040 裸の王様
婚約者候補の全員が、ロウィンへ挑戦的な言葉を投げかけた。
「これは宣戦布告だ。人間ごときがシルヴァーナ様の隣に立つ資格はない」
「我々ダークエルフにとって、お前は邪魔者だ」
「どうせなら、試練でその能力を証明しろ」
彼らの言葉が飛び交う中、ザルクスは無表情でその場を見守っていた。
そして、重々しく宣言する。
「よかろう。それぞれに試練を与える。これが私の娘、シルヴァーナの選択にふさわしい者を決める方法だ」
彼の合図と共に、紫色の水晶を持った占術師が現れ、会場の空気が張り詰めた。
「試練を受ける者は、この水晶に触れよ。意識は、別の場所へ転送されるだろう」
会場がざわめく中、最初に立ち上がったのは王子のアルヴァスだった。彼は迷わず水晶に手を伸ばす。触れると、強い光が彼を包み込み、アルヴァスはその場で意識を失った。
しばらくして、彼は目を覚ました。身に付けているものは何もなかった。
会場から悲鳴が上がる。
「な、何が起こった……?」
混乱しながら体を起こした直後、アルヴァスの口から狂気じみた言葉が発せられた。
「俺様がシルヴァーナと結婚した暁には、ダークエルフを束ねる王となり、ザルクスを倒す。そして、シルヴァーナの力も全て手に入れて、用済みになったら処刑する。お前たちは全員、奴隷として扱う。全ての美女は、俺様の子を永遠に生み続けるのだ! ハーッハッハ!」
会場の空気が凍りついた。
シルヴァーナは何の感情も表さず、彼を見つめた。
「ふふ、なるほど……あなたらしいですね」
彼女の視線は鋭くアルヴァスを刺す。
「もしかしたら、裸で出てきた理由は、試練に打ち勝った証として、その強さを見せたかったのでしょうか?」
会場から笑い声が漏れ、アルヴァスはさらに顔を赤くした。裸であると自覚すると、彼は叫び声を上げた。
「これは罠か!? 俺が何をしたというんだ!」
必死で自分を取り戻そうとするが、言葉は虚しく空回りするばかり。その様子を静かに見ていたザルクスが、ようやく口を開く。
「ダークエルフの掟に背く者は、この地にふさわしくない。試練を乗り越えられない者は、いかに力を持とうとも、私の娘の隣には立てぬ」
彼の言葉は、威厳に満ち、会場全体に響き渡った。
シルヴァーナはその状況を見つめていた。
「試練の敗者に、言葉をかける価値もありませんわ」
アルヴァスはしばらく無言で立ち尽くしていた。
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