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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
王都武芸大会編

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61話 王都への道のり 4

-バンダーク街 南門付近-


 バンダークを発ちシンタックへと向かう。今回の旅程ではこの区間が最も危険だ。左右の見通しが悪い道が続き、賊の被害件数が一番多い。


 街から離れてしばらくすると森に入る。木立はそれ程高くは無いし道幅も広めだ。路面も悪くないので走り易い。ただし、道路が直線的に延びていないので、曲がった先の状況が見えない。運転する者としては速度が出し辛いはずだ。倒木でも有れば大事故に繋がるので慎重に進まざるを得ない。賊が伏せるには有利な地形だな。


 速度を出したい俺としてはエクスを先行させることにした。馬車から見える位置にアルを、そこから更に前にエクスを出して確認しながら走る。これなら何か障害物が有っても対処可能だ。


「ずっとアル達を連れて来てたのねぇ。マリーナの一部みたいなものだし当然かぁ」


 メリッサの指摘も強ち間違いでもない。いつも一緒に居る印象は強いだろう。実際は一部じゃなくて同体なんだがな。ミランにはアルが止まらないうちは飛ばせと言ってあるので馬車の速度はかなり速い。


「以前見た時よりもだいぶ大きくなった気がするな」


 まぁ、忍者用の装備も持っているからな。その分体積は嵩張るのだ。


 おそらくこの道をこんな速度で通ったのは俺達が初めてだろうな。先行して目を出せる俺にしか出来ない方法だ。横からの襲撃に対処が出来なくなるが、こればかりはどうにもならない。


 

 シンタックまでの中間地点を過ぎた辺りで前方に何かが見えた。進路上に何かが有る。

 近づくと正体が分かった。人の胸ぐらいの高さで太目の縄が張られている。左右の端は道路脇の木の幹に括られてある。何だこれ?とりあえず邪魔なので切ってみる。特に何も起こらない。周囲には誰も居ない様だ。しばらく進むと今度は膝の高さに縄が張ってある。同じく切断するがやはり何も起きない。ここも誰も居ないらしい。


 おそらく騎馬と馬車の進行を阻害するための罠だと思われる。暗ければ効果はかなり高いな。足止め用ならここらが襲撃地点になるはずだが、誰も居ないのは何故だろう。


 他の罠に警戒しながら先へと進むと前方から多数の金属音と大勢での争う声がする。この先でどこかが既に交戦中らしい。なるほどな、先に罠に掛かった奴らが居たので賊がそっちに集まった訳か。しかしこの辺りに迂回路は無さそうだ。地理に疎い俺達には選択肢が無いな。とりあえず様子を見に行こう。


 馬車の速度を落とす様に指示してアルを先行させ、合流するまでエクスで様子を窺うことにする。遠目には3両の馬車が見える。先頭は横転しているな。何人も地面に倒れているのが見える。これは酷い修羅場に出くわしたな。どうしたものか。



 木の陰から様子を窺ってみる。どうやらシンタックから来た商隊が山賊の襲撃を受けたらしい。

 護衛していた奴らが山賊と交戦中だ。格好からすると傭兵だな。賊徒は二十数人で護衛は十数人。どちらも何人かは倒れて動かない者が居る。馬車を上手く使って盾にしているが、あれでは道路が封鎖されてしまって通れないな。勢いで擦り抜けようかとも考えたが無理そうだ。どうやら終わるまでは通れそうにない。


 どちらが勝っても構わんが、道が通れる様になるには馬車が邪魔だ。人数比から見れば山賊側が有利だが恰好を見る限りでは傭兵側が強そうな感じ。どちら側に傾いてもおかしくはない。長引かれると困るんだがな。

 出来ればどちら側にも肩入れしたくない。俺はこの辺りの事情を全く知らないからな。実は山賊が義賊だったり、襲われた商隊が悪徳業者かも知れない。後が面倒なので関わりたくないのだ。直接襲って来れば確実に敵なので容赦なく殺すんだが、何とも判断に困る。このままでは馬車がここに着いてしまうな。

 

 さて、困った事態になったが単純に考えれば道が通れることで解決するのだ。まずは道を空けてくれるように頼んでみる。何事も頭から決めつけてはいけない。平和的に通過出来ればそれで良し。駄目なら押し通るしかない。自分の立場を明確にして、敵対者は殲滅でいいだろう。見た感じでは俺一人でも十分対処可能な戦力だ。



 馬車を一旦停めて御者をミランと交替する。俺は大会出場で使う予定の装備を全身に着ている。展開次第で戦闘になるからな。タニア達には馬車から出ない様に言ってある。何か言いたげだったがここで良い案が出るとは思えない。彼女たちに加勢されて怪我でもされては困る。万一の為と用意していた馬鎧を着せる。動力である馬を潰されては洒落にならない。


 さて、ここから使うのは【ブラックロータス】の装備だ。汚したくないのでマリーナの装備からは着替える。体格が足りないのでアルを戻して少しだけ分けてもらう。うん、これでいいだろう。


 概ね準備が出来たな。外観が何となくウォーワゴン的な印象がする。全体的に黒いし鎧重馬が牽いて鎧騎士が御者という。これで棘だの刃だのが付いたら完全に戦闘車両だな。意図した訳じゃないが現時点で相当に威圧感が在る。

 アルとエクスは既に忍者に変化させて潜伏中だ。状況次第で森の中の掃討に使う。


 前方に交戦地域が見えたので速度を更に落とす。この先は演技力が重要だ。何事も演出が大切な要素であり、結果は大きく左右される。

 徐々に速度を落とし、彼らの馬車の少し前で停まる。双方とも現在睨み合いで動きが無い。こちらの動き次第と様子見しているのだろう。


「何やら面倒な状況の様だが我らはこの先へと行かねばならん。速やかに道を空けて欲しいのだが」


 馬車の御者席から彼らに向かって話しかける。この展開は誰も予想していないだろう。思った通り、どちらも困惑しているのが見て取れる。さて、どうなるか。

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