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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
探求編

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53話 鍛冶技術の獲得 2

-商業都市トリスタン モルダー服飾店-


 久しぶりにトリスタンを訪れた。相変わらず賑やかな街だ。

 今日は手持ち資金が少なくなったのでモルダー服飾店に小遣い稼ぎに来ている。潤沢に思えた資金も気が付けば底を突き始めていた。まぁ、今はそういう時期なので仕方あるまい。利益が出るようになるのは当分先の事だからな。


「お久しぶりです、マリーナ様。今回も私の店に卸して頂けて感謝しております」


 モルダーは上機嫌で迎えてくれた。不定期とは言え、これで仕入れ先が確立された様なものだからな。俺も助かるので、今の状態を長く維持しておきたいところだ。


「早速、奥で伺いましょう。こちらへどうぞ」


 まずは鑑定だな。それなりの金額になると有難いのだが。


 席について化粧箱を取り出す。今回はブローチとリング。デザインは前回同様にロイヤルファミリーの装飾品を参考にした。蓋を開けて現物が見える様に置く。


「おぉ・・・では拝見いたします。しばらくお待ちください」


 いつものモノクルを使っていろんな角度から観察している。今回はカットに注力したので見栄えはだいぶ良くなったはずだ。オーバルのブリリアンカットでブローチは大きめのサファイア。色も濃い青。土台は銀細工で小さめの白色サファイアで囲んでいる。ダイヤモンドが無いのでその代わりだ。リングは金細工を土台にルビーを使っている。


 何だか前回よりも鑑定時間が長い様な気がするが・・・何か失敗したかな?モルダーの表情が真剣過ぎて声を掛け辛い。ここは大人しく待とう。


「ふぅ・・・素晴らしい逸品ですね。思わず見入ってしまいました」


 そっちだったか。まぁ自信作なので評価されるのは嬉しいところだ。


「更に腕を磨かれた様ですね。次回も是非、当店によろしくお願い致します」


 モルダーは店員の女にメモを渡して指示を与えている。金額が決まったようだな。


「では今回は600枚でいかがでしょうか」


 高!えらい高いな。俺としては十分過ぎる額だ。頷いて同意を示す。


「有難うございます。代金はどの様にご用意いたしましょうか」


「金貨で200枚、残りは100枚分の証文でお願いします」


「畏まりました。直ぐにご用意致します」


 奥から女が戻って来た。今回も鞄はくれるらしい。有難く頂戴しよう。


「そう言えば、前回の品はもう買い手が付いたのですか?」


 かなりの高額商品なんだが、そうそう売れる物なのだろうか。


「はい、ひと月も経たない内に。だいぶ儲けさせて頂いております」


 満面の笑顔だな。商人らしい『お主も悪よのう』って感じのイイ笑顔だ。アンタやり手だね。これからも頼りにさせてもらおう。



 さて、今回は商談だけが目的じゃない。モルダーの店に来たのは別に理由が有る。鍛冶師の件で何か知恵を借りたかったのだ。彼の見聞と知識は俺より遥かに広い。何かしらの方法を知っているのではないかと思い至った訳だ。


「少々お時間をいただけませんか。商談とは別にご相談したい件がありまして」


 モルダーの目から笑顔が消えた。顔は笑っているが目が笑っていない。


「先の展開次第では新たな商機が見込めるのですが、お願い出来ませんか」


 少し興味を引けた様だが、もう少し足りないらしい。ここは下手に出るか。


「この街の中央通りで大店を営む程の方なら必ず良き知恵を授かれると思いまして、助けていただけないでしょうか。聞いて下さるだけでも結構です」


 これで駄目なら見込み無しだな。商談以外に使えないならコイツにもう用は無い。面倒だが他の伝手を新たに作るか。


「お話、伺いましょう。あなたは見た目以上に強かな方ですね。言葉では下手に出つつも主導権を手放さない。商機というのも気になるところです」


 どうやら合格点がもらえた様だ。とりあえず話は聞いてくれそうだな。


 俺は事情を掻い摘んで話した。何とか鍛冶師の伝手が掴めると良いのだが。


「仰る通り、鍛冶師は徒弟制で内弟子が外に店を構える例はほぼ有りませんね」


 残念ながら、彼でも同じ認識か。予想はしていたが期待が有っただけに厳しい。


 やはりこの街でも同じか。鍛冶師本人や弟子の招致は引き抜きと変わらない。取られた地域は鍛冶の担い手が消えるのだ。場合に依っては報復される事も有り得る。


 モルダーは顎に手を当ててずっと考え込んでいる。俺達より格段に広い見識を持つ彼でも思い付かないとなると、これは諦めた方が良さそうだ。鍛冶師抜きでのやり方を検討するしかないかな。


 ふとモルダーの動きが止まった。何か思い付いたらしい。


「サマリード領には強い方はいませんか?出来れば若い方が良いのですが」


 強いと言えばゼベットぐらいだな。若くは無いが。後は・・・俺ぐらいだな。


「居ないことも有りませんが、それが鍛冶師とどう繋がるのでしょうか」


 話が見えて来ないな。まずは説明してもらおう。


「若手の鍛冶師で才能有る者は武術大会の場所に集まっています。大会で活躍すれば彼らと契約することも可能でしょう。戦績上位なら彼らからの売り込みも有り得ますよ」


 なるほどな、スポーツ用品でも誰々モデルとかは確かに人気商品だ。それと同じ仕組みか。ただ店を開いても客は簡単には付かない。専属契約でも出来ればそれなりの客が見込める訳か。上手い事考えるものだなぁ。新規はそれだけ敷居が高いということか。


 となると彼らの目当ては新人戦ということになる。えぇ・・・俺かぁ。

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