319 四教科の乱!
三百十九話 四教科の乱!
現在午後1時過ぎ。
自室の中で西園寺と向かい合ったオレは、今から始める問題集勝負のルールを改めて確認する。
「やるのは国語・算数・理科・社会の4教科で、それぞれの問題集に別冊で付いている確認テスト。 制限時間は20分かつ、範囲は授業でやったであろうところまで。 解答する問題は公平に対戦相手が選ぶこと。 いいな?」
オレの言葉に西園寺は「うん!」と思い切り首を縦に振る。
「よし、じゃあこれで決まりだ」
「それで同時に答案用紙交換して採点……点数の高い方の勝ちってことだよね!?」
「あぁそうだ! それで敗者は勝者の好きなところを必ず1つ答える!」
「うん! 絶対負けないからね!」
「オレだって! 絶対オレの好きなところ言わせてやるぜ!」
こうしてオレと西園寺の学力勝負が開始。
さぁ西園寺……大人のチート脳を見せつけてやるぜ!!!!
◆◇◆◇
【第一試合】国語(長文・指示語・類義語対義語・漢字)
長文はかなり苦手な部類だけど……まぁ相手は小5、余裕だろ。
「オレはもう西園寺の答案、採点し終えたぞ」
「私も福田くんの採点終わったよ」
「「せーーのっ!!」」
・オレ:55点 ・西園寺:97点
「ぎゃああああああああああ!!!!!!!」
「やった!」
ま、まぁ……先にレディーに勝ち星を譲るのは大人として最低限のマナーだからな。
あえて勝たせてやったんだよ、あえて。
オレの目の前では西園寺が小さくガッツポーズ。
その後目を輝かせながらオレを見つめてきた。
「あー、そうだったな。 じゃあまず1つ目、可愛い」
「か……可愛い!?!?!?」
西園寺が口元を押さえながら目を大きく見開く。
「なんだ不満か?」
「ううん、不満とかじゃないけど……それお世辞とかじゃないよね?」
「当たり前だ。 オレはどんな相手にでも【可愛い】と【美人】だけはお世辞を言わないって決めている。 だってお世辞で可愛いって言ったとして、第三者にオレの【可愛い】がその程度って思われるのはムカつくからな」
「そ、そうなんだ。 ありがと……」
「照れてろ照れてろ! 今度は西園寺に言ってもらうからな!」
◆◇◆◇
【第二試合】社会(●オレ:6大陸と3海洋 ●西園寺:日本の水産業)
「ま、待ってくれ、太平洋と大西洋は分かったけど……あとなんだ!?」
「えっと……寒流の北海道左側がリマン海流で、右側が……親潮だったかな」
「「せーーの!!」」
・オレ:42点 ・西園寺:87点
「ってなるほどインド洋……覚えてるかあああああああああ!!!!」
「あ、良かった合ってたんだ!」
だ、ダメだ。
社会なんて真面目に聞いてた試しがないからまったく分からん!!
オレは42点と書かれた自分の答案用紙を見ながらガクリと肩を落とす。
「福田くん福田くん♪」
西園寺が見えない尻尾を左右に振りながらオレの服の袖を引っ張る。
「くそ……覚えてろよ。 2つ目……頼り甲斐がある」
「わぁ……! 嬉しいな!」
◆◇◆◇
【第三試合】理科(●オレ:天気 ●西園寺:メダカ)
「低い空から高い空にまで広がる夏場によく見られる雲は積乱雲ですが、低い空に広がる厚くて灰・黒色の雲? ……え、他に雲の名前って入道雲と飛行機雲しかなくね?」
「メダカのオスとメスの違い……えっと……なんだったっけな、確か……」
おいおい西園寺の問題なんだよボーナス問題じゃないか。
そんなの付いてるか付いてないかに決まってんだろ?
……と、そう思っていたのだが採点中に知ることとなる。
どうやらオスのメダカには背びれに切り込みが入ってて、メスよりも尻ビレ……下のヒレの幅が広いんだってさ。
そんなの習った記憶ねーぞ?
「「せーーのっ!!」」
・オレ:25点 ・西園寺:72点
「アアアアアアアアアア!!!!」
「うわ、今回は負けたかと思った!」
ちなみにオレが序盤で悩んでた問題……『低い空に広がる厚くて灰・黒色の雲』の名前、乱層雲って言うんだって。
え、みんな覚えてた?
