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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
王都武芸大会編

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82話 王国武芸大会 14

-王都マハル 特別区-


 新人戦優勝の賞金は金貨100枚。まぁ、悪くない稼ぎだな。領地開発には金が掛かる。幾ら有っても邪魔にはなるまい。賭けの勝ち分で金貨は10000枚になる。当面は困ることもないだろう。払い戻しが楽しみだな。


「お嬢のお蔭で美味いものも飲み食い出来たし、来て良かったよ」


 そういやタニアは俺に賭けてたんだっけか。まだ希望してるなら寝具作ってやるかな。材料集めが大変だが出来なくはないし。


「しかし、初めてで準優勝か。大したものだね、お嬢はさ」


「マリーナも相当な強さなんだけどねぇ。決勝戦のあの人の強さが異常なのよ」


 メリッサ、お前は当初そんな事は言ってなかったよな?調子のいい奴だ。


「え、マリーナってそんなに強かったの?全然想像付かないんだけど」


 この中で森で一緒に狩りをした事が有るのはメリッサだけだ。彼女は俺が単独で大鹿や灰色熊を狩る現場を見ている。


 新人戦が始まってから、出場選手の程度が分かった時点で俺が勝ち上がるのは分かっていたはずだ。最初に賭けに乗らなかったのは他の選手の程度が分からなかったのと、そもそも賭け事が好きでは無いのだろう。


「今はゼベットとも稽古してないんでしょ?あの爺が相手にならないって相当よ」


 今は得るものがないのでやってないな。元々、稽古としてやってたわけじゃないが。


「じゃあそもそも護衛なんて要らないんじゃ?多分この中で一番強いよね」


 ああ、ミランは彼女達が一緒に居る理由を知らないんだっけ。


「ミランさん、タニアさん達は私が城から出る時の条件でもあるのです。単独で城の外で行動するのは許されていません。それに、私が少しばかり強かったところで複数で襲われたら対処出来ないでしょう。わざわざ単独で襲ってくる賊なんて居ませんからね」


 実際にはアル達が使えるので対処は出来るし、何も問題は無いけどな。それに彼女達は正確には護衛じゃなくて付き添いだ。一応手当も出ている。だいぶ気軽な関係には成ったが、こちらから依頼している形式なのは変らない。


「まぁ、私らは一緒にいると退屈しないから良いんだけどね。ね、タニア」


「そうだな。自警団に籠っているよりずっといい。いつも面白いものが見れる」


 散々連れ回している割には嫌われていない様で何よりだ。有難い話だな。


「仲が良いのだな。歳の離れた姉妹の様にも見える。羨ましい限りだ」


 ノーマからはそう見えるか。結構打ち解けた感じに見えたが、これからかな。


「ノーマったら、もっと気楽でいいのにねぇ。真面目さんなんだからぁ」


 この数日でだいぶ仲良くなったらしい。メリッサのこういうところは助かる。


「失礼する。こちらにマリーナ・サマリードという者は居るか」


 目を向けると宿の入り口に見たことの無い鎧姿の女性が立っていた。


「マリーナは私です。どの様なご用件でしょうか」


 決勝戦の後だし、知らんふりも出来まい。素直に呼びかけに応じておく。


「ほう、随分と若いのだな。確認するが新人戦で準優勝した者で間違い無いか?」


 ん?何か忘れていたかな。係員から聞かされていた話にはこんなのは無かったが。


「はい、先日までの新人戦で準優勝したのは確かに私です」


「私はラキス・レオニールという。ここの警備を任されている者だ。ローランドから話を聞いてな。興味が湧いたので直接見に伺った」


 ローランドって本戦のあいつか。印象は悪くなかったよな?


「そう構えんでくれないか。ところでサマリードとはどちらの貴族かな。この辺りでは聞かない名だが」


「北方のリベスタン砦周辺です。私はそこの領主の娘です」


 ん?一気に表情が暗くなったぞ。何か悪い事でも言ってしまったかな。


「そうか・・・領主の娘では望みは無いな。いや失礼した。見ての通り私はこの国の騎士団の所属なんだが、どこも人手不足でな。有望な者がいると聞いたので出来れば話をと思って来たのだが、当てが外れた様だ。時間を取らせて済まなかった」


 そう言うと女騎士は去って行った。随分と肩を落として、少し可哀想だな。初めて見たがあれがここの騎士団の鎧か。外で見た兵士とも門の衛士とも違うな。結構な上物だ。


「ふむ、話というのは勧誘だったらしい。騎士は貴族の子弟が成るものだし、大会で準優勝する程の腕だから有望と判断されたか」


「他領地からの勧誘ってダメなんじゃないっけ?王家だからアリなのかしら」


「嫡子以外は領地を継げないから何かしら職を得ないと生活に困る。大抵は官僚や騎士になるけど小領主じゃ限度が有るからね。結果として彼らの就職先が王家や大領主になっているんだよ。だから彼女には早めに斡旋した程度の認識しかないだろう。どちらにしろ優秀なら先に確保しておこうと考えるのは皆同じさ」


「ふ~ん、やたら諦めが良かったのは何で?」


「マリーナが領主の娘だからさ。優秀な婿を迎えたり有力な貴族に取り入るには、優れた娘であれば切り札的な存在になる。領主以外の貴族の子弟でも常套手段だ。領主級なら尚更だろうね。騎士になんて成るはずがない」


「なるほどね。マリーナは将来より取り見取りって感じなのね。羨ましいなぁ」


 メリッサがこちらを見て薄笑いを浮かべている。全然羨ましそうな表情じゃないが。


 タニアは現実を良く見ている。彼女の言った通りだろう。俺も同意見だ。遅かれ早かれ今後はその流れで現実が進んで行く。俺に残された時間は多くない。好きに動けるのも精々が数年間。急がねばならんな。

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