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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
王都武芸大会編

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77話 王国武芸大会 11

-王都マハル 特別区-


 新人戦の終了で時間に余裕が出来たので、昼間は皆で宿屋の食堂で寛いでいる。滞在も残り少ないという事で今のうちにモレットの料理を堪能しようという腹だ。俺はというと、厨房で一緒に仕込みを手伝っている。レシピを幾つか教えてもらえたので早速試しているわけだ。彼はどうやらかなり儲かったらしい。お願いすると上機嫌で対応してくれた。


「今回の儲けでだいぶ計画が早まりそうだよ。ああ、そんなもんでいい。やり過ぎると食感が悪くなるからな」


 今は茹でたジャガイモを潰しているところだ。熱いうちにある程度潰すので結構な作業になる。俺は火傷にならないので問題無いが、料理人とは大変な仕事だとつくづく思う。

 食べるだけの彼女達にもこの苦労を理解して欲しいものだな。四人共呑んだくれているのはどういうことなのか。仲が良くなったのは有難いのだが・・・まぁいいか。


「マリーナさんは飲み込みが早いわぁ。しっかり覚えて行って下さいね」


 時々、横についてカレンも教えてくれるので助かる。モレットが言うには菓子類は彼女の方が上手いそうだ。俺にとってはどちらも良い教師なのは間違いない。


「アタシらも手伝うよ、試食係として!どんどん持ってきて~」


「マリーナ次は何が出て来るの?いつでもいいよ~」


 酔っ払い共め。周りが退いてるのに気付け。まぁ、あれじゃ悪い虫も付き様が無いか。皆それぞれに見た目は悪くないと思うんだがなぁ。足元にはアルも控えてるから悪戯されることもあるまい。


 昨日からモレットに無理を言ってアルを酒場に入れてもらっている。エクスは馬車の監視だ。新人戦とは言え入賞者にはそれなりの賞金が出る。少なくない金額なので当然ながら群がる馬鹿も居る。その対策だと説明して折れてもらった。やはりこういったイベントに絡むトラブルは少なくない様で、過去に彼らも幾つか見聞きはしたらしい。


「そう、そこにこの溶かしたバターをこんな感じに塗ってから混ぜるんだ。そうそう、上手いじゃないか。最後にこのぐらいで塩を振りかけて、これで完成さ」


 なるほど、モレット式マッシュポテトの完成だ。早速出してやるか。


「お待ちどうさま。どうぞ召し上がって下さい」


「お~、マリーナ作れる様になったのね。これで帰ってからも安心だわ」


 いや、お前も覚えろよ。それって俺が作るの前提ってことじゃねぇか。


「あ、美味しい。ここで食べてるのと同じ味だわ。凄いね、もう覚えたんだ」


 そりゃモレット本人が見てる前だからな。そうなって当然だろう。


「嬢ちゃん、次の作るぞ。戻っておいで」


「あ、はい。すぐ行きますね」


 レシピを教えてもらえて作り方の指導まで看てくれるのは有難いんだが・・・実質的に店の手伝いになっているような気がするのは俺だけか?



 希望した献立のレシピ修得が概ね修了した。後は実際に何度も作って覚えるしかないだろう。ずっと食堂に篭っていたわけだが、俺を除く四人はイイ感じに出来上がっているので呑み過ぎた以外は特に問題無さそうだ。


「結局ずっと手伝ってもらっちゃったわねぇ。マリーナさん、お疲れ様」


「いえ、食材が無駄にならなくて良かったです。ご指導ありがとうございました」


 料理を覚えるには作ってみるしかない。そのためには材料が要るし、当然だが食べてくれる相手が必要になる。さすがに四人だけでは消化が難しい物量だったので他の客に出せるという環境は寧ろ有難かった。タダだけに多少気になっても文句を言う奴らは居なかった。まぁ、ほぼモレットと同じ物を作れたとは思っているが。


「嬢ちゃんの飲み込みが良くて助かったよ。言うとおりに作ってくれたしな」


 料理を失敗するのは変に独創性を出すからだ。それが許されるのは一握りの本職のみ。身の程を弁えない者程料理は上手くならない。素人の適当と玄人の適当は違うのだ。


「でも本当に良いのですか?沢山教えていただけて有難いのですけれど」


「このぐらいならどこの食堂でも出してる。ありふれた献立だから気にするなって」


 モレットの言う通りなら王都とは食文化に天と地程の差が有る事になる。戻ってからの課題が更に増えたか。少しずつでも差を埋めて行ければ良いな。

 

「明日の決勝戦は観に行くんだろう?折角選手側の特等席で観れるんだ。行ってくるといいぞ。どうせいつもの組み合わせに決まってるだろうしな」


 厨房の片づけと明日の仕込みが終わり、今はようやく一息付いたところ。俺としては明日も厨房で構わないのだが、彼らからすれば俺達は出場選手かつ観光客という認識なのだろう。逗留客は観戦に行くものだと考えるのが当然か。


 しかし『いつものに決まっている』とはどういう意味だ?見なくても分かるという感じに聞こえたが。反応に困っているとカレンが教えてくれた。


「マリーナさんは初めてだから分からないわね。ここ数年は毎回決勝戦に出て来る人が同じなんですよ。どちらが勝つかはその時で違いますけどね」


 なるほどな。この国ではその二人の力が抜きんでているというわけか。頂上決戦ともなれば見ておく価値は有りそうだ。


「恒例みたいなものだからね。今回はどちらが勝つことになるのかな」


 どちらも致命傷を受けていないのだから純粋に腕比べをしているのだろう。しかし、それ程有名な強者なら話が伝わって来ていても不思議じゃないが、聞いた事も無いな。改めてサマリード領が辺境なのだと気付かされる。

 いや、俺が知らないだけかもな。興味無かったし。後でタニア達に聞いてみるか。

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