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045 誘惑の試練 〜セクシーな冒険の先に

 ロウィンとシルヴァーナは、長い年月を共に過ごしてきた。しかし、婚約期間の試練はそれまでとは比べ物にならないほど厳しい。ダークエルフの文化では、この期間、「誘惑に耐えること」が最も重要とされる。


 その夜、シルヴァーナの城の広間。石造りの壁に金の装飾、天井から吊るされたシャンデリアが柔らかく光る。外は冷たい風が吹くが、城内は暖かく穏やかで、どこか緊張感のある空気が漂っていた。



 リリスが微笑みを浮かべ、ロウィンの前に歩み寄る。花のように柔らかい笑顔の奥に、確かな挑発の色が隠れている。


「こちらでおくつろぎくださいませ。膝枕をいたしますわ」


 ロウィンは視線をそらす。子どもの頃は無邪気に遊んだ仲だが、今の彼にとって、受け入れられる申し出ではなかった。


「ありがとう。でも、今は遠慮する」


 リリスはわずかに表情を曇らせるが、すぐに笑顔を取り戻して立ち去った。


「少し残念ですわ」


 ロウィンはその後ろ姿を見送り、心の中で自分を奮い立たせる。


(我慢だ……!)



 次に姿を現したのは、メイドリーダーのアルティア。落ち着いた瞳が穏やかな光をたたえている。


「お久しぶりですね」


「昔みたいに、一緒にお風呂に入りませんか?」


 懐かしい思い出が胸をかすめるが、ロウィンは顔を赤らめ、首を振る。


「さっき入ったばかりだから……」


 アルティアはわずかに驚くが、にこやかに笑った。


「ふふ、諦めませんわ」


 その言葉に、ロウィンの心臓が跳ねる。



 最後に登場したのはヴァルカだった。シルヴァーナ直属の親衛隊長で、恋愛バトルマスターだ。軽装のよろいを脱ぎ捨て、じりじりと距離を詰める。


「俺に魅力がないのか?」


 ロウィンは息を呑む。


「……ごめん。今は一人になりたいんだ」


 彼女はじっと受け止め、口元に薄い笑みを浮かべる。


「ふん、面白い男じゃないか」



 その後も、誘惑は続いた。リリスの優しさ、アルティアの包容力、ヴァルカの強引さ。それぞれの接し方は異なるが、共通していたのは彼の気持ちを試すこと。


 迷いはあったが、シルヴァーナを思い浮かべ、決意を新たにする。


「魔王と戦ったほうが、ずっとラクだったかも……」


 ロウィンは前を見据え、続く試練に備えた。

 最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


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