048 無限剣技 vs 時空反転
シルヴァーナ、ロウィン、そして剣聖アレクサンドロス唯奈は、改装された闘技場に足を踏み入れた。広く整備された施設は光を反射し、戦いの場としての気配を漂わせている。
「準備はいいか?」
ロウィンがシルヴァーナに問いかける。
「ええ、大丈夫」
バトルモードはセーフティ設定。致命的なダメージは無効化され、危険は伴わない。HP自動回復システムも備わり、戦闘は完全に管理された状態だ。
唯奈は剣を掲げ、天を仰ぐ。剣士としての誇りと決意がその目に宿る。手にした聖剣「エクスカリバー・ヴェルディア」は淡い光を放ち、周囲の空気が震えた。
剣を構えた瞬間、光が闘技場を覆い、鋭い煌めきが走る。
「聖剣の神よ、この剣に力を与え、姿を現せ」
光の中から、ひとりの少年が姿を現した。金の髪がさらりと舞い、屈託のない笑みを浮かべる。
「やっほー! 僕、シャリオン! よろしく!」
その声に、ロウィンは戸惑いを隠せない。
「……本当に大丈夫か?」
「戦うの得意だよ! 任せて!」
唯奈は息を整え、頷いた。
「頼りにしてるわ」
シャリオンは表情を引き締め、両手を大きく広げる。
「いっくよー!」
ロウィンはメニューを呼び出し、指先でスキルを確かめながら呟いた。
『アルテミス・ゲート』
太陽が陰り、夜の気配が闘技場を包む。
そこに立つのは、女神アルテミス。白銀の鎧が光を反射し、威厳と神聖さを放つ。穏やかに歩み寄り、言葉を紡ぐ。
「呼び出されたからには、力を貸すわ」
唯奈は目を見開き、思わず息を止めた。
「こんな力、ずるい……」
その声を合図に、シルヴァーナが宣言した。
「試合開始」
唯奈が踏み出し、剣を振る。連撃がロウィンを囲み、剣の光が闘技場を駆け抜ける。
「無限剣技」――唯奈の代名詞ともいえる技が場を支配した。
ロウィンがスキルを発動する。
「インスタント・ストップ」
空間の流れが歪み、すべての動きが止まる。
だが、唯奈だけは違った。
「バカな……」
ロウィンの声に驚きが滲む。
「私の剣技は、止まらない」
唯奈が淡々と口にした直後、アルテミスが防壁を展開した。月光を帯びた光の障壁が、斬撃を受け止める。
「この守りを崩せる者など、存在しない」
戦いの緊張が一層高まる。
やがて、唯奈とシャリオンが同時に踏み出した。
雷の刃がシャリオンの手から放たれ、唯奈の剣技と重なり合う。
「ソード・ブレイカー!」
雷と光が交差し、闘技場を揺るがす破壊力を生む。
「いけるわね!」
「全力だよ!」
ロウィンは真っ直ぐ前を見つめ、力を込めて口を開いた。
「アストラル・シフト」
風が止み、空気が凍る。動きは反転し、技も光も雷も消え去る。
唯奈とシャリオンは、理解が追いつかず足を止める。
「……戻ってる?」
その言葉が漏れると、シルヴァーナが口を開いた。
「ここまで」
闘技場は静寂に包まれ、残るのは熱気だけだった。
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