあれだよな。
急に最近女の子モードになったとはいえ、あぁやって1人で佇んでいる姿とか見ると本当に絶世の美女って言葉がふさわしいし……あれが実は内面ドMで怪物を飼っているだなんて誰も思わないよな。
「西園寺ー」
オレが西園寺の名前を呼びながら近づくと、声に気づいた西園寺がこちらにゆっくりと視線を向けてくる。
「あ、福田くん」
「えーと、西園寺は何組だったんだ?」
「4組だよ。 福田くんは3組だったね」
「あ、見てくれてた感じか」
「うん。 そりゃあね。 でも残念だったなー、福田くんとは別のクラスだなんて」
西園寺が「あーあ」と両手を伸ばして軽くストレッチをしながら再び視線を窓の外の景色へと戻す。
「そうなのか?」
「そうだよ。 なんだかんだで8割くらいは同じクラスなんじゃないかなって期待してたんだけどなー」
「まぁオレも西園寺たちと同じクラスだったら楽しいだろうなとは思うよ」
「でしょ? そこらへん先生にアピールしとけばよかったよ」
西園寺はくるりと体を反転。
「まぁ1クラス隣だし近くなったからそれはそれで嬉しいんだけどね」と壁にもたれかけながら自身の新クラス・4組の教室内を覗き込む。
「ん、なんだ? 入らないのか?」
「うーーん、だってさ福田くん、中見てみてよ。 後ろの方の席……」
西園寺が少し疲れた顔をしながら4組内後方の席を指差す。
そしてオレはその指先に視線を向けたのだが……
「あ、綾小路だ」
そこにいたのは西園寺にラブアピール全開の綾小路の姿。
目をギンギンに光らせながら教室の外にいる西園寺をジッと見つめていた。
「あー、だから入りたくないと」
「うん。 もう嫌がらせしてこないって知ってても……ね。 なんだかんだで好き好きオーラが凄いし」
西園寺は小さくため息。
その後「そう言ってる私も似たようなもんだけど……」とボソッと呟いた。
「ん? なんて?」
「ううん、なんでもない。 とりあえずあれだね、私、頑張るよ」
そう西園寺はニコリと微笑むと、ポケットから取り出したハンカチをオレに見せつけてくる。
「あ、そういやそれ使ってくれてたんだな」
そう……実は前に西園寺と遊園地に行った日の帰り際、思い出として園内限定のハンカチをプレゼントしていたのだ。
思い返せばあの遊園地の翌週に優香が車に轢かれて大変なことになって……ほんとドタバタ続きだったよな。
オレが懐かしい目でそのハンカチを見つめていると西園寺が「福田くん? どうしたの?」と首を傾げながら顔を覗き込んでくる。
「いーや、なんか最近のことなのに懐かしいなって思って」
「そう?」
そういや西園寺とはまた映画とか行こうって約束してたし、近いうちに行ってもいいのかもしれないな。
オレは西園寺に「またメールとかするわ」と声をかけると体の向きを自分の教室へ。
少し緊張しながら扉を開け、黒板にあらかじめ書かれていた自分の席を探して席に着いたのだった。
◆◇◆◇
教室内はほとんどが別のクラスのやつか隣町の生徒だったっぽい見た目の悪い連中ばかり。
オレは内心『え、オレだけひとりぼっちとか勘弁してくれよ?』とツッコミを入れながらも席に座ったまま扉に視線を固定していると……
「あら、ダイキと一緒のクラスなのね」
「おおおおお!!!! エマ!!!」
なんとそこに入ってきたのはまさかのエマ。
エマが「それにダイキの隣の席だなんて。 面白いこともあるものね」とオレの隣によいしょと腰掛ける。
「ええええ、エマ同じクラスだったのか!」
「らしいわね。 ていうか黒板に名前書かれてるじゃない。 気づきなさいよ」
「す、すまん。 緊張しすぎててつい自分の名前しか頭に入ってきてなかったわ」
「そうなのね。 ちなみにダイキの知ってる子、もう1人いたわよ」
「え」
エマが「ほら、あそこ見てみなさいよ」と黒板に書かれている名前を指差す。
「ん? どこだ?」
エマの指しているエリアは大体オレたちの席と同じ教室の中心から後方寄り。
そしてオレが「んーーー?」と目を凝らしていると、その答えを見つけるよりも先にそのご本人が扉を開けて入ってきたのだった。
「お」
オレはその人物の姿を見て目を大きく開かせる。
だってそうだろ? その人物こそ……
「うわあああああ!!! 結城さんだああああ!!!」
オレの声に反応した結城がビクッと体を反応させながらこちらに顔を向けてくる。
エマに結城なんて……なんて神がかった構成なんだああああああ!!!!!
結城は知ってる人がオレを含めて2人いることに安心したのかホッと胸を撫で下ろしながら若干の早歩きでオレたちのもとまで歩み寄ってきた。
「よ、よかった……。 私、1人だったらどうしようって不安だったんだ」
「偶然だね。 オレもそれさっきまで思ってたよ」
「うん。 でも福田……くんにエマもいて、本当よかった。 私の席は……あ、福田……くんとエマの前の席だ」
結城が数回黒板に書かれた自分の名前と座席を交互に確認しながらゆっくりと腰掛ける。
そしてオレはそんな結城の後ろ姿を眺めながら『これから席替えとかするまではずっとこの後ろ姿を眺めることが出来るのかー!!』と密かにテンションを上げていたのだった。
ーー……のだが。
「ちっ、まったくなんでこんな遠くまで来なきゃなんねーんだよ」
「本当それー」
オレが1人舞い上がっていると、まだ春なのにガンガンに日焼けした老け顔の男子とギャルっぽい女子が教室の扉を勢いよく開けて入ってくる。
「ちょっと邪魔だどけ」
日焼け男子は目の前にいた名前も知らない生徒にドンとぶつかりながら睨みつけると黒板に書かれている自分の席を確認。
「めんどくせーな」とボヤきながら指定された席に向かっていったのだった。
ちなみにその席はどこなのかなーと横目で追っていっていたオレだったのだが……
「あー、ダルいわ」
日焼け男子が指定されていた席に大股でドスンと座る。
うーわ、最悪だ。
オレの席のすぐ近くじゃねーか。
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