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384 特別編・JSのアイドル奮闘記④


 三百八十四話  特別編・JSのアイドル奮闘記④



 受付を済ませ、第一次審査の会場・参加者専用入り口へと入った美波・佳奈・エマ。

 自分たちのチームの番号が書かれた紙を渡されて中に入ると、今回のオーディションのスタッフなのだろう……【STAFF】と書かれたTシャツを着た大人が待機部屋の1室へと案内。

 扉を開けるとかなり広めの大部屋だ。 他の参加者たちの姿もたくさん見受けられ、そこで第一次審査の説明を聞くこととなった。



「えー、オーディションが始まると基本的にこの部屋から出ないようにお願いします。 アナウンスが流れますので、呼ばれた番号の参加者は部屋の外へ……スタッフがその都度ステージへと案内します」



 オーディション開始はお昼から。

 開始までは外で時間を潰してもよし、中でのんびりするのもよしとのこと。

 そして別室に更衣室も用意してるので、着替えが必要な参加者は時間までに着替えておけばいいらしい。


 説明が終わりスタッフが退席すると、一斉に室内が騒がしくなった。



「私ら大学生の部で優勝してるんだから大丈夫! 気を引き締めよう!」

「全国大会入賞した私たちならできるって!」

「3年間部活で打ち込んだ成果、ここで見せよう!!」



 ーー……マジか。



 周囲から聞きずてならないような高レベルの会話が飛び交い美波の耳に入ってくる。

 美波が心の中で「ヤバいヤバい」と呟いていると、隣にいたエマがトントンと肩を叩いてきた。



「ん? どうしたのエマ」


「大丈夫ミナミー、この空気に押し潰されちゃダメよー」



 エマが美波をまっすぐ見据えながらニコリと笑う。



「いやでも聞いた? あっちのグループ全国だって」


「そんなの関係ないわ。 エマたちはエマたちのパフォーマンスを見せるだけじゃない」


「それはそうだけど……」



 エマはやっぱり凄いな。

 自分は今まで……ここまで大きくないにしても小さなオーディションはいくつか受けてきた経験がある。

 だから今回も大丈夫だと思っていたのにすぐに空気に飲まれて……でも未経験のエマはなんでこんなにも自分を保っていられるのだろう。

 

 美波がエマに尊敬の眼差しを向けていると、エマが「ほら、ミナミもカナを見習いなさいよ」とエマとは反対側に立っていた佳奈を指差す。



「え、佳奈?」


「えぇ。 この空気にも飲まれずにジッと前を見てるじゃない」



 佳奈に視線を向けると確かにそうだ。

 佳奈は真剣な表情のまままっすぐ前を見据えていて……集中してるのだろうか。


 まさか佳奈にもメンタル面で負けていたなんて。


 美波は友の新しい強みを知ったなと思っていると、そんな佳奈がゆっくりと美波とエマの方に顔を向け……真剣な表情のまま小さく口を開いた。



「あのさ、私……思ったんだけど」



「「なに?」」



 美波とエマが同時に首をかしげる。



「今朝の私の腹痛さ、実は福田の言ってたとおり……女の子の日だったのかな」



 ーー……。

 


「「は?」」



 あまりにもその真剣な表情と釣り合っていない内容に美波とエマは目を点にして佳奈にツッコミを入れた。



「いやいやなに言ってんのさ佳奈。 こんな時に」

「そうよ。 エマ、もしかしてカナが何か良いアイデアでも思いついたのかなって思ったのに」


「だって私まだなってないんだもん!! そろそろ来てもよくない!?」


「そんなこと考えてて佳奈ずっとマジ顔してたわけ!?」


「美波も麻由香ももうなってんじゃん!!」


「いや個人差あるって保健の授業で習ったじゃん」


「個人差ってどんくらい!?」


「知らないよそんなのー」



 佳奈が「ああああ、お願いします。 今朝のやつがそれでありますように……」と手を合わせブツブツと唱え始める。

 しかしその望みはエマの一言により一掃されたのであった。



「ねぇカナ。 さっき駅でトイレ行ってたわよね」


「うん、なんで?」


「血、出てた?」


「ーー……」



 これにより佳奈の望みは一気に崩落。 その場で膝から崩れ落ちた。



「大丈夫? 佳奈ぁー」



 まぁ何はともあれさっきの佳奈のおかげで緊張感が少しは削がれた……感謝をしないとな。

 美波は優しく佳奈に手を差し出す。

 するとどうだろう……佳奈の口から再び衝撃の言葉が放たれたのであった。



「ーー……ヤバい、どうしよう美波、エマ」



 佳奈が目を大きく見開いてこちらを見上げてくる。



「ん?」

「どうしたのよカナ」



「今のショックで……振り付け……ぜんぶ飛んだ」



「「えええええええええええええええ!?!?!?」」



 この佳奈の発言でさっきまで何をしようかという話題だったのにも関わらず、急遽録画してあった動画などを駆使してガチな復習をすることに。

 


「ごめーーーん!!!! 急いで思い出すからあああああ!!!!」

「そんな言葉いらないから……早く外出て静かなところで復習よ!!」



 エマが佳奈の手を引っ張りながら駆け足で出て行く。



「あ、エマ、佳奈、ちょっと待っ……」



「ミナミ、先に出て場所探しとくわね! 位置情報送るから……ミナミはゆっくり来るのよ!」


「ーー……あ、うん」



 こうしてエマと佳奈は先行して待機部屋を後に。

 美波は「まぁ仕方ないか」と小さく呟きながら出口へと向かっていったのだが……



 ーー……トスン。



 何かが左足に引っかかり美波の身体が前方に傾く。



「ーー……え?」



「あー!! 2組の小畑、ごめんなさーい!!」

「見えなかったぁー!!!」



 もしかしてこの声って……



 声のした方に視線を向けると……あいつらだ、名前は忘れたけど4組のモブ女ども。

 ニヤニヤしながらこちらを眺めているではないか。

 てことは今のは足……引っ掛けられた!?



「ちょっ……アンタら……!!」



 美波は倒れながらも床への転倒を逃れるべく咄嗟に右足を前に出し、そしてーー……




「ーー……っ!!!!」




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女王・小畑……ピンチ!?

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお、始まりそう! 三好ちゃん、気にしてますな! そのうち、おいおい、くるさ! それによって、フリがぶっ飛ぶアクシデント! これは痛い! と思っていたら……小畑ちゃん……!
[一言] これ、痛みがまーんで、おちてーの、ダイキがなぐさめてーの、ダイキに惚れるパターンか? もしくは、痛くても女王の貫禄を見せつける。
[一言] ククク、知ってるんだぜ ダイキがさっそうと助けて・・・ 助け・・・さっそう・・・ うーん、だめかも
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