381 IN女王ハウス!!
三百八十一話 IN女王ハウス!!
「お母さんがお茶でも飲んで休憩していきなさいって」
この小畑の言葉を受けたオレは久しぶりの大緊張で体を震わせる。
だってそうだろう?
小畑のお母さん……てことはドSの女王を育て上げた張本人だ。
そんなのもう残虐非道の王妃じゃねえか!!!!
絶対に髪は金やら銀でウェイウェイ言ってる元女暴走族団の総長みたいな奴に違いない。
オレは必死に脳を回転させてどう断ろうかを考えていたのだが……
「ねぇ福田!」
「あ、はい」
「早く!」
「ーー……分かりました」
もしもの時は助けを呼ぼう。
オレはスマートフォンの画面を電話番号をタップするページに切り替えた後にトボトボと小畑の家……もとい女王様のお城へと足を踏み入れたのだった。
◆◇◆◇
「ええええ!? みぃちゃんの言ってた福田さんって男の子だったのー!? ママ、てっきり女の子とばかり思ってたよーー!!!」
な……なんなんだこの状況はあああああああああ!!!!
玄関の扉を開けるなり現れたのは、残虐非道の王妃でもなければ元女暴走族総長でもない……ただただ普通のどこにでもいるかなり綺麗めのおっとりしている雰囲気の女性。
まさかこんな人がドSの女王を生み出したとは……
予想とはまるっきり逆の展開にオレが驚きを隠しきれずにいると、小畑母は「どうぞ、上がって上がって!」とオレの手を引っ張りながら中に招き入れた。
「えっとあの……」
「じゃあママ、おやつとジュース持ってくるから……みぃちゃん、福田くんと一緒にお部屋で待っててねー♪」
「「えええええええええええええ!?!?!?!?」」
◆◇◆◇
一体どうしてこうなった。
小畑母に言われるまま、小畑はオレを2階にある自身の部屋へと渋々案内。
「こ、ここだよ」と小畑が先行して扉を開けると、結城や優香・エマや茜とはまた違う……小畑独特の柔らかな甘い香りが鼻の中を突き抜けた。
「ん、福田……どうしたの?」
あまりにも唐突な女の子特有の甘い香りに気を取られていると、先に中に入った小畑が振り返りながら尋ねてくる。
「え、あぁ……なんでもないよ」
まさかこんなタイミングで小畑の部屋……女の子の聖域に足を踏み入れることが出来るなんてな。
オレは感動しながら周囲を見渡すと、これはもう完全にJS。 窓辺には可愛らしいぬいぐるみが複数並べられており、勉強机周辺には小畑の大好きなアイドルグループ・ニューシーのポスターやプロマイド・ライブグッズなのであろう団扇がいい感じのセンスで並べられていた。
ていうかあれだよな、ガチなJSの部屋に入るのってこれが初めてなんじゃないか?
エマは中身JKだから大人っぽかったし、茜もJCだったからそこまでロリロリしてなかったというか……
あぁ……これが純粋なJSの部屋。 尊し。
オレは心の中で合掌しながら小畑に指示された場所……部屋の中心に置かれた小さな白色の丸机の前に座る。
そして小畑はオレの対面……足を痛めてるから仕方ないのだが、ベッドの上に「よいしょ」と腰掛けた。
「まぁもう仕方ないし……とりあえずゆっくりしてってよ」
小畑も家に着いたことで心に緩みが生じていたのだろう。
「ちょっと包帯取り替えるね」と言うと片足をあげて包帯を外し始める。
もちろんオレも「あ、うん」と答えながら視線をその包帯の方へと向けたわけなのだが、その隣ーー……
「!!!!」
そう……オレは確かにこの目で見たんだ。
何者にも汚されておらず……雑草のまったく生えていない綺麗なみずみずしい大地を。
あれを聖域と言わないで何と言おう。
オレは勇者や理想郷を求める冒険者たちがそう簡単には拝めることの出来ない禁断のセイk……ゲフンゲフン、聖域をしばらくの間じっと凝視。
その効能なのかオレの心や脳……その他色々なものが熱くなっていったのだった。
ーー……聖域が出現したのは優香や結城とお風呂に入ったとき以来だな。
あの時もガン見していたからオレには分かる。 小畑領の聖域はなんというか……結城領や優香領の聖域よりも、若干だけどピンクがかっていたぜ。
ちなみにその聖域は小畑が新しい包帯を巻き終えたと同時に消失。
それからはただただ何気ない会話をしながら小畑母が運んできてくれたおやつやジュースを頂き、別に何も進展なども起こらないままいい感じの時間にバイバイしたのであった。
まぁオレの脳内にはあの聖域をしっかりと焼き付けたから後悔はないんだけどな。
しかしその帰り道。
オレがのんびりと帰路についているとスマートフォンが振動していることに気づく。
確認してみるとメールの受信通知……小畑からだ。
オレは何か忘れ物したっけなと考えながらメールの中身を確認した。
【受信・小畑】てかさ福田、痛くなかったの?
ーー……ん、なんだ? オレどこかで体ぶつけたっけかな。
腕や足を軽く見てみたのだが別にアザもなければ血も出ていない。
【送信・小畑】痛くないって何が?
そのメールを送ってしばらく。
まさかバレてないと思ってたんだけどな……。
小畑から衝撃の真実が送られてきていたのだった。
【受信・小畑】いや気づかないと思った? あの場では気まずくなりそうだから言わなかったけど……おっきくなってたよね。
う……うわああああああああああ!?!?!? ナニがあああああああああああ!?!?!?
多分オレの心の器カナーーー!?!?!?
【送信・小畑】え……?
【受信・小畑】なんで?ワラ
【受信・小畑】なんで?ワラ
【受信・小畑】なんで?ワラ
ぎゃあああああああ!!! 勘弁してくれえええええええええ!!!!
その後オレは小畑に近々開催される第一次オーディションの帰りにご飯を奢るという条件で、三好やエマに今回のことを公言するのを控えてもらうことに成功したのであった。
それにしても小畑のやつ……あの足で本当に大丈夫……オーディションに間に合うのか?
お読みいただきましてありがとうございます!!
下の方に星マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!
感想やブクマ・レビュー等お待ちしております!!!
元祖ダイキが蘇っていたルートでは断念せざるを得なかったオーディション!!
果たして……!?




