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032 時を操る少年、ロウィンの覚醒

 バトルリーグの会場は熱気と緊張に満ちていた。満員の観客席、上空の魔法照明がアリーナを照らす。その中央に、ロウィンとアイリスが立っていた。


 アイリスはこれまでの努力を思い返し、冷たい視線でロウィンを見つめる。焦りと絶望が彼女の胸を締めつけた。かつてただの村人だったロウィンの戦い方には異常な勢いが宿り、まるで本物の勇者のようだった。


「今の君に俺を倒す力はない」


 ロウィンの言葉に、アイリスは目を細め、決意を固める。


「私は負けない。どんな手を使っても、勇者としてあなたを超える!」


 試合が始まった。アイリスの「魂の源」から放たれた禁断の魔力が空気を震わせ、アリーナに冷たい風を呼び込む。渦巻く魔力は彼女の意志に従い、ロウィンを包み込んだ。


 しかし、ロウィンの眼光が変わる。彼の中には、時間の神クロノスから授かった絶対的な力が宿っていた。手を広げると空間に線が走り、巨大な「時空の門」が開かれる。


 門から現れたのは、光を反射する金色の体に、背中に羽根のような流線形の光をまとったクロノス。その力は、あらゆる時を支配する絶対のものだった。


 その光景を目の当たりにし、クロノスの顔に驚きが走った。息子――ロウィンは、時の流れを自在に操る力を手にしていたのだ。その姿を見て、クロノスはまるで過去の自分を見つめているかのような錯覚におちいった。


「まさか、このような形で再会するとは……」


 クロノスの声が会場を包む。時の断片が宙に舞い、空間そのものが彼の力に従うかのようだった。


 アイリスの魔力は、水面に投げ込まれた石のように消え去った。体は重く、何千年もの時間の圧力が全身を締めつける。彼女はそのまま地面に倒れ込んだ。


 ロウィンの内で何かが決定的に動き、すべての時間が一つに結びついた。


「時は、もう、お前の手の中にある!」


 クロノスの声が、ロウィンにそう告げる。


「もう、この流れは止められない!」

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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