047 剣聖アレクサンドロス唯奈
「ヒーローズ・カレッジ」――それは、かつての勇者養成アカデミーが生まれ変わった新たな学び舎だった。堅苦しい雰囲気は消え、ユーモアと楽しさに満ちたキャンパスは、新学期の始まりを告げていた。
シルヴァーナとロウィンもその一員として戻り、新たな冒険の一歩を踏み出した。
入学試験は人物重視で、新たなクラスが一から始まることになった。かつてのクラスメイトのほとんどが、学園マスターのアダムスによる強力な洗脳魔法にかかっていたからだ。その魔法は解除に時間がかかるとされ、学園長やマスターの再人選は、三勇者――サラ、レイナ、そしてかなえによって厳格に行われた。
晴れ渡る空の下、ロウィンとシルヴァーナは並んでカレッジへ向かう。
「婚約期間は卒業までなんだけれど、ロウィンはハーレムを楽しんでるみたいね」
シルヴァーナが頬を膨らませた。
ロウィンは照れくさそうに笑いながら、彼女を見つめる。
「そんなことないって。みんな面倒見がいいから、つい楽しくなっちゃうだけだよ。でも、シルヴァーナと一緒にいるとやっぱり落ち着くんだ。なんだかんだ、君が一番だからな」
ロウィンは軽くシルヴァーナの手を握り、安堵したように肩をすくめた。
「だから、気にしないで。これからも一緒に頑張ろう。卒業までじゃなく、ずっと」
その目に浮かぶ誠実な光に、シルヴァーナは少し顔をそむける。
「ふふ、ちょっと照れるじゃない……でも、あなたがそう言うなら、きっと大丈夫ね」
二人は微笑み合い、そのまま学園のキャンパスに足を踏み入れた。
そのとき、背後から声がかかる。
「シルヴァーナさんとロウィンさんですよね?」
振り返ると、神秘的なオーラを纏った見知らぬ女性が立っていた。
「今、百年前に撮影された魔王との戦いが注目を集めていて……あれって、先輩たちですよね?」
ロウィンとシルヴァーナは互いに顔を見合わせ、驚きを隠せない。過去の出来事が、まさかこんな形で話題になっているとは思いもしなかった。
「申し遅れました。私は剣聖アレクサンドロス・唯奈。先祖が異世界帰りの勇者で、ロウィンさんと一緒に戦ったことがあるんです」
「まさか、君が……」
ロウィンが言いかけると、唯奈はにっこりと微笑んだ。
「お祖父ちゃんは魔王との決戦に臨みました。私も、その使命を果たすつもりです」
唯奈の言葉には、未来を切り開く強い意志が感じられた。
シルヴァーナがニヤリと笑う。
「あなたのご先祖様と、こんな形で繋がるなんてね。運命って、面白いわ」
「もしよければ、私の実力を見ていただけませんか? 先祖の名に恥じぬよう、私も力を磨き続けていますから」
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