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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
探求編

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23話 愛弟子との距離感

-リベスタン城塞 礼拝堂 マイネル司教-


 最近の彼女はどこか余所余所しい。私に対して幾分警戒しているような態度が見て取れる。元々一線引いた感じの態度を取る子ではあったが、近頃はそれが顕著になった。


 既に教える基礎的内容も無く、彼女と多様な分野の問答をするのがここ最近の傾向ではあるのだが。私でも思いつかない内容に発展することもあって興味深い。


 マリーナは非常に優秀だ。男子であれば嫡子として十分すぎる能力がある。残念なことに女子であるため、後継ぎには出来ないだろう。


 彼女はかなり合理的な思考をする。時に非情とも見える選択を迷わず採るが、結果として最良の手段である場合が多い。女性には珍しいほど領主に向いた性格をしている。


 大きな視点も小さな目線も持てるのは一種の才能だ。教えても理解出来ている者は非常に少ない。この歳でこの域に達しているのはこの子ぐらいだろう。後は経験が足りていないだけだが、こればかりは教えられるものでもない。


 

 中央での醜い足の引っ張り合いや出世競争に嫌気が差し、関わりたくない一心で最も辺境と言われるサマリード領を赴任地に選んだ。


 司教ともなれば生活には困らない。不毛な派閥争いは参加したい者がすればいい。マハルでは私に取り入ろう、あるいは取り込もうとする輩が後を絶たなかった。そんなことに血道を挙げているから国が纏まらないし、皆の生活も良くならないのだ。


 ここに来てからは煩わしさから解放され、穏やかな日々が送れている。この領地は裕福ではないがその分治安が良い。


 領主のハミル様は急な変化を好まれない方で、領地運営も積極的に進める様子が無い。問題が起きれば対処はするが、それだけだ。


 私はこの領地の宰相ではないので請われない限り口出しはしない。分を弁えない教会関係者は疎まれる傾向が強い。あくまでも客でいるのが円満に過ごす処世術だ。

 

 穏やかではあるが若干の物足りなさを感じつつ過ごしていたところへ、現れたのがマリーナだった。後から伝え聞いたところでは当時記憶が失われていたとか。


 教え始め当初の言葉も碌に喋れない状態から、少しずつだが話が出来るようになり、文字も読み書き出来るようになると非凡な速度で知識を吸収していった。既に書庫の大半は読み終えているようだ。


 類を見ない貪欲さで知識を吸収していく様は非常に興味深く、面白いもの。

 領主の依頼事項ではあるが、私自身も楽しみなので継続して面倒を見ている。

 彼女はまだまだ底が見えない。武芸でも才能を発揮しているらしい。


 私の唯一の弟子でもあり、どこまでの高みに到達するか楽しみで仕方がない。可愛い孫の成長を見ているようだ。それだけに最近の距離を取るような態度は寂しいものがある。

 そういう年頃なのだろうか。子供を持ったことが無いので何とも言えないところだ。

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