「福田くーーん♪」
「ぐぬぬマジか。 えっと3つ目だよな、目元のホクロがエロい」
「エロ……!? それって褒めてるの!?」
「当たり前だろ。 その年齢でエロさを出せるのは反則レベルだぞ」
「そ、そうなんだ……えへへ」
◆◇◆◇
【最終試合】算数(●オレ:分数の約分・通分 ●西園寺:三角形・四角形の面積)
「っしゃ来たああああああああ!!!!」
「えええ……一番苦手なところだぁ。 台形の面積を求める式ってなんだったっけ……」
ククク……アハハハハハハ!!!!!
なんて簡単なジャンルを選んでくれたんだ西園寺!!
分数なんぞボーナスステージ!!!
あれは中学や高校になっても数学で使ってた馴染みのやつだからな! しかも初歩……負ける気がしねええええ!!!
西園寺に視線を移すと「ひし形の面積の公式は……って、公式ばっかりだよおぉ……」と頭を抱えて悩んでいる。
ーー……うん、それはオレも分からん☆
「「せーーのっ!!」」
・オレ:100点 ・西園寺65点
「キタアアアアアーーーーーー!!!!!」
「こんなのテスト期間じゃないと覚えられないよぉ……」
オレの目の前には採点した解答用紙を見ながら「ひし形の面積の公式……そうだ、【対角線×対角線÷2】だった」と少し落ち込みながら復習をしている西園寺の姿。
ふふふ、やっと来ましたよこの時が。
さて……では参りましょうか!!!!
オレはそんな西園寺の肩をガシッと掴む。
「……え、あ、福田……くん?」
「じゃあ西園寺、勝者のオレにオレの好きなところを答えて貰おうか!」
これぞまさに有終の美!
連続で負けていたオレだったのだが見事最終勝負で勝利……西園寺からオレの好きなところを聞けることになったのだった。
そして西園寺は顔を真っ赤にしながら一言……
「えっと、いっぱいあるけどじゃあ……あたたかい」
ーー……え?
「体温が?」
「ち、違うよ! 雰囲気! 福田くんから漂う雰囲気があたたかいの!」
「んーと……そうなの? 自分ではよく分からんが」
「うん。 とってもあたたかい」
「それって褒めてんの?」
「褒めてるよ! 福田くんだって私の目元のホクロがエロくて良いって言ってたじゃん。 それと同じだよ」
「うぐぐ……それを言われちゃあ何も言い返せねぇ」
こうして気づけば時刻は午後2時半前。
勝負も終わったことだしオレは西園寺にゲームでもして時間を潰そうぜと提案しようとしたのだが……
「ねぇ福田くん、学校来てない間、勉強してた?」
「ーー……エ?」
「ちょっとさっきの点数だと次のテスト危なそうだし……簡単に教えてあげよっか?」
「い、いや……別にオレは点数とかあんまり気にしてないから……」
「だーめ、そんなこと言ってたらまた私と勝負した時に負けちゃうよ?」
西園寺がオレの悲しい点数たちを指差しながら勝ち誇ったように微笑む。
これはあれだな、今度も自分が勝つとでも思っているのだろう。
ならあれだ、今度は難易度をあげて……
「お、言ったな? じゃあ次やる時はもうちょっと恥ずかしい罰ゲームでやろうぜ」
「良いよ? どんなのが良い?」
ヨシ!! ノッてきた!!
「そうだな……じゃあこうしようぜ。 今度西園寺と2人で遊園地行く時に、勝った人の言うことをなんでも1つそこで聞く……とかどうだ?」
オレがドヤ顔でそう提案すると西園寺が目を大きく開かせながらオレを見つめている。
「福田くん……ちゃんと覚えてくれてたんだね」
「ん? 何が?」
「ゆ、遊園地の話」
「あーね、当たり前だろ。 勉強の暗記系は忘れるけどそう言うのは覚えてるぜ」
これで勝てば西園寺はオレの言うことを1つ……何にしようかなグヘヘヘ。
そんなゲスいことを考えていたオレだったのだが、そんなオレに向かって西園寺が微笑みながら一言。
「やっぱり福田くん、あたたかいね」
あたたかい……そうか?
むしろオレは今あたたかいなんて生ぬるい……メラメラに燃えているぜええええええええ!!!!!
こうして罰ゲームも決まったところで、オレは西園寺からオレがいなかった間の授業内容を教えてもらうことに。
するとそこで気づいたんだけど……
西園寺……教えるの上手いなぁ。
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