54話 武芸大会へ向けて 2
-リベスタン城塞 マリーナの部屋-
先日モルダーから示された案をずっと考えている。確かに他に方法は無さそうだが、良く考えるとかなり難しい条件なのだ。新人戦で目立つ様な内容で勝ち上がる。この目立つというのがどうにも危険だ。
新人戦なら歴戦の猛者は居ないので勝つのは問題無さそうだが俺はなるべく目立つのは避けたい。厄介事が増えるのは確実だしな。前回のゼベットの話に即答したのも同じ理由だ。武術そのものに興味は全く無い。
仮に鍛冶師と契約出来たところで領地に呼べるかも分からない。一度出たら次もと呼ばれるのは目に見えている。俺にとって良い事が全く無いのだ。
しかし、この先領地が発展するには鍛冶師が間違いなく必要になる。他の方法では到底上手く行くとは思えない。悩ましいところだ。
-自警団詰所 休憩所-
「いいんじゃない。マリーナなら余裕でしょ。マハル行った事無いし、楽しそう」
メリッサ、一緒に行く気なのは有難いが、完全に観光気分だな。
「新人戦なら十分勝機は有りそうだね。良い経験になるんじゃないか」
タニアも違う意味で勘違いしているな。目的はそれじゃないんだ。
改めて二人に目的を説明する。肝心なのは鍛冶師の招致だ。
「なるほどねぇ、上手い事を考えるもんだ。言われてみれば納得の理由だね」
「そういう事なら一式揃えないといけないか。ちゃんとした装備で出るのよね?」
そう言われればそうだな。金属鎧は持っていないし、城兵用の革鎧でも勝てるだろうが狩猟用の装備で出場するような催しじゃないだろう。
「どうせなら派手なのにしようよ。その方が声も掛け易いんじゃないかな」
後から〇〇モデルとして売る前提なら確かにその方が良いのかも知れない。実際に着て出場しないと宣伝効果が期待出来ないだろうし。
と言うか二人共、俺が出る前提で話を進めているんだが・・・まぁ戦い方次第では見られる時間も少なくて済む。外見で目を惹ければ動きの方に注目されにくくなるかも知れない。派手な見た目の方が良いかもな。
ゼベットに気が変わったと伝えて急遽だが武術大会への出場登録をお願いした。何やら複雑な表情をしていたが、了承してもらえた。そもそもは領主の希望だったとのこと。期限的には十分間に合う様だ。ハミルの思惑が何かは分からないが、ゼベットの口ぶりから想像するに良いものでは無さそうだ。
何にせよ、大会用の装備を用意しなければならない。手持ちの金には余裕が有るから最悪作ってもらうのも有りか。確かモルダーの店に行くまでの途中で鍛冶屋を見かけた。中央通りの店ならそれなりの腕のはず、良い物が見付かるだろう。




