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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
探求編

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24話 マリーナの変化

-自警団詰所 休憩所 タニア-


 今では気に掛けることも無いが、マリーナは一度壊れたことがある子供だ。


 二年ほど前に森で行方不明になり、見つかった時には何も覚えていない状態になっていた。幾度か尋ねてみたが、自分でも何が起こったのか覚えていないらしい。


 分かっているのは言葉が分からなくなるぐらい全ての記憶が消えたこと。自分の家族の顔すら覚えていなかった。性格や嗜好も以前とは全く違う。


 私は彼女が7歳の頃を知っている。自警団長をしている関係上、城の行き来で何度か話す機会が有った。早熟というより背伸びしている様な子供で、幼いながらも貴族意識が強く、私達とは一線引いた態度を取っていた。


 特に父親のハミル様からは溺愛されていた。甘やかし放題だったらしく、ゼベットは任された当初かなり苦労していた様子だった。利発で好奇心が強く、少し我儘なところのある子供だった。まぁ、子供というのは大概そういうものかも知れない。

 

 保護されてからだいぶ経ったが、マリーナの記憶が戻る気配は無い。しばらくの間は心神喪失の状態が続いていたが、マイネル司教に会うようになってから徐々に快方に向かっていったとのこと。運の良い子だと思う。


 今では良く自警団にも来るようになったし、私らとも普通に喋る。メリッサから領主の娘に弓を教えに行くと聞いた時はさすがに耳を疑ったが。

 体術や槍術の稽古もしているようだ。しかも筋が良いらしい。ゼベットが褒めるぐらいだから相当だろう。


『居心地が悪いので普通に話して欲しい』と言われた時はかなり驚いたな。メリッサも同じことを言われたそうだ。以前の彼女を知っているだけに、そのあまりの変わりように戸惑ったものだ。


 変わっていないのは好奇心旺盛なところか。あんな離れた場所の温泉をよくも見つけたものだ。以前から勝手に城を抜け出して歩き回っていたらしいが、今もおそらくやっているのだろう。皆に心配をかけないよう、上手く配慮出来る様にはなったということだな。


 会うことも増えたので、今では歳の離れた妹のように思っている。彼女の話す口調はいつも丁寧だが、以前の一線引いた感じは見られない。記憶が無くなったせいで貴族意識が持てないのかも知れない。私らとしては付き合い易くなるので都合がいい。

 

 大きな犬を連れてきたり、急に温泉を見つけて行ってみたりと最近のマリーナにはいろいろと驚かされる。見たことのない料理も作っていたな。食べてみたら案外と美味しかったけど、誰に教わったんだろう。


 そう言えばこの間の商人を紹介してくれってのは何だったのか。とりあえずここに出入りしているアモットに引き合わせたが、具体的に何の話をしたのかは知らない。


 部屋の外で待機して欲しいとのことだったので、私らに見せたくない物が有ったのかも知れない。ダンに聞いてもはぐらかされたし、知らない方が良いと判断したので追及はしていない。詮索しても良いことは無いだろう。

